第2話 始まる学校 P.8
健斗もそのあとに教室に戻ると、また教室中は騒いでいた
「……あれ?」
健斗は麗奈がいないことに気がついた。
先に戻ってたんじゃねぇの?
健斗は不思議に思いながらも、自分の席へ戻った
「山中っ!!」
健斗が席に戻ると同時に、突然男子たちが健斗の周りに集まってきた
何やら凄い剣幕をしている。
健斗はあまりの気迫にタジタジしていた
「な……何ですか?」
「お前っ……昨日大森さんといっしょに商店街を歩いてたって本当か?」
「いっ!?」
健斗は何も言えなかった。ズバリ図星だし、どうしてこいつらが知ってるんだろう?
「い……いやぁ〜……知らないなぁ……」
「昨日、お前がとんでもない美少女といっしょに歩いていて、しかもけ……けけけ結婚するって聞いたやつがいるんだよっ!?」
健斗はさらにギクシャクした。そっか……昨日商店街でかなり騒がれたんだ……だから、誰が健斗たちを疑うやつらが現れても仕方がないだろう
「……えっと……それはお姉ちゃんだよ……そう……お姉ちゃん……」
とっさに思いついた言い訳……しかしみんなはさらに疑い深くなった
「何〜!?お前姉貴なんているのか〜??……あっ!!大森さんっ!!」
麗奈がやっと教室に戻ってきて、自分の席へ戻ってきた
突然男子に囲まれて、麗奈は微笑みながら不思議そうな顔をした
「どうしたの?」
みんな少し戸惑いながら麗奈を見る
「あの……」
「ん?」
「あの……昨日……山中と商店街行ったりしました?」
麗奈はゆっくりと頷きながら言った
「うん。それがどうか――」
「うおおお〜いっっ!!」
男子たちはショックな声にショックな表情……中には唖然としたやつもいるし、口をあんぐりと開けているやつもいた
健斗は呆れ返るように頭を抱え込み、ため息を深くついた
何余計なこと言ってんだよこいつ……
「ちちちちょ……ちょっと待って!?どうして、いっしょに商店街に行ったの?というより……二人とも……お知り合い?」
健斗は少し落ち着いた感じでみんなに苦笑いをしながら言った
「いや……あのさ、別に深い意味なんてねぇよ?その――」
「ちょっとお前は黙ってろ?」
「ねぇ、大森さん?」
麗奈は質問攻めされて少し戸惑っていた
「う〜ん……それは……」
麗奈は健斗をチラリと見た
明らかにどうしようと言って訴えている
もし正直に言えば、居候のことがバレるし……
でもどう言い逃れるか……
「もしかして……二人とも……つ、付き合ってるとか?」
「はぁっ!?」
健斗はそれにかなり反応した。顔を赤くして、めいいっぱいに反駁した
「いやっ!!それは違うからっ!!絶対ないから!!」
「じゃあ二人はどんな関係なんだ?山中……ちゃんと説明するんだ……」
健斗は男子たちにズイッと詰められた……
何て言えばいいのか分からない……何て言い逃れよう……
完全に頭の中がパニックになってきた
「……えっと……その……」
「イトコさんなんだよね?」
ふと後ろから早川が、微笑みながらそう言った。男子たちは一斉に後ろを振り向いた
「昨日から山中くんの家の近くに引越してきたんだよね?」
「そうなん?つーかイトコ?」
男子たちが疑い深くそう聞いた
健斗はコクコクと頷くだけだった
「でもイトコって結婚出来るんだよな……」
「いやっ!!だからそういう関係じゃないからっ!!」
健斗はまた顔を赤くして否定した
男子たちは何か腑に落ちない感じだった
「イトコか〜……つーか何で早川知ってんの?」
「えっとね……昨日山中くんに会ったから……」
「そっかぁ……ならいっか……イトコかぁ……イトコかぁ……」
「うんっ。だから二人は親戚同士なんだよ。ねぇ、山中くん?」
早川にそう訊かれ、健斗はゆっくりと頷いた
「そ、そう。ただの親戚だよ……」
「……そういうことか」
「まだ望みはあるな……」
男子たちは少し嬉しそうに納得して健斗たちから離れていった
健斗は冷や汗を拭い、ほっと安心するようにため息を吐いた
「危ないとこだったね♪」
早川が微笑みながらそう言った
「あぁ……マジありがとう早川……助かったよ」
すると麗奈も少し苦笑いを浮かべていた
「ありがとうね結衣ちゃん。健斗くんと約束したこと破っちゃいそうだった」
「お前なぁ……」
「約束?」
早川が訊くと、麗奈はにっこりと笑った
「うん。しばらくは居候のことは話さないって約束したの。ありがとう結衣ちゃん」
「そうなんだ♪お礼なんかいいよ〜」
と早川はフフッと笑った
「いや、マジ助かったよ……ありがとう早川」
健斗はゆっくりと頭を下げながら、早川にお礼を言った
「だって言ったでしょ?困ってたら力になるって」
早川はにっこりと微笑みながらそう言った
「……あぁ。ありがとう早川」
健斗も笑いを浮かべて早川にお礼を言った
早川は本当にいい人だよ……頼りになるし……あのときから……全然変わらない優しい笑顔……
俺はそんな早川を好きになったんだ
健斗と早川は笑いながら話していた
ただ……麗奈はそれを黙って見ていたことを健斗は気づいてなかったんだ……
「麗奈ちゃん、同じクラスになれたね♪」
突然早川に話しかけられて麗奈は少し戸惑った
「あ……うんっ!!そうだね♪私結衣ちゃんいてくれてよかったぁ♪」
「そうだね♪あとでゆっくり話そうね?それじゃ」
早川はそう言ってまた自分の席へと戻っていった
健斗はしばらく呆然としていた……早川の魅力に改めて気がついたからだ
「ふぅ〜……危なかったぁ。結衣ちゃんに感謝しなきゃ♪」
「ったく……」
健斗は呆れ返るようにため息をついた
でも何でかな?今のでバレても……どうでもいいように思えている。
別にバレたから何?
みたいな感じで……
「つーかお前先に戻ってたんじゃねぇの?」
海斗がそういうと、麗奈はえへへと言いながら、笑いかけた
「ちょっと……迷っちゃった♪ここ広いから」
「はぁ?」
どんだけ方向音痴なんだよ……ったく……
すると授業開始のチャイムが鳴った
今日の一時間目は現国だ。
先生が教室に入ってきて、みんなは騒ぎながら座った
「はい、日直号令」
先生がそう言って、号令をしてから先生は教科書を開いた
「じゃあ今日は昨日の続き……28ページを開いて〜」
先生がそう指示し、生徒たちは教科書を開く
もちろん健斗も開いた。ふと横を見ると、麗奈は少し困っていた
「そっか、お前まだ教科書渡されてないのか」
健斗がそう言うと麗奈は頷いた
「ったく仕方ねぇな……ほら、机くっつけていいから見ろよ」
「あ、うん」
麗奈はいそいそと机をくっつけてきた
「ノートもないんだろ?俺のルーズリーフ分けてやるから……」
と健斗はルーズリーフを取り出して麗奈に渡した
麗奈はにっこりと嬉しそうに笑った
「ありがとう♪」
健斗はプイッと少し照れるようにして、前を向いた
「……健斗くんってさりげなく優しいんだね」
「……別に……」
健斗が少し照れた感じで言うと、麗奈はまたにっこりと微笑んだ
「でも、私健斗くんのそういうとこ好きだよ♪」
麗奈が優しい笑顔でそう言ってきた
「はっ!?ば……バカッ!!何言ってん――」
健斗が顔を赤くして慌てた様子で大声で叫んだ
するとみんな、健斗を一斉に見てきた
「あ……」
「山中〜?どうかしたか〜?」
「いや……すいません……」
健斗は恥ずかしくなって下をうつ向いた
恥ずかしい……いや、この胸の高鳴りは……いったいなんだろう?
健斗はチラリと麗奈を見た。
麗奈は健斗を可笑しそうに見て笑っている
またバカにしているのか……からかっているのか
でも胸の高鳴りは、消えなかった