1.異世界転生
「おお~。私に似て可愛いわね~」
うふふと笑いながら俺を抱き抱える女性。
どうやら赤ん坊から新しい人生は始まるらしい。
転生だからそれもそうか。
「実験の為とはいえ初子育てね・・・、ほらほらお母さんですよー」
にこにこと俺をあやす女性、もといお母さん。
って、え?実験?何?何する気なの?
不安を尻目に母は俺をベッドに寝かせ、大人しくね、と一言残し去っていく。
嘘だろ、もしかして物凄く不味い家に産まれてしまったのではないのか。
こうして俺の異世界人生が始まった
まあその不安は置いておこう、まだ何も出来るわけでもないしね。
今するべきことは能力値の確認と黒い取引の報酬の確認だ。
しかし能力値なんてどうやって確認するのか、とりあえず頭の中で念じてみるか。
「(能力値出ろ!)」
呼応するように頭の中に真っ白な世界で見た書類と同じものが頭に浮かんでくる。
STR(筋力):15 成長促進:1
DUR(耐久):10
CON(体力):10
AGI(敏捷):15 成長促進:1
DEX(器用):20 成長促進:3
POW(精神):10
FOR(理力):10
INT(知性):10
LUK(幸運):10
HP(生命):200/200
MP(魔力):200/200
変動が全くないじゃないか!
赤ん坊だから仕方ないのは仕方ないかもしれないが。
次に武器の確認だな。
同じように念じたら出てくるのだろうか。
物は試し
「(ゲイボルグ出て来い!)」
念じると、俺が寝ている部屋の壁を盛大にぶち破って赤い槍が飛んでくる。
待て待て!そんな登場は期待してなかった!
音を聞きつけたのか、部屋の扉を勢い良く開けて入ってくる我が母。
ちなみに飛んできた赤い槍、ゲイボルグは俺の真横にゆっくりと落ちてきた。
「なにこれ・・・」
ほんと何なんでしょうね