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グッラブ!  作者: 中川 健司
第2話 始まる学校
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第2話 始まる学校 P.13


「ふぅ〜……」


健斗も夕飯を食べたあと、ちゃんと入浴をした。そして半パンと白いTシャツに着替え、バスタオルで頭を乾かしながら健斗はゆっくり息を吐いた


疲れた後の風呂とはいいものだ……健斗は頬をあかく染めて、冷蔵庫の中から水を取り出し、口に含んだ


居間では母さんがお茶を飲みながらテレビを見ていた


母さんの好きなマヤ遺跡だの、エジプトの何とか何だかの……


母さんは歴史もんが好きだから……けど歴史は全然知らないけど……


健斗は水を飲みながら、居間へと入った


「今日父さんは?」


健斗が訊くと、母さんはお茶を飲みながら答えた


「今日は遅いわよ〜。麗奈ちゃんの部屋のものをホームセンターで見てきているから」


なるほど〜……


健斗はそれを聞いてふと麗奈のことが気になった。麗奈は……何してんのかな……


健斗は冷蔵庫からもう一つ水を取り出した


麗奈にもあげるか……


ちょっと怒ってるみたいだしな……


「母さん、大森は?」


「ん〜……縁側の方にいるんじゃない?」


健斗はそれを聞いて、縁側の方へと歩き出した。


やれやれ……どうして俺があいつのご機嫌を伺わなければならないのか……


いつまでもご機嫌斜めだとこっちもこっちでやりにくいしな……



縁側を見ると、確かにそこには麗奈がいた。外をただ呆然と眺めていた


一体何を考えているのか、健斗は麗奈に近づいていった


すると麗奈は健斗に気がつくと、すぐにプイッと顔を剃らした


健斗は頭を掻きながら、麗奈に水を差し出した


「ほら」


麗奈はそれを見ると静かに受け取り、ブスッとした態度で小さく「ありがとう」と言った。


「……なぁ、まだ怒ってんの?」


健斗がそう訊くと、麗奈は健斗に不機嫌な様子を見せた


「別に……怒ってないもん」


「怒ってんじゃんか」


「だから怒ってないてばっ!!」


麗奈は少し声量を強めて健斗に怒鳴るように言った


健斗はそれ以上何も言わず、ゆっくりとため息をついた


もういいや……健斗はくるっと反転すると自分の部屋へと戻っていった



麗奈はそれを見ると、少し目を潤わせると、膝を抱え込んだ……


「健斗くんの……バカ……」


小さく、呟くように言った











健斗は二階へ上がり、自分の部屋に閉じ籠った。水を飲みながらため息をつき、ベッドの上に乗って窓から外を見渡した


何だよあいつ……せっかく人が気にしてやったのによ……それに別に大したこと言ってないだろうが……


勝手にしろよ……




でも……あいつも色々と考えてんだよな……


あいつがあんなこと言うなんて思わなかった……


自分の食費や光熱費を負担かけたくないから、バイトを考えてたんだな……それを嘲笑うかのように笑ってしまった……


やっぱし俺が悪いのかな……


でも麗奈も麗奈だ。いつまでもご機嫌斜めだから……


別に嫌われたならそれでいいし……あんな性格の悪い女……どうでもいいよ……



……人のことを好きって言ったり嫌いったり言って……早川のことを応援してんのかからかってんのか分かんない……


いつも俺のことからかってるだけじゃねぇか……


健斗は水を飲み干して、モヤモヤを晴らすようにペットボトルを投げ捨てた


まぁ麗奈のことなんかより、早川のことだよ……明日なんて謝ろうか……せっかく誘ってもらえたのに、悪いことしたよなぁ〜


今早川にあえれば、すぐにでも会いたいのになぁ……健斗は時計を見た


もう八時か……こんな時間に早川がここらへんを歩いてるわけないか……


と思っているところだった……


……ん?何か、一人の女の子が、歩いている。しかも、健斗の家に向かっていた


こんな近くだから分かった。健斗は身を乗り出して驚きながら叫ぶように言った


「えっ!?は、早川!?」


そう、まさか本当に健斗ん家の目の前早川が歩いていたのだ。


しかもだった……間違いなく健斗ん家に近づいてくる。通りすぎるわけではなさそうだった!!


「えっ!?マジかよ!!本当に……早川?」


健斗はテンパりながらも、すぐに部屋を出て飛ぶように一階に降りた


途中、慌て過ぎて壁の角に左足の小指をぶつけてしまった


そのせいで足に激痛が走った!!


しばらく「痛い痛い」といいながら片足で飛びながら、左足を押さえていた


するとだった。ドアの呼び出し音がした


きっと早川が押したのだ。すると居間から母さんが顔を出してきた


「健斗出てくれる〜?」


言われないでも出るつもりだった!!健斗は痛みを忘れ、すぐにサンダルを履き、家の戸を開けた


するとそこには早川が黄色のTシャツに短パン姿の可愛らしい恰好で、何かを持って立っていた


健斗が出てくるのに気がつくと、早川は少し驚いた表情を見せた


まさか初めから健斗が出てくるとは思わなかったのか……一番びっくりしてるのはこっちだけどさ


「あ……山中くん。こんばんわ。突然ゴメンね」


「あ……うん」


健斗が微笑むと、早川は少し健斗の濡れた髪を見て笑った


「お風呂上がり?」


「あ、あぁ、今さっき入ったところ」


健斗も濡れた髪を触りながら微笑んだ。すると早川は少し近づいてきた


「ふ〜ん……フフッ、?でもちゃんと乾かさないと風邪引いちゃうよ?」


「あ……あぁ。ちゃんとあとで、乾かしとく」


と健斗は言った


「えっと……大森だろ?今呼ぶから」


と健斗が麗奈を呼ぼうとすると、早川がそれを止めてきた


「あ、ううん。今日は山中くんに用があったの」


「え……俺に?」



健斗はそれを聞いて胸が高鳴った。俺に用事って……?


胸が高鳴っていくなか、喜びも感じていた


麗奈が……隠れて話を聞いていたことも気づかずに……


「うん。今日、授業で渡されたプリント山中くんと麗奈ちゃんの分持ってきたんだ」


と早川は持っていたクリアファイルからプリントを二枚、健斗に渡してきた


健斗はそれを受け取ると嬉しそうににっこりと笑った


「ああ、わざわざありがとうな」


「ううん。今日のこと謝りたかったし……」


「今日?」


健斗が不思議そうに聞くと、早川は少し苦笑いをしながら言った


「今日ゴメンね?お弁当の時間……迷惑だった……よね?」


健斗はそれを聞いて、自分も謝ろうとしていたことに気が付いた


「いやっ!!全然迷惑じゃないって!!逆に感謝してるから」


「……本当に?」


健斗は微笑みながら続けた


「俺こそゴメンな……いきなりどっか行っちゃってさ。ありがとう。誘ってくれて」


素直な気持ちを早川に伝えた。すると早川は安心するかのような可愛らしい笑顔を見せた


「よかった……あのあと山中くん、授業も戻ってこなかったから……怒っちゃったのかなって思ってた」


「ああ〜……いやそれは……」


「麗奈ちゃんも途中でいなくなっちゃったから」


「うん。ゴメン。ちょっと気分が悪かっただけ」


「そっか。今は平気?」


「うん。ちょっと寝たら元気になった。わざわざ心配してくれてありがとう」


健斗がそう言って微笑むと早川は嬉しそうに笑った


「よかった……すごく心配してたんだから」


と言ってフフッと笑った。そんなに心配しててくれたなんて……何て幸せなんだろう


「うん。ありがとうな」


「ううん。あの……」


早川は微笑みながら健斗に訊くように言った


「明日もいっしょにお弁当食べない?」


「え……」


健斗は早川の言ったことがすごく驚きだった。早川は少し焦りながら言った


「もしよかったらだけど……明日もいっしょに食べよ?迷惑……かな?」


「……あ……うん。サンキュー!!明日も、いっしょに食っていいなら」


健斗がそう言うと早川は安心するように笑った


「よかった……じゃあ、私帰るね?」


「あっ!!うん。わざわざサンキューな」


健斗は早川を塀の外まで送った


「送ろうか?」


「ううん。山中くんの家とは5分くらいだし。大丈夫」


「そっか……あ、本当にありがとう。わざわざ……帰り、気をつけて」


「うん。じゃあ、また明日ね♪」


「ああ。また明日」


早川は手を振りながら、健斗から離れていった。健斗も早川が見えなくなるまでずっと手を振り続けていた


そして早川が見えなくなると、しばらくの間呆然として佇んでいた。


早川が……早川が俺のことをスゲー心配してくれて……またお弁当を誘ってくれた……


「……よっしゃああああ!!!」


健斗はその場で喜びの雄叫びを上げた


今日はスゲーついていた!!嬉しい気持ちでいっぱいだった


さっきのモヤモヤした気持ちなんて忘れた!!なんて幸せなんだろうっ!!


健斗はルンルン気分で家へと戻っていった


そして鼻歌を歌いながら、サンダルを脱いだ。

すると目の前に麗奈が立っていることに気がついた


無表情で健斗を見つめていた


しかし健斗はそんなこと気にはせず、超好機嫌で麗奈に言った


「ようっ!!ちょうどよかった♪ほら、早川がお前のプリント渡してくれたぞ」


と言って、麗奈にプリントを渡すと、ルンルン気分でスキップで階段を上ろうとした


すると……だった……


「よかったねっ!!結衣ちゃんといっぱい話せてさっ!!」


「あ?」


健斗は不思議そうに麗奈を見た。麗奈は渡されたプリントをくしゃくしゃにするまで手に強く力を入れていた


「よかったじゃんっ!!結衣ちゃんにお弁当誘われてさ……もしかして、こうなることを予測して今日授業サボったの?」


「……何言ってんの?お前……」


健斗は少し真面目な顔をして、麗奈を見た


麗奈は健斗を見ると、ゆっくり健斗に近づいてきた


「明日が楽しみだねっ!!おやすみ!!」


麗奈はそう言うと、笑いもせず、健斗の横を通り過ぎて二階へと走っていった


健斗は少し呆然としながら、麗奈の後ろ姿を見ていた


「……何だよあいつ……」


何を怒っているのか……まったく理解できなかった……


健斗はさっきの喜びが少し半減したような気がした


健斗はゆっくりと二階へ上がった……


麗奈は何もない自分の部屋に閉じ籠ったようだった……


「大森?」


健斗はその部屋の前で声をかけた


何だか、声をかけたかったから……


「何怒ってんだよ……夕方のことか?」


しかし麗奈は何も答えなかった……


健斗はゆっくりとため息をついた


「……悪かったよ。悪かったから、機嫌直せよ」


しかし麗奈はまた何も答えない。今は……何もしない方がいいかな……


「寝る時、俺の部屋、開けとくから……ちゃんとそっちで寝ろよ」


健斗はそう言うと、静かに自分の部屋へと戻っていった












麗奈は何もない自分の部屋で膝を抱え込んでいた。


健斗の言葉を聞いて、ただ膝を抱え込んでいた


そして静かに呟いた


「……健斗くんの……バカ……」


麗奈は寂しそうに、そう呟いた……






う〜ん……何か麗奈が何でこんなに健斗に対し怒っているのか……自分でも分かりません……


何かこの作品、自分でも先が読めない作品になってきました……


予測不能な物語です


みなさんは、どうして麗奈が怒っているのか……分かりますか?



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