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Battle Job Online  作者: 栗山ハル
【1.Battle Job Match】
13/30

12.初日暮時

短いですが、キリがいいので

「マリ、いっちゃったね…」

 〈Right〉というプレイヤーに手を引かれて去って行ったマリちゃんを遠くに見ながらヒナちゃんがそう呟いた。

「でも、フレンド登録してあるしまた会えるよね!」

 見るからに空元気だけど、声を張りながらヒナちゃんがそう言った。

「いざとなればコールすればいいし大丈夫だよ!」

 今気づいたことだけど、どうやらヒナちゃんは私を励ましてくれようとしているらしい。

「ありがとう、ヒナちゃん」

 気遣いを無駄にしないために私はヒナちゃんにそう言った。

 だけど私が元気をなくしている……というか、考え事をしている大きな理由はマリちゃんがいなくなったからではない。

 もちろんそれも悲しいけど、考えているのはそのことではない。

 あの〈Right〉というプレイヤー、私はお兄ちゃんだと思っている。

 こう考えたのにもいくつか理由がある。

 さっきのマリちゃんの話を聞く限り、マリちゃんを助けたのは十中八九お兄ちゃんだろう。

 そして、マリちゃんがフレンド登録してるのは私、ヒナちゃん、おそらくお兄ちゃんもしているはずだ。

 さっきの反応、フレンド登録をしている人を見つけた時の反応だった。

 これが一つ目の理由だ。

 そして二つ目、コレは単純に計算だ。

 まず、装備。

 初期防具は全職業共通で判断することができない。

 だけど、初期武器なら?

 百を超える職業があるBJOにおいて杖を初期武器に取るのは最初のオリエンテーションのせいもあり、大分減った。

 約3%、900人だ。

 その中で男性の割合はざっと見た感じ30%、270人。

 茶髪のプレイヤーの割合は全体の約10%、この比率を適用、27人。

 もちろんこの27人の中に〈Masa〉と〈Right〉がいるのかもしれない。

 だがその確率は低いだろう。

 でもその中で声も同じ人が何人いるのだろうか。

 背も同じ人が何人いるだろうか。

 走り方まで同じ人が何人いるだろうか。

 それにあの目…今日現実世界で私を見ていた目と同じだ。

 こんな考えから私は〈Masa〉と〈Right〉が同一人物だと思っている。

 今のままでは多分話を聞いてもらえもしないだろう。

(強くなろう)

 お兄ちゃんもきっと強い。

 バトルジョブマッチで上位に行くはずだ。

 そのトーナメントで当たればいい。

 そのためには私も強くならなくちゃいけない。

「よし、Mob狩りに行こう!」

「え、あ、うん!急にびっくりしたけど行こう!」

 そう言って私たちはMob狩りに出た。

 待っててね、お兄ちゃん。


◆   ◆   ◆


「Lv上げに行きましょう、マサ!」

 あの後少し話してマリナには俺のことを呼び捨てにしてもらうことになった。

 これからは二人でパーティを組んでLvをあげることにしたのだ。

 同じ仲間なのにさん付けも変だろ、そう思った俺は結構頼み込んだ。

 ちなみに俺はそのままマリナと呼んでいる。

「無理だって…、何度も言うように〈七死師〉つかったせいで明日までMP0のままなの」

 ちなみのこの会話はもう3回程している。

「マサならいけます!」

「どこら辺がいけるの!?物理攻撃、防御が初期値の俺は〈ゴブリン〉すら満足に倒せないんだけど!?」

 根拠を教えてほしい、根拠を。

「でも、Lv上げないと私もマサもどんどん取り残されて…」

 そうか…そう言えばマリナはまだLv上げも満足にしてないのか。

 それに俺のLvも伝えてなかったな…。

「あの…さ、マリナ」

「何ですか?」

 マリナがそう上目づかいで聞いてくる。

 コレを自然にやってのけるから恐ろしい。

「実は俺、もう11Lvなんだけど…」

 場の空気が凍った……気がした。

「え、マサ…嘘ですよね?だってマサ全然狩りしてないはずなのに…」

 驚きを隠せない様子で俺にそう言ってくるマリナ。

 なんかごめん…。

「プレイヤー消滅事件だっけ?その事件知ってる?」

「もちろん知ってますよ!今日のプレイ開始後すぐにMob狩りをしてたプレイヤー30人とその近くのMobが消滅した事件ですよね?」

 なんでそんなことを聞くの?と言わんばかりの顔でそう返された。

 ああ、やっぱり認知されてるのか…。

「その事件さ、やったの俺なんだよね。そしたらLvが10上がっちゃった」

 ちょっと御茶目に言ってみた。

 そうすれば誤魔化せるかな、と思って。

「な、な…な……」

「〈魔法透明化〉と〈闇の雷〉っていうスキル試したくてさ…。よし、じゃあ今日はもう休もうか」

「なんでそういう事を最初に言わないんですか!?」

「ゴメンな!聞かれなかったからいいかなって…」

 話を流そうとしたのに…。

「これからはスキルを試すときは人目のないところにしてください!恨みを買ってPKされたらどうするんですか!?それから……」

 その後暗くなるまで俺はマリナから説教を受けた。

 だけど、それは説教というよりは心配だから気を付けて、というお願いのようだった。

 久しぶりだな、人に心配してもらうなんて。

 説教を受けながらそんなことを思っていた。


「やっぱり眠くはなるんだね…」

「はい…私も今日は疲れました」

 BJO内でも食欲同様に睡眠欲もあるらしい。

 このゲーム人間の三大欲求かなえられるようになってるんじゃないのか?

 それもそれで問題だと思うけど…特に残りの一つが。

 宿には幸いなことにベッドがあったのでマリナはそこで寝ている。

 「そんなの悪いです!」と言ってベッドを使おうとしなかったマリナを納得させるのにはなかなか大変なクエストだった。

 まさか2人で泊まることになるとは思っていなかった俺はベッドがなく、ソファーで寝ることにした。

 クエスト報酬はソファーで寝る権利か、あれ?これって報酬?

 んー、だったら報酬はマリナと同じ部屋で寝る権利?…これじゃただの変態だ…。

「マリナ、明日は狩りに行けるから…」

「楽しみにしてますよ…」

 もう俺もマリナも眠気が限界に近づいてきている。

 寝よう。

 そう考えて少しすると俺の意識は夢の中へとおちていった。


◇   ◇   ◇


 目を覚ましたころにはもう昼過ぎだった。

 昨日〈七死師〉をつかったのは昼ごろだったはずだからそろそろMPも回復するようになるだろう。

 マリナは?

 そう思ってベッドのほうを見るとマリナはまだ寝ていた。

 俺もマリナも自分で思っていた以上に疲れていたらしい。

 俺がベッドの横へ行き、マリナにそう声をかけると

「…んっ……おはようございます…」

 マリナは割とすぐに目を覚ました。

 寝起きはいいほうらしい。

 マリナはしばらく座ったままボーっとしていた。

 急にハッとなったかと思うと俺のほうに顔を向けて言った。

「見ました!?」

「えーと…何を?」

 いきなりだったからかなりびっくりした。

「私の寝起きです!」

「すぐに起きたし別によかったと思うけど…」

 正直どこに恥ずかしがる要素があるかわからない。

「とりあえず道具屋でご飯と回復薬を買ってからMob狩りに行こうか」

「…わかりました」

 少し頬を膨らませながらマリナはそう答えた。

「なんか怒ってる?」

「…そんなことないです、早く行きましょう」

「やっぱ怒ってるよね!?」

 どこかに起こる要素あったかな…

 そう思いつつ仮面をつけて俺とマリナは宿を出た。


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