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4.出自

時は流れに流れ、既に10年以上は経とうとしていた。

俺の齢は既に17、それまでに母である魔女からひたすらに魔法の手ほどき、魔力の供給を受け、能力値は圧倒的な成長を見せていた。

そんな中、俺はやっと自ら、旅に出たいと思い始めた。

この世界に来る前には戦闘に関しての事や、危険を冒すようなことはやるつもりはなかったのだが、いざ魔法を使えるようになり、自分の身体能力が前世では考えられないような動きが出来るようになっているのを自覚した瞬間、考え方が変わったのだ。

そして俺は、魔女である母親にその旨を伝える事にしたのだ。


「母さん、俺旅に出たい」

「いいわよ」

「すげぇ軽いな!?」


あまりの軽さにこけるかと思うほどだ。

しかし本題はこれだけでない、重大な問題がある。


「それで母さん、あの赤い槍のことなんだが」

「いいわよ」

「まだ全部言ってねえよ!?」


またしても軽い。

そこまで重大な問題でもなかったのだろうか。


「えぇ・・・持っていっていいか?」

「ほらほら持ってきなさいほら、まず私槍とか趣味じゃないし」


なんというぶっちゃけであろうか。

深刻に考えていた俺が馬鹿みたいじゃないか。

母さんは槍を持ち出してきて俺に手渡してくる。


おそらくこの槍はゲイボルグ。

2mはあろう長さだ。

伝承によれば

・敵軍に残らず刺さる

・敵を逃さず命中する

・稲妻のような速さで敵をまとめて貫く

突き刺した場合の能力は

・敵の全身の細胞へ毒を残す

・全身の内臓と血管の隙間に大釘を残す

・どんな防具も貫通する

・奇妙な軌道で突き刺さる

・無数に枝分かれして刺さる

・この槍でつけた傷は直らない

・刺された者は必ず死ぬ

と、それぞれ色んな話がある。

材質は海の怪物の骨から作られたとされ、足の指の間から投げるというこれまたおかしな使い方をされたらしい。

手を離れると敵に必ず命中し、ひとりでに戻ってくるという話もある。

まあこれは投げれば必中という意味だとは思うが。

全く規格外な槍だ。

コレが本当に本物であればの話だが。


「あ、そうだ母さん。気になってたことが」

「ん?何?」

「俺の事実験がどうたらとか言ってたことないか?」


俺の質問に母さんはんーと少し悩むと、答える。


「そうね、あるわ」

「その実験って」

「貴方の成長プロセスよ」


ニコリと笑みを浮かべる母さん。

ほんと良く分からない人だ。


「あ、そうそう。この周り危険だから抜けられないようだったら旅は諦めたほうがいいわよ」

「んなっ」


母さんはそれだけ言い残すと行ってらっしゃいと手を振りながら自室に帰っていく。

見送りすらしてくれない酷い親である。

そして最後の最後で大問題が発生する。


「俺実戦経験ないんだけど・・・」


齢にして17。

やってきたのは棒を振り回すのと魔法の練習だけである。

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