宗教的、民族的、家庭の理由でそれは食べられません
前の話で菜食主義の話が少し出ましたが、インド人は食材について非常にセンシティブです。
単純に肉を食うか、食わないかだけの話ではないんですね。
インドに行って、飲物を含む口から摂取するものには必ずとあるマークが印刷されています。
まず、日本の国旗”日の丸を”イメージしてください。
白地の背景に丸がありますね。この丸の色で食品に含まれる材料が分けられます。
(1)赤の丸――つまり日の丸ですが、これはノンベジタリアン(肉、もしくは動物の成分が含まれる)というマークです。ノンベジマークと呼ばれます。
(2)緑の丸――これはベジタリアン(動物成分が含まれない)というマークです。ベジマークと呼ばれます。
(3)オレンジの丸――これがたまにノンベジマークと混同しやすいのですが、肉は使わず、卵だけが食材に含まれるマークです。
さて、(1)~(3)でまずは3つに分類されることがわかります。
この3つはスーパーの食材の包装やレストランのメニューなどに必ず記載されています。というか、記載しないといけないルールです。
で、更にこの3つが更に細分化されます。
私が知っているものを以下に箇条書きにしますね。
■ベジタリアン
デリーを含むインド北部は特にベジタリアンが多く、デリー近郊のレストランは肉や卵を一切使わないピュア・ベジ・レストランが多いです。
ベジタリアンの人は自分が食べなくても、肉の匂いなどがダメな人も多いので、そういう人と食事をする時はピュア・ベジ・レストランに行きましょう。
ちなみにインドのベジタリアンは動物性由来のものを全て否定してはおらず、ミルクだけは普通に飲みます。ある意味唯一の動物性タンパク質を得る手段とも言えますね。
・植物ならなんでもOK
・海藻はNG
⇒理由は海は汚水など汚れたものが流れ着く先で、浄・不浄の考えでは不浄な食べ物になるから。かなり乱暴な言い方をすると、「下水で育った野菜なんて食えるか!」ってことです。
・その他
⇒芋系はダメとか色々あるらしい。
■ノンベジタリアン
・チキンだけOK
⇒インドの大半のノンベジタリアンはチキンは食べられます。なんか、二本足の動物は食っても良いとかそういう色々ルールがあるそうです。
・チキンとマトンだけOK
⇒日本だとマトンは大人になった羊肉を指しますが、インドではマトンは山羊のことです。チキンの次にインドの肉食で一般的な食材です。肉市場に行くと、山羊の頭が店頭に並べてあったりして、結構グロいですが・・・・・・
・ポークはNG
⇒イスラム教の方はブタは汚れた動物なので食べるのは禁止されていますね。チキンもハラル認証を受けていないとダメとかあるようです。
・ビーフはNG
⇒ヒンドゥー教において牛は神聖な動物ですので、食べちゃダメです。と、言いつつ、東インドの人達は食べていたり、水牛は違う種だから食べて良いとか、やっぱり色々なルールがあるようです。
・魚もOK
⇒話を聞いていくと、川魚はOKだが海魚はNGとか、その逆があったりとか、魚は良いけどエビ類はダメとか、もうよく分かりません(^_^;)
・日本に行くと何でもOK!
⇒インドではベジタリアンなのに、日本に来ると何でも食うインド人がいます。彼ら曰く、「ルールはインド国内の食材だけだから」、「だって、日本の料理が美味いんだもん」とか、「久し振りに実家帰ったら父親にチキン臭ぇ!と殴られた。日本では主にビーフとポークしか食っていないのに」とか、まあ、自分ルール作っている感じです(笑)
■エッグタリアン
卵の時点ですでに細分化されているんじゃ・・・・・・と思ったあなた、インドは更に刻んでいきますよ~。
まず、少し補足説明を。インドにおけるベジタリンとは、不殺生の精神からきています。つまり、生き物(動物)を殺してはいけない、殺した肉を食べてはいけないというルールです。
さて、生き物の定義とはなんでしょうか?
例えば、私達は目に見えないですが、身体の中で沢山の悪い細菌やウィルスと日々戦い、殺しています。
昔のインドには顕微鏡や電子顕微鏡はなかったので、それらの存在を知ることができませんでした。
なので、生き物とはまず、肉眼で視認できるものになります。
また、植物(葉)は取ってもまた生えてくることから、動物ではなく資源という概念に近いものでした。
ざっくり整理すると、生き物とは見える動物となります。
なので、信心深いベジタリアンの人は自分を刺す蚊すらも潰せなかったります(まあ、蚊取り線香や液体リキッドで間接的にはやっつけていたりしますが)。
さて、生き物の定義が終わったところで、やっと「卵とは生き物か?」という判断になります。
目には見える。
しかし、動かない。
生き物じゃないか?
うーん(^_^;)
・卵はOK。
⇒え、これ出したら終わりじゃ・・・・・・
・無精卵のみOK。
⇒有精卵は温めれば雛になる=動物!無精卵は温めても動物にならないから生き物じゃない!
上記はあくまで私が知っている範囲の食事制限です。インドにはきっともっと色々なルールがあるに違いありません。
そういう、お国柄というものもあり、レストランとかで注文をする時に「あれは入れるな」と色々注文できます。
私は「唐辛子入れるな、胡椒、塩、油は少なめに」といつも注文していますが、インド人のスタッフは快く注文を受け付けてくれます。
ただし、注文通りのものが出てくるとは、私は一言も言っていませんからね(^_^;)
最後まで読んで頂きありがとうございます。
別で連続小説を書いていますので、良かったら読んで頂けると嬉しいです。
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