第4話 過去 P.5
今日はバイトを遅くまでやった。そのあと客は入ってきて、現在7時半だ。
健斗がオーダーを取ったアイスコーヒーとサンドイッチAセットを運んだときだった
「おう健斗。今日はずいぶん働いてくれたな。もう上がってもいいぞ」
「そうっすか?じゃあ、お先に」
と言って、健斗はお盆をカウンターに戻し、店の奥へと歩いていった
Ryuは8時には閉店するから……だからもう大丈夫なのだ
健斗は店長に挨拶をすると、店から出ていった
それにしても、店長特性オリジナルブレンドの紅茶は本当に美味い……嫌なことなんて忘れそうになる。
店から出ると少し冷たい風を感じた。健斗は自転車に乗り、ゆっくりと商店街を抜けようとした
と、するとだった
「あら、健斗くん」
いつもの八百屋のおばさんが健斗に話しかけてきた。どうやらその八百屋ももう閉めるようだった
健斗は自転車を止めてゆっくりとお辞儀をした
「どーも」
「今日もバイト?偉いわね〜」
「いや……まぁ」
「あら、今日は麗奈ちゃんいないのね」
「あ……いや、あいつは今日友達と遊んでるから」
健斗がそう言うと、おばさんは残念そうに言った
「あらそう……そうだ、ちょっと待っててね」
おばさんがそう言うと、店の奥へと入っていった
数分が経つと、おばさんは戻ってきた。手に何かを持って……
「この前麗奈ちゃんがね、お使いを頼まれてくれたのよ。これはお礼だって渡しておいてくれるかしら」
と言っておばさんは健斗に、かの有名なヒヨコまんじゅうを渡してきた。
八百屋のおばさんのお手伝いを……いつしたのかがすごく疑問だった
「本当に麗奈ちゃんはいい子ね〜……よろしく言っておいてね」
「あ……はい。ありがとうございます」
健斗はお礼を言うとヒヨコまんじゅうを鞄の中に入れて、商店街を抜けていった
麗奈のやつ……結構この商店街にも慣れてきているようだ
まぁ、初日にいきなり騒ぎを起こしたから……みんなに知れてんだろう
今頃麗奈は……家かな
健斗はそんなことを考えながら商店街を抜けようとしていた
がするとだった
いつの間にか外は雨が降っていた。商店街の中は屋根があるから、雨には気が付かなかった
健斗はそんな雨を見ながら深くため息をついた
そういえばさっき雨雲が広がってたっけ?
雨が降り出しそうなのは分かってたけど……本当に降っちゃうなんてな
「傘持ってきてねぇ〜よ……」
健斗は憂鬱そうに言うと、また雨を見た
まぁ、まだ雨は弱いし……急いで帰れば大丈夫か……
そう思い、健斗は自転車を急いで漕いで雨の中家に帰っていった
びしょびしょになりながら、家についた
自転車を庭に置き、走りながら家の戸を開けた
「ただいま〜」
すると母さんが居間から出てきて、健斗に駆け寄ってきた
「お帰り〜……ってあんたびしょびしょじゃない」
「雨が降ってた」
「んなもん知ってるわよ。バカね〜、電話してくれればよかったのに」
それもそうだと健斗は頷きながら、鞄を玄関に置いた
母さんは風呂場からバスタオルを持ってきて健斗に渡してきた
「頭拭いて、早くお風呂に入っちゃいなさい」
「ほ〜い」
「返事は、はい!!」
「はいはい」
「はい、は一回!!」
「はぁい」
健斗は玄関で身体や頭を拭いた。まったく……別に返事なんてどうこう言われるような歳じゃねぇのに……
そんな風にブツクサ呟いていた
「ねぇそれよりあんた、麗奈ちゃんは?」
母さんがそう聞いてきて、健斗は手を止めた
「帰ってきてないの?」
「まだよ〜。あたしあんたといっしょにいんのかと思ってたし……」
健斗はそれを聞いて、深くため息をついた。
「あいつ、早川と佐藤と遊びに行くって……もうすぐ帰ってくんじゃない?」
健斗がそんなことを言うと、母さんは心配そうに言った
「そうかしら〜……これから雨も強くなってくし……」
「あいつも子供じゃないんだから大丈夫だよ」
健斗はそう言って、髪を拭きながら風呂場に向かった