1.不安情報
いろいろ伏線張ろうとしてるけど難しい…
Battle Job Onlineに監禁されてから2週間が経った。
着々とLvをあげていた俺とマリナはようやく30Lvを超えたあたりだ。
最近Lvが上がりにくくなってきたな、と思っている。
え、一昨日あった2回目のBattle Job Matchがどうだったかって?
予選負けましたけどなにか!?
いや、だって個人の乱戦とか俺にとって無理ゲーだって。
フィールドは闘技場で人数は40人前後、〈銃使い〉の流れ弾に当たって死にました。
うん、あっけなかったね、周りの人も驚いた顔してたもん。
「マサ、いい加減にしてください…。次は遠距離物理攻撃職の人を見返すんでしょう?頑張りましょう、ね?」
ベッドの布団にくるまってふて腐れている俺をそう励ましてくれるマリナは結構いいところまで行った。
確か準決勝くらいまでは行ったはずだ。
ああ、優勝?
んなもんホールに決まってる。
正直狭いフィールドでの個人乱戦でアイツに敵うやつなんかいないと思う。
そんな時、部屋にコールを知らせる音が鳴り響く。
HPバーの下に何も表示されていないことから俺へのコールではないらしい。
「あ、私です、マサ。少し席を外しますね」
そう言ってマリナは部屋を出た。
まあ、この部屋には俺とマリナしかいないわけだからマリナへのコールだったのだろう。
ちなみに自分へのコールはHPバーの下にコールしてきた相手の名前が表示されるらしい、ソースはマリナ。
何で人伝かって?コールかけてくるようなフレンドいねえんだよ、言わせんなよ。
自分で考えていたことに自分で落ち込んでいるとマリナが部屋に戻ってきた。
戻ってきたマリナの顔はあまり嬉しそうには見えない。
「どうかしたか?」
「いえ、なんでもないです。…ちょっと今日予定ができてしまったので別行動にしましょう。ごめんなさい」
「ああ、気にしなくていいよ。それじゃ俺はポーション類の買い足しでもしておくよ」
「ありがとうございます。…本当にごめんなさい」
「気にしなくていいって。それよりほら、予定を済ませちゃわないと」
マリナが気にしている様子だったので俺がそう言って笑うと、マリナは不安そうな顔から安心した顔に変わった。
そして「はい!それじゃあ行ってきます」と言うと軽い足取り……ではなかったが、普通に外に出て行った。
マリナにとっては自分の都合で人に予定を変えてもらう、と言うのはあまりない経験だったのだろう。
そんな心配しなくてもいいのに、と思うと同時に最後には安心してもらえたことで、俺も少し信頼されてきてるんだな、という風にも思った。
「よし、じゃあ俺も行ってくるか」
普段誰かといるといざ、1人になったときに独り言が増えてしまうらしい。
誰もいない室内にそう言ったことに少し恥ずかしさを覚えながらも俺は道具屋へと買い出しに向かった。
まだ普通のポーションでも大丈夫かな…。
二人とも聖属性魔法が使えるからHPポーションは大丈夫だとしてもMPポーションの回復値がちょっと不安なんだよな…。
いざという時のためにMP30%回復のハイMPポーションとMP50%回復の老樹の雫も買っておくべきだろうか…。
「お客様、MPポーションでお悩みですか?」
MPポーションはカタログではなく店頭に陳列してあるのでそれを唸りながら見ていると道具屋NPCからそんな声がかけられた。
店には俺以外に客はおらず、どうやら道具屋NPCも暇をしていたらしい。
「まあ、少し…。えーと店員さんじゃないか……道具屋さんって名前あるんですか?」
質問をするにも名前がわからなくては始まらない。
気になった俺はそう聞いてみることにした。
「はい、ありますよ」
そう笑顔で答え、続けて名前を言った。
「アイテム販売のNPCなので私は〈Ai〉です。今後もよろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いします」
深々と頭を下げるアイにつられて俺も頭を下げる。
それにしても名前まであってこの返答機能…俺の知らないところで人工知能の技術ってこんなに進歩してたんだな…。
「ところでマサさんはどれとどれでお迷いなんですか?」
「あれ?俺の名前知ってるんですか?」
「はい。数人ですがお得意様は名前を憶えていますよ?特にマサさんは需要が低く値段が高いMPポーションを大量にお買い上げになられますので。よく女性の方と一緒に来られますよね?」
ああ、マリナの事か。
まあ、俺は未だ仮面着用だし、いい意味か悪い意味かは別として目立ってるからな…。
マリナの名前より俺の名前を覚えるのは当たり前かもしれない。
MPポーションの需要の低さはそのまま魔法職の少なさを表しているのだろう。
他の職業は余り使わないみたいだしね、MPポーション。
「…それでマサさんはどれとどれで……?」
続けてそう言うアイ。
そういえばそう言う話だったな、と思えつつさっきまで考えていたことを正直に答える。
「んー…、Battle Job Matchをメインで考えているなら回復力の高いポーションは必須です。それだけ回復時のスキを減らすことができます。ただ、普段のLv上げでは普通のMPポーションで十分だと思います。ポーションのランクが上がれば回復冷却時間……連続服用時の回復値減少の時間は減りますが、普通のMPポーションでもそれは30秒です。よほどリスキーな狩りをしない限りそれで足りない、なんてことにはならないと思いますよ」
おお、流石道具屋!
正直回復冷却時間については正確な時間を把握していなかったため、知ることができてうれしい。
やっぱりNPCとの会話とかも大事だよね、ゲームって。
つまりBJMで張り切るとき以外は高価なポーションを買わなくていい、ってことだよな。
「じゃあMPポーションを100個ください」
マリナの分50個と俺の分50個、合わせて100個だ。
「はい。40000ソルになります。…商品送りますね」
そう言うとアイはアイテムウィンドウを開いてアイテムを俺の方へ向けてフリック、数瞬後、俺の残金から40000ソルが引かれ、代わりにMPポーションが100個増加した。
「ありがとうございます」
そう言った後でもう1つ聞きたいことがあるのを思い出した。
「そういえば前に渡した記憶はどうなりました?」
そう、〈プレイヤー消失事件〉でドロップした3つの記憶は他でもないアイに渡したのだ。
「あれは無事お渡ししましたよ――」
それを聞いてひとまず安心した俺に続けて告げられたのは予想外の情報だった。
「――でも、皆さん仲間がいてよかったですよね。だって、記憶をなくした人は記憶をなくしたことを忘れてしまいますから」
え?
「それってどういう――」
「あ、いらっしゃいませ!」
俺がそのことを尋ねようとしたとき、他のお客さんが入店した。
この話をこのまま続けるわけにはいかないか…。
そう思った俺は店を後にすることにした。
「それじゃ、また」
「はい。それではまた、近いうちに」
俺の定型句にそう笑顔で答えられて悪い気はしなかった。
とりあえず今日はやることないし、家でマリナが帰ってくるのをまとう。
そう考えて俺は宿へと足を向けた。
どうでもいいことですけど、友達に2章のプロット軽く話したら
お前、心大丈夫か?
って軽く心配されましたw




