第0話 若桜町立氷ノ山西高校
若桜町立氷ノ山西高校。鳥取県内の高校で唯一の町立高校だ。
県内のはずれに位置する町内の中心地からさらに、バスで40分以上揺られたところに高校はある。
以前は鳥取県立若桜高校東分校だったが生徒数の減少により一時廃校となり、数年後町立高校の全国学区の総合学科としてほぼ同じ土地に再び開校。
アクセスこそ不便だが、改装工事で広がった甲子園球場が何個も入りそうな敷地と、豊富なカリキュラムが話題となり、学校の近くから通う生徒もいれば町外から毎朝電車やバスで通学する生徒も少なからずいる。
授業内容は充実しているが、部活動に関してはどの部も毎年慢性的な部員不足に悩まされており、学校中から助っ人を集めて大会に出場する部活や、他校と連合チームを組んで大会に出場する部活や、同じ町内にある高校や氷ノ山を挟んで隣にある兵庫県立養父高校氷ノ山分校などと合同で練習に励む個人競技の部活もあれば、学内や地域のみの活動だけで大会などには出場しない部活など様々な形態をとっている部活がある。
そのような事情もあり部活動の成績は良いとは決して言えない。
野球部は昨年夏に合同チームで出場したが試合途中で棄権。サッカー部・バスケットボール部も合同で初戦で大破。
そのほかの運動部も卓球部の個人の部で一人県大会まで進んだ者や文化部で県の総合文化祭やコンクールで入賞したものがいたがそれ以外は撃沈。
この小説はそんな田舎の僻地と呼ばれそうな所にある高校の話である。