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Battle Job Online  作者: 栗山ハル
【1.Battle Job Match】
9/30

8.呪仮面話

「疲れた…」

 町に戻った俺はとりあえず道具屋の人に記憶を渡して休むことにした。

 このゲームがどれくらいの早さでLvをあげららるのかはわからないがゲーム開始1時間もたっていないような状態でLv11は異常だろう。

 あとから聞いた話だとこのゲームでは5Lvくらいまでは30分で1Lvくらいのペースらしい。

 ステータス画面を開くとAPが50溜まっていた。

 1Lvで5上がるようになっているらしい。

 次にアイテム画面を開くと大体10000ソル溜まっていた。

 初期金額に戻ったようだがなんだか汚れたお金のような気がしてならない。

 とはいっても手に入れたものは仕方ないのでありがたく使わせてもらうことにしよう。

 少し休みたかった俺は宿屋に行って体力を休ませつつAPを振り分けることにした。

 とりあえず近くにある宿に入った俺はまず金額の高さに驚いた。

 何と1泊3食で2kソルもするのだ!

 初期金額では一週間と持たない。

(悪徳すぎる…)

 そしてこれでも安いというのだから驚きだ。

 実際俺の場合はAP振り分けするだけだからそこまでこだわらないわけだが。

HP150(100+50)

MP1500

物理攻撃力4(4+4‐4)

魔法攻撃力24(8+8×2)

物理防御力4(4+8‐8)

魔法防御力16(8+4×2)

力10

残AP50

 この中のどれかに振り分けするわけなのだが、俺の場合はほぼ決まっているも同然だ。

 ちなみに1AP振ったからと言って必ずしもステータスが1上がるわけではない。

 攻撃力関係は1APにつき3、防御力関係は1APにつき4、HP、MPは50、力は1となっている。

 話を戻そう。

 まず俺が振るべきステータスだが…ペナルティのせいで三つはつぶれている。

 まずは物理防御力と物理攻撃力。

 コレは上げたって4から上がらないのだからはっきり言ってAPの無駄遣いだ。

 では残りの一つは何か。

 それはHPだ。

 防御があげられないならせめてHPをと考える人もいるだろう。

 だが、良く考えてほしい。

 どんなRPGでも初期装備でラスボス的存在に突っ込んで行ったら軽くダメージはカンストするだろう。

 よってHPにもあげない。

 残りは4つ。

(んー…)

 迷った挙句順番に割り振ることにした。

HP150(100+50)

MP1630

物理攻撃力4(4+4‐4)

魔法攻撃力102(8+(39×2)+(8×2))

物理防御力4(4+8‐8)

魔法防御力112(8+(48×2)+(4×2))

力22

残AP0

 振り分けてみて分かったが、このステータスは最初に出ている数字が最終的な値で、カッコ内の最初の値が初期値、次のカッコがあとから増加させた値、最後のカッコが装備で増加させた値らしい。

 なんか大丈夫かな、俺…。

 だんだん心配になってきている。

 やっぱりチートっぽい値なんじゃないか?

 そんなことを考えて唸っていると急に腹が減ってきた。

 仮想世界内でも腹は減るんだな…。

 そう思って外に出ようと窓から外を見たとき

「ッッ!!?」

 本来いないはずの人が町を歩いていた。

 そう、同じ家で暮らしている人の一人。

 井上美紀…俺の実妹が…。

 彼女の姿を見た瞬間俺は顔を引っ込めた。

 そして思考。

 何故ここにいる?

 偶然アイツもこのゲームのβテストに応募していた?

 そんな偶然があってたまるわけがない。

 もしそうだったとするなら偶然アイツはこのゲームのβテストに応募し、偶然俺が家に居ない時間に家にゲームハードが届いたということになる。

 二つの偶然が同時に起こってたまるか。

 だがアイツがいるとなると非常にマズイ。

 正直に言ってあの事件の関係者とは一切かかわりを持ちたくない。

 他の人となら普通に話せるのだが、関係者となると話は別だ。

 しかも俺はこのβテストに当選したとき家でかなり騒いだ。

 彼女もそのことを知っている。

 そして今、彼女は誰かを探しているように見えた。

 十中八九俺だろう。

 居なくなるまでここを動かないようにしよう。

 そう思った俺は部屋でスキルの確認をしてから飯を買いに行くことにした。


◇   ◇   ◇


 Lvが上がったことにより多くのスキルを習得していた。

 その中に今の俺にぴったりのスキルがいくつかあった。

 まずは無属性魔法スキル〈透明化(インビジブル)〉、効果は名前の通り一定時間透明になるというものだ。

 ただし、透明になっているときに詠唱したりすると解除されてしまう。

 それを差し引いても味方にも物にもかけられるからなかなかに便利なスキルだと言えると思う。

 二つ目は闇属性魔法スキル〈七死師(ネームレス)〉、効果は七回死ぬまでの名前の変更。

 もちろんかけなおしもできる。

 ただ、コレを使うとその後丸一日MPが回復しなくなるのだ。

 そして最後の一つ召喚魔法スキル〈共歩き(ドッペルゲンガー)〉、自分と同じ姿かたちをした分身を召喚する魔法だ。

 これにも欠点があり、召喚した分身は何もせずただそこにいるだけ。

 それも数分という短い時間だ。

 まあ時間稼ぎには使えるからいいだろう。

 そしてこの三つは序盤で使える便利なスキルというところからか、はたまたあまり使うなよ、という意味なのかは分からないがMAXMPを全消費するという悪徳さだ。

 まだ〈透明化〉と〈共歩き〉は回復できるからいい。

 だが〈七死師〉は丸一日自然にも、ポーションでも回復しないのだ。

 安全なマップでやる必要がある。

 詠唱文に目を通していたのもあってもうアイツの姿を見てから一時間程経っていた。

 外を見ると誰もいない。

 おそらくみんな狩りに行ったのだろう。

 腹も減りすぎてやばかったしちょうどよかった。

 道具屋にでも買いに行こう。

 そう思って俺は宿を出た。


 道具屋に行き軽い食べ物を買ってもまだ6kソルあったので初心者用の回復薬でも買おうとしていた。

 初心者用のポーションと普通のポーションだと値段が倍近く違う。

 回復量は同じなのに、だ。

 1発ダメージ貰えばどうせ死ぬわけだし、俺はMPポーションだけを買うことにした。

 初心者用MPポーションの値段は1個200ソル、回復量は20%だ。

 後で買いたいものもあるし、少しくらいお金は残しておきたい。

とりあえず20個買おう。

「すいません、この初心者用のMPポーションを20個もらえますか?」

 そう声をかけたNPCからの対応は少々意外なものだった。

「すいません、こちらは初心者の方にしかお売りしていないので…」

 わかってるよ!

 まだ一時間ちょっとしかやってないんだから初心者に決まってるだろ!

「わかってますよ。さっき〈マジシャンの説明書〉を買った者ですよ。まだまだ初心者です」

 そう言うとNPCは何か思い出したような顔をした。

 すごいな、今時のNPCは記憶まであるのか。

「先ほどの方でしたか。凄いですね!数時間で初心者を卒業するなんて!」

 は?

 ちょっと待て、俺はこのゲームで何回驚かせられなくてはいけないんだ。

「まだまだ気持ち的には初心者なんだけど…」

 俺がそう言うとNPCはクスッっと笑った後

「面白いご冗談ですね――」

 と言った。

 いやいやいやいや、冗談じゃねえよ、割とマジだよ!

「だってもう10Lv超えているじゃないですか」

 …なるほど。

 わかりたくなかった。

 このゲームでの初心者は10Lvまでのことだったんだな。

 つまり俺はさっきのPK騒ぎのせいで初心者ではなくなってたと。

「そうですか…。じゃあ普通ポーションを10個ください…」

「はいっ!ありがとうございます。合計4000ソルになります」

 テンションがた落ちだ…。

 ショックを受けながら俺はもう一つあった買い物を済ませるため防具屋に向かっていた。


 防具屋と道具屋は割と近くにあった。

 初心者が迷わないように近くに設置したのであろう。

 時間にして2分弱と言ったところだ。

「すいません、仮面ってありますか?」

 ついて早々防具屋のNPCにそう聞いた。

 仮面を買う理由は簡単。

 アイツに見つかる確率を少しでも減らすためだ。

 顔は現実世界と同じ、だったらいくらアバターの名前を偽装しても仕方がない。

 まずは顔を隠すものを手に入れなくては、ということで仮面を買うことにしたのだ。

「あるよ、どれにする?」

 そうカタログを持ちながら俺に聞いてきたNPCは道具屋のNPCとは違い、ごついオッサンだった。

 背は2mほどで常人離れした筋肉量、そして髪は坊主。

 正直迫力がある。

 ただ顔つきは結構穏やかで、話のトーンもとても優しそうだった。

「一番安いのはどれですかね?」

 俺がそう聞くと防具屋NPCはカウンター下をごそごそと漁りだしある一つの仮面を取り出した。

 …禍々しいオーラを放って不気味に笑っている白い仮面を。

「これだな!今なら特別に無料で譲ろう!」

「……」

「…仕方ないな、10000ソル位なら払おうじゃないか」

「ちょっと待ってくれ!そんなにやばい代物なのか!?ちょっとステータスを見せてくれ!」

 防具屋が金を払ってまで客に渡したい装備?怖すぎるわ!


アイテム名:〈道化師の仮面(呪)〉

 種類:アクセサリ

 効果:HP+100

    MP+100

    魔法攻撃力+10

    魔法防御力+10

    物理攻撃力+10

    物理攻撃力+10


 …何この序盤のチート装備みたいなの。

 (呪)というのは考えるまでもなく呪われているという意味だろう。

 それも聖属性魔法で〈呪い解除(ディスペル)〉というのがあった気がする。

 それで解除すればいいだろう。

 っていうことはコレ結構いい取引なんじゃないか?

「呪われている装備をつけると何かデメリットはあるんですか?」

 一応気になったから道具屋NPCにそう聞いた。

「外せなくなるな、その装備が」

 何だ、それだけか…。

 正直ほっとした。

「てっきり人格とか変わるのかと思ったよ…」

「……」

「え!?そこ黙るの!?怖いわ!!」

 正直「そんな訳ないだろ~」みたいな反応を期待してたのに不安要素が増えただけだ。

「いや、多分この仮面のせいじゃないんだがな…、昔ちょっとした事件のようなものがあってな」

 この世界にも歴史は存在するらしい。

 少し気になるのでそのまま聞いてみることにした。

「初代のこの装備の所有者はバトルジョブマッチの連続優勝者だったんだ」

 バルルジョブマッチというのは週に一度あるこの世界の最強決定戦のようなものだ。

 英語でBattle Job MatchというところからBJMと略されるらしい。

「そいつは戦って戦って、最後は狂戦士のようになりながらも戦っていたんだ。だが人にも寿命がある。そいつはあっけなく最期を迎えた。そしてこの仮面はその弟子へと渡されたんだ。だがその弟子が仮面をつけると外せなくなった」

 つまり呪われてたんだな。

 ここで終わるのかと思った俺はまだ話が続いていることに軽く驚きつつも話をそのまま聞いた。

「最初は少しショックを受けていたが次の日には普通に過ごしていた。だが日が経つにつれてそいつの言葉や行動が初代所有者に似てきて最後は全く同じ死に方で死んだ。というただの昔話だ」

「どう考えても仮面のせいだろ!!!よくただの昔話で終わらせられると思ったな!」

 本当に何でもないようなことを話したように言う道具屋NPCに軽く怒りを覚えてそう返した。

 うわ、なんか急にコレ怖く見えてきたよ、なんか嫌なんだけど!

「コレ引き取るのに10000ソルしかくれないの?」

 なんか割に合わない気がしてきた。

「仕方ないな…50000ソルやろう!」

「貰ったあああ!」

 こうして俺は道具屋に装備を買いに行ったのに、なぜか金も装備も増えた状態で帰宅することになった。

一応ダメージ計算式なども前に作ったのですが、そのデータはコピーとってなかったので作り直しです…

時間かかるかもしれませんが一応アップする予定です

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