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2.捕まりました…

本日2話目です

またまた王宮の庭園の植木の陰からこんにちは!

ミリアリア・ユーザスです。


つい先日もこの植木にはお世話になりましたね。


前回は婚約者の浮気現場をこっそり見る為でしたが、今度は私が隠れる為に利用させてもらっています。何から隠れているのかって?それは…


「よくも逃げたな?ミリアリア・ユーザス」


「ひぇっ」


ガサッと植木をどかして凶悪そうにお顔をニッコリとさせたのは我が国が誇る騎士団の団長様。


顔が整っている為、目が笑っていないとすごく怖く見えるのです。


私が逃げて、見つからない様にしようとしていたお相手です。


「さあ私の執務室へ行こうか?」


そうして私は抵抗できるはずもなく、誰もが憧れる騎士団長様に手を握られるというときめきシチュエーションで連行されました。


なぜこうなった…?


そもそも私は自分が何故こうして捕えられることになったのか検討もついていません。何故逃げたのかというのも…


◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇


これからは元、がつくようになる婚約者の浮気現場を父と共に発見し、婚約破棄へと行動をうつしたのがつい先日。


今日は王宮に父と一緒に来ています。


というのも、彼との婚約破棄はあちらが悪いものの、どうしても私の価値にも傷がついてしまいました。


浮気される女にも問題があると言われるやつですね。ふざけんなとも思いますが。


だからといって彼との婚約を続けたくもなかったので、働く道を選びました。


その結果、婿を迎えて家を継ぐことができなくなりそうなので養子を探すか…など色々と大変になったのですが、まぁそれはそれで。


とりあえず父の知り合いに王宮での仕事の紹介をしてもらう為に来ています。




父の知り合いは王宮の財務を管理する所で文官として働いている方だそうです。


実際にお話を聞いてみると仕事内容はとても興味惹かれるものでした。


昔から学ぶこと自体が好きで夫と共に領地経営ができるくらいに!と学んでいたのですぐにお役に立てると思います。


今も父の補佐としてたまに資料整理などはやっていますしね。


ただ、女性の文官はほぼおらずかなりの狭き門らしいです。


ですが、新しい人材が全然来ないから是非来てくれると嬉しいとも言ってもらえたので頑張って目指してみましょう。


色々とお話を聞けた後、父は私抜きで話したいことがあるそうなので、私は王宮の庭園を散策させてもらうことにしました。


奥の方まで行くと王族しか入れない場所はあるらしいのですが、それ以外は入っても大丈夫みたいです。


そこも入口は騎士の方が立っているそうなので間違えて入ってしまうこともないでしょう。


家に帰ってからのやることを思い浮かべつつ庭園の花を観察します。


さすが王宮、花1つ見ても高級感があるし、よく手入れされているのが分かります。


図鑑でしか見た事のなかった種類なんかもあり楽しくて、いつの間にか鼻歌を歌っていました。


ハッっと気づいて周りに誰もいないか確認したらまさかの少し先に年嵩のいった騎士様がいました。


孫を見る様な目で見つめられているので聞かれていたのでしょう、なんという失態。恥ずかしくてその場をすぐに離れました。


何も考えずに歩いていたら結構な距離を歩いてきてしまったみたいで、騎士団の訓練場が見えます。


そろそろ戻っても良い頃かなと思い、元来た道をもどろうとした時、視線を感じた気がします。


後ろを振り返ってみると訓練場から1人の方がこちらを見ている気が…?


知り合いなんていないはずだけどと思って、数秒そちらを見つめていたらその人がこちらに歩いてきます。


距離が近づいてくると顔が分かってきました。




あれは…まさかバルト・ロメル様!?


この国の王宮騎士団という選ばれし者だけの所の団長で、騎士の中で最も位の高い方。


それにロメル公爵家の次男でたしか陛下の最側近でもあらせられるはず…


そんな高貴な方が私に用があるはずないよね。たまたまこっちに用があるのだろう。


私も散策なんてやめてとっとと帰ろうと思い足早にその場を後にします。






父達がいる最初の部屋に向かっているけれど問題が…


距離は遠いけれど先程の団長様が段々と近づいてきている気がします。


振り返って見ることもできないので何となくではありますが。


このまま歩いていると追いつかれてしまいます。


どうしましょう…


きっと私に用事なんてないとは思いますが。


まさかあの場所は立入禁止だったとか?今の私は逃げていると思われているのでしょうか?


だけど今更立ち止まれません。


あれ?この場所は…




この前元婚約者の浮気現場を見ていた植木がこの先にあります。あそこに隠れてしまいましょう。


角を曲がった瞬間に走り出して植木へ飛び込みそこで息をひそめます。


私は何をしているのでしょう…?


別に悪い事なんてしてないのですから立ち止まって団長様を待って正直にお話するべきだったでしょうか?


じっとしながら考え込んでいるとガサっと音がして、思わずそちらを見上げると目が合います。


◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇


こうして私は騎士団長様に連行されるに至ったのです。やばりどうしてこうなったのか?


思い返していた内にどうやら団長様の執務室に着いたようです。


「そこのソファに座りなさい」


「はぃ…」


扉を開けたままにしてくれているので部屋に2人きりでも問題はありません。


まぁ私的にはまず団長様と話す事自体が大問題なんですけどね。


団長様は何かを棚から出してきて机の上に置いて向かいの席に座ります。


「これは防音の魔道具だ。ここでの会話を誰かに聞かれない為に起動させてもらう」


「魔道具…」


初めて目の前で見た魔道具に感動してついつい見つめちゃいます。


1人1つの固有魔法を持っているこの国では魔法を使っている所はよく見かけるのですが、魔道具は中々ありません。


とても便利な物が多いのですがお値段が可愛くないので我が家では使っていません。


すると団長様にジッと見つめられて、連行されてここにいることを思い出し、慌てて居住まいを正しました。


「そう硬くならなくていい。

…そうはいっても緊張するか。いきなり連れてきてしまい申し訳ない。王宮騎士団の団長を務めているバルト・ロメルだ」


そういって団長様は頭を下げます。恐れ多くて私は慌てて声を出します。


「頭を上げて下さい!その…私も逃げるようなかたちになってしまい申し訳ありません。


かの有名な団長様が私に声をかけることはないだろうと勝手に判断してしまいました。


お会いできてとても光栄です、私はミリアリア・ユーザスと申します。


本日は父の侯爵と共に王宮に務める父の知人を訪ねて参り、父達のみで話す事があり私は庭を散策させてもらっておりました」


「あぁ、君の名前は知っている。この度はご愁傷様…とでも言うべきか」


「ご存じなのですか?」


「王宮のパーティでの出来事が原因だからな。警備からの証言等も含めて事実確認等が行われたんだ」


「そうだったのですね。


私事でご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。ですが、私自体は晴れやかな気分なのです。


大人として迎えてもらう初めてのパーティというあんなに大事な日に浮気するような人と結婚した所で未来が明るいはずありませんもの」


私は笑顔で言い切りました。


すると団長様は声をあげて笑います。


「確かにそうだな。浮気が当然と考える男は多い。

が、俺からすれば1人の女を愛するのも大変なのによくやるわと思っていた所だ。


…だからかな、君のやりかえし方は胸がスカッとしたよ」


「やり返し方…?婚約破棄したことでしょうか。


頻繁にとは言いませんが、多少ならあることだと思います」


「婚約破棄自体はな。


そこに至るまでの過程が素晴らしかった。


浮気現場を父親に直接見せるまでの手腕の方だ。あれはその場で考えたのか?」


あの日、周りには誰もいなかった…カマをかけられてるだけかしら。


「父と庭園に涼みに出たところで偶然にも浮気現場に居合わせ、それが元婚約者だっただけです。

手腕も何もありませんわ。ただ運が良かったとだけしか」


「件のパーティがあった日な、俺も妻と出席していたんだ、陛下の護衛ではなく参加者としてな。


妻が友人達と盛り上がっている間、途中で風に当ろうとベランダに出た。




…君が今日隠れていた茂みだが、周りからは見えずに隠れるのに絶好の場所だと思う。


だがな、あのような場面では上も確認することをおすすめする」


そういって真正面から目を見つめられます。


見つめるという可愛い視線ではなく獲物を逃がさないとばかりの厳しいもので、ゴクリと自分が唾を飲み込む音が聞こえた気がします。


この人の前で嘘はつかない方が良いだろう。それにバレたところで困ることは私にはないはず。


「そうでしたか。今度からは周囲を確認する時は上も見るべきですね。




…ある程度は事前に計画というか考えてはおりました。


今回のパーティーで迎えに行けないという連絡がきたあたりで前日にどこに行くのか等はあたりをつけておりましたので」


「やはりそうか。かなり手際が良かったからな。


…本来、聞いていい事ではないのは分かったうえで聞きたい。


君の固有魔法は人を好きなように眠らせることができるのか?」


基本的に固有魔法については家族以外には話さないもの。そして他人の固有魔法を聞くのも禁止はされてはいないが良くないこととされている。


それを分かった上で聞いてくるということは…


「魔法の発動には条件がありますので誰にでも使える訳ではありません。


…戦争などには使えないとご理解下さい」


騎士団の団長様にあえて問われたということはそういうことなのかと、真剣にお答えします。


私の声色を聞いてその思いが伝わったのか、団長様は少し驚いた顔をした後に笑い出しました。


「はぁーはっは、ははっ…ふっ、すまんすまん。


君の力を利用しようとか騎士団に無理やり入れるとかそんなことは考えていない。


自らの意思で入団した者にしか国の為に命を捨てる覚悟をしろと言えないさ」


「…そうですか。勝手に先読みして勘違いをしてしまい申し訳ありませんでした」


団長様の答えを聞いてほっとすると肩が軽くなりました。どうやら無意識に力が入っていたようです。


「いや。単に答えを返すのではなく、相手の意図をよむことは大切だ。自分の身を守るうえでは特にな。


君の答えを聞いて力を持つ者としての覚悟を感じたよ。そこで改めて聞かせてくれ。


君の固有魔法は指定した人を休ませることはできるか?」


「休ませる…ですか?」


「そうだ。私の親友の話なんだが、様々な理由が重なってここ数年きちんと眠れていないんだ。


隈もひどいしボロボロの状態でな。なんとかして休ませようとしても、家に帰ってまで仕事をされてという具合で。


だから君の力を見た時にあいつに使えるのではないかと考えたんだ。


そして今日。君の姿を偶然とはいえ見かけたものだから近寄ってみれば逃げ出すから、つい追いかけてしまった」


「あれはつい追いかけたという可愛いものではなかった気が…」


「ん?」


眩しい笑顔で言われたら何も言えませんよね。


「何でもありません。えっとそれで本題の休ませるというお話ですが。


…できるといえばできます。


団長様ならむやみやたらに情報を漏らす事もないと思いますので条件もお伝えしてお答え頂ければ可能な範囲かと」


実際、私の魔法の発動条件というのは…


①対象の名前を知っていること


②対象の顔を知っていること


③対象に眠気があること(ぐっすり寝た直後で全く眠くない人などにはかからない)


④魔法発動時に対象の姿を視認していること


まぁ①と③については違う条件を満たせば強制的に眠らせることもできたりするけど、それは言わなくていいか。4つの条件を団長様に説明します。


「そうか、どれも問題ないな。魔法をかけられた者はその場で寝てしまうのか?」


「はい。その人自身の眠気を増大させているイメージですので。


団長様も疲れていていつの間にか寝てしまっていた、なんてことありませんか?そのような感じなんだと思います」


「あぁ、あるな。でもそうか、そうなると…」


団長様は考え込まれてしまったようです。なので大人しく次の言葉を待ちつつ部屋を見渡します。


団長様の執務室とおっしゃっていたので机にはたくさんの紙が積まれています。


…あんなに乱雑に積んでいてなんで倒れないんでしょう?


何となく書類の山を見つめていると団長様がバンッと机に手を置きます。


「ひゃ!」


「君に仕事として頼みたいことがある」


「しっ、仕事ですか?えっと、一体なんのお仕事でしょうか?」


団長様の勢いにおされて少しのけぞってしまいます。


「君にしかできない仕事なんだ!今日は仕事を探しに知り合いを訪ねてきたのだろう?どんな仕事をやるつもりだったんだ?」


「えっと、文官と言いますか、そのお手伝いとかですかね?書類整理とかには自信があったので…」


「本当か!」


団長様は更にグイッとこちらに身を乗り出されます。すると迫力のあるお顔が目の前に…!!


息を吐いたらかかってしまうので返事もできず呼吸すらできません。


「君は書類整理が得意で、あいつを休ませることもできる!」


「あ…」


「こんな素晴らしい人材がいたなんて!是非君に頼みたい。受けてくれるか?」


「ど…」


「そうか!やってくれるか」


「だか…」



強引に話を進める団長様に口を挟めずいつの間にか仕事を受ける感じになってしまっています。


団長様ともあろう人が無理なお願いはしないとは思いますがギラギラした目が何か怖さを感じます。


「ではまず手始めに宰相の任についている我が親友の嫁に来て貰おうか」


「だから何の…って、よっ、よめぇぇぇぇぇ!?」


こうしてまさかの団長様の言葉を聞いて防音の魔道具がなかったら城中に聞こえるのではという位の私の絶叫が響きました。

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