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グッラブ!  作者: 中川 健司
第2話 始まる学校
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第2話 始まる学校 P.17


健ですっ


ユニークアクセス数が4000を突破しましたっ!!


みなさんありがとうございます♪


これからも応援よろしくお願いしますっ!!


また、評価感想等もよろしく


健斗とヒロは弁当を食い終わったあと、残った昼休みの時間、屋上に続くまでの階段にいた。


「どういうことだ!?」


ヒロは少しキレ気味で健斗に詰め寄ってきた。鋭い眼光がまるで刃のように、健斗の心に突き刺さってくる。健斗はその視線に耐えきれず、ずっとヒロの顔を見れないでいた


「いや……だからさ……」


「お前、ただの親戚だって言ったよな?言ったよなっ!?」


「一応……親戚だろ?父さんの友達の娘なんだから」


「全然チゲーだろ!!」


ヒロは怒鳴りつけるように健斗に言った


「まさか……お前麗奈ちゃんとあんなことやこんなことを……?」


「んなっ!?バカ言ってんじゃねぇよっ!!そんな関係じゃねぇっ!!」


健斗は真っ赤になってそれを否定した。ヒロはいつも事を大袈裟に解釈する


「さっきは麗奈ちゃんの前でかっこいいこと言いやがってよ……」


ヒロは拗ねるように言い捨てた


「いや……別にあれは……」


「くそ〜……何でお前ばっかりいい目に……」


ひがむヒロを見て、健斗は深く息を吐いた


「実際……あいつ全然訳分からねぇよ……昨日、あいつずっと俺のこと怒ってたと思ったら、今日ケロッとした態度に変わっててさ……本当に意味分からねぇ」


健斗がそう言うとヒロは少し不思議そうな表情を浮かべた


「何?ケンカか?」


「いや……よく分からねぇんだよ……本当に」


健斗はため息をつきながら、そう言った。するとヒロは腕を組みながら、目をつぶり何かを考えるかのように言った


「本当は怒ってんじゃないか?女は中で溜めるもんだからな」


「そうなのかなぁ」


「さぁ?」


ヒロの曖昧な答えに健斗は困惑した。


女は中で溜める……か。確かにヒロの言う通りなのかもしれない。もしかすると麗奈はまだ本当は怒ってるのかも。


「……そういやさ」


健斗は話題を変えるように、ヒロに言った。ヒロは健斗の話題の転換に振り向いた


「昨日さ、早川が家に来た」


健斗がそう言うとヒロは少し驚き気味の表情をした


「家に!?」


健斗はゆっくりと頷くとヒロはへぇ〜っとため息をつくように驚いた


「で、何だって?」


「いや、何か……昨日はゴメンねって……迷惑だったよねって……」


ヒロはそれを聞くと吹き出しながら肩を震わせて笑った


「何だそれ。迷惑なわきゃねぇくせに」


「早川に気を遣わしちゃったみたい……」


健斗は苦笑しながらそう言った


「で、お前は何て」


「本当に嬉しかったよって……ありがとうって……そしたら、またお弁当いっしょに食べよって言ってくれた」


「マジかよ!?お前好かれてんじゃねぇの?」


ヒロが簡単にそんなことを言ってきたので、健斗は首を横に振った。


「違うよ。多分……」


本当は自分でもそう思いたかった。早川に好かれてんじゃないかって……でも、期待したくはない。期待して裏切られるとショックを受けるのは自分だから


「まぁ、お前が早川に誘われるおかげで、麗奈ちゃんもいっしょに誘われて、俺もいっしょに食えるからいいんだけどな」


とヒロはククッと笑ってきた


「いや、麗奈が誘われて、俺はそのついでだろ……」


健斗がそう言うと、ヒロは健斗の背中を叩いてきた


「消極的考えはやめぇ。もっと前向きに考えれへんのか?」


「けどなぁ〜……」


健斗は天井を見上げて早川のことを考えた。確かに、麗奈が来てから早川と突然仲良くなりはじめたような気がする……


でも何でだろう?


















それから一日が過ぎて夜になり、健斗は風呂上がりの状態でバスタオルで頭を乾かしていた


「ふぅ〜……」


結局、今日は早川のことを一日中考えていた。早川が何故、自分を誘ってくれるのか?何故自分をこんなに気にしてくれるのか……ずっと疑問に感じていて、少し嬉しい気持ちに浸っていた


ふと頭を乾かしながら、健斗は縁側に向かった。そしてゆっくりと戸を開けて涼しい風を吹き込ませた……


そんなことをしながら、麗奈の言葉を思い返していた


「俺が本気で早川が好きだから……あっちも好きになってくれる……か……」


少し芽生える、都合のいい妄想……


まさか早川は自分に好意を持っているんじゃ……何て少し疑う気持ちもあった



静寂な闇に鳴り響く虫の声……もうすぐジメジメした季節がやってくるのを感じていた


早川ともっと仲良くなりたいな……



「健斗〜!?」


ふと居間の方から母さんの声がした。健斗はそれを聞くとゆっくりと立ち上がり、静かな足取りで居間へと向かった


居間に入ると、母さんが夕飯の支度をしていて、父さんが風呂上がりのため、タオルを首にかけて、ランニングを来てビールを飲んでいた


けれどそこには麗奈の姿はなかった


「健斗、実はな頼みがあんだ」


父さんがビールを飲みながら、枝豆を口にしていた


「何?」


健斗は座りながら用件を聞く


「実はな、今度ホームセンターに行って麗奈ちゃんのベッドとタンスと机を買いに行くから、お前ついてきてくれ」


「うん……分かった」


健斗が素直に頷くと、父さんは少し意外そうな表情をした


「意外だな。素直に頷くか」


「断って欲しいの?」


「いや……」


隣で皿やコップを出しながら、母さんはクスクスと笑っていた


正直、もう麗奈のことで面倒臭くはならなかった。まだあいつが来てから三日しか経ってないけれど、なんだかもう慣れてしまったような気がしたのだ


「健斗、ご飯にするから麗奈ちゃん呼んできてくれる?」


母さんがそう言うと健斗は何も言わず立ち上がり、二階へと向かった


その様子を見て、父さんは肩を震わせて笑った


「あいつ、何だかんだですっかり慣れてるな」


「フフフ……ちゃんと仲良くなってるみたいね♪」








健斗は二階へ上がると、ドアが開けっ放しの麗奈の部屋を覗いた


すると麗奈は窓際に座り込み、景色を眺めていた


青いTシャツに、ビニール製のシャカパン姿だった


またちゃぶ台が出されていて、その上にはノートが一冊……ペンが一本置いてあった


「大森」


健斗が名前を呼ぶと、麗奈はすぐに健斗を見た


しかしいつものように微笑むことはなく、無表情で健斗を見つめた。


それが少し健斗にとって不安を感じさせた


「飯……だから降りてこいよ」


麗奈は健斗の言葉にゆっくりと頷くと、立ち上がり部屋を出ようとした。


するとすれ違いざまに、健斗はある場所に目をやった


麗奈の右肘の関節の辺りに、擦り傷があった……


「お前……その傷どうした?」


健斗が聞くと、麗奈はばっと肘を隠した


肘だけじゃなかった。左膝の関節の辺りにも同じような擦り傷があった


またその擦り傷は、まだ膿んでもなく、痂になりかけている……つまり新しい傷であることが分かった


「膝も怪我してんじゃん」


「何でもないよ」


麗奈はやっと健斗に微笑むと、そのまま一階へと降りていった……


健斗は少し胸が痛んだ……何だか……昨日から麗奈らしさがなくなっているような気がした。


いつもの能天気なあいつは朝だけだった。


不意にヒロの言葉を思い出す……


本当はまだ、怒ってるのだろうか……


女は中で溜めるらしいから……な……


健斗はそんなことを考えるのが嫌になり、麗奈の傷を考えた


いつできた怪我なんだろう?昨日か?


今日か?でも今日も昨日も体育はないし、まだ部活に入ってない麗奈は運動してるわけがない


男子のように追いかけっこはしていない。昼休みや休み時間はずっと早川や佐藤と会話をしていた


でもまだ新しくできた傷だというのは明らかだった……


健斗は首をかしげながら、別に何でもないならいいかと自分で納得した……











けれどだった。次の日の朝、健斗は麗奈の傷が増えていることに気がついた。右の脛の辺りに、左足にもまた擦り傷が出来ていた。


手にも同じような傷が出来ていた。健斗は訳を聞いても、麗奈は何も答えなかった……


だからそれ以上聞かなかった。ただ、不思議なことがもう一つ……健斗の自転車のギアが外れていたということ……昨日は外れてなかったのに。


麗奈に理由を訊ねても、知らないと言い張る……本当に?と訊ねても、自転車には触ってないという


だから、結局麗奈の傷と自転車のギアが外れていたことは不明のままになろうとしていた……



傷のことは、さすがにみんなにも気付かれた。一番最初に見つけたのは早川だった


でも麗奈は、ちょっと転んだだけと言う。だからそれ以上疑いのない。健斗でさえ、そう思ったのだから……


ただ疑ってたのはヒロだ。健斗が麗奈を襲ったのではないかと、勝手な妄想を膨らませている……


結局健斗も麗奈の傷のことはあまり気にしないでいた




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