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大雅の復讐

更新頻度すごく低くて申し訳ないです…!

今後も気が向いた時に執筆するのでそれでも見てくださる方がいらっしゃれば嬉しいです。

いじめられてた?ふざけんじゃねぇ。

小中学校のやつらはもう縁切ったはずやろ!

なんで未奈ばっかり…。

なんで言ってくれんかったんや。

俺が全部背負うのに。

あいつの苦しみも、あいつの我慢も、あいつの運命も…。

死ぬなんてあんまりやないか。

言ってくれたら俺がそいつらに復讐したのに。

…復讐……?

そうか、俺にもまだできることがあるやんか。

いたやないか、未奈が屋上から飛んでもなお、笑ってた奴が。

気色のわりぃ笑顔を張り付けてる奴がいたやないか。

一人ずつ俺がこの手で地獄に(ほうむ)ってやる。

誰を地獄に突き落とせばいいかなんて俺の調査力だったら容易いもんや。

未奈の「お友達」を一人残らず殺してやる。

生まれてきたことを後悔するほどの地獄を見せてやる。

____オトモダチごっこはもう終わりにしようや。楽しい楽しい『復讐ごっこ』の始まりや。


どうせ両親は何の役にも立たない。

もともと俺らを疎んでたし、だからこんな古臭い家に捨てたんだろ。

出張なんて嘘や。全部嘘。

俺らを捨てるための、くそみてぇな嘘。

はぁ、今更両親に怒りがわいてきた。

未奈が我慢ばっかしとったのも、そもそもは話を聞いてあげるべきなはずの「親」がいなかったからや。

未奈の害虫になってたんは、お前らもやったんやな。

待ってろ未奈。

未奈に苦しみを与えたこの世には要らねぇやつは全員排除してやるからな。

頼りない兄ちゃんで悪かったな…。

最後くらいは兄ちゃんとして生きるから。

俺の人生は全部、未奈のためにやるから。



「…いが。…大雅!」

「ん…?」

ぼやけた視界に映るのは眉を下げて頬を膨らませている碧の顔だった。

「あ、起きたぁ~!もう、何で夕飯前に寝ちゃうの!」

「え…?あ、ごめん…」

素直に謝ると碧は仕方ないなぁと笑った。

「大雅、うなされてたけど大丈夫?怖い夢でも見たの?」

「あー…いや、大丈夫…。起こしてくれてありがと」

頭をかいて体を起こす。

碧に話すような夢ではない。

それにあのときのことを夢に見るなんて久しぶりだ。

「…そっか。あ、今日はハンバーグだよ!大雅いっぱい食べる?」

「…!食べる」

碧のハンバーグは美味しい。まぁハンバーグに限らないけど。

そんなことを思いながら頷いていると碧がふふっと笑う。

「…なんや」

「いやー可愛いなぁって思って。大雅は仏頂面のくせに意外と分かりやすいよね」

「は?どういう意味やねん」

「んー、目の奥がキラキラしてる。可愛い。大雅はもっと感情分かりやすく出した方がいいよ!」

「…うっせ。余計なお世話や」

ちょっと恥ずかしくなって碧の顔を見ずに席につく。

にやにやしてるのが空気でも分かっていらっとしながらも碧のハンバーグを見て心を踊らせる。

そしてふと気づいた。

(あれ…俺、何のために殺し屋やってるんやっけ…?)

あたたかそうな夕飯。

用意してくれたのは優しく微笑む碧。

碧…?いや違う、ターゲットのはず。

でも俺の心が叫んでいる。

碧は碧だ。殺すべきターゲットじゃない___と。

最近の俺はどうかしている。

碧と過ごせることを心の何処かで喜んでいて、碧がいなくなることを俺自身が拒んでいる。

これは仕事だってわかっているのに、私情が表に出てきて行動を起こせない。

違う、起こしたくない。

碧と一緒にこうやって他愛もない話をしながら美味しいご飯を食べるのが楽しい。

殺さなきゃいけないって分かってるのに、嫌だ、離れたくない、一緒にいたいって小さな俺が我儘を垂れる。

でもそれが本心で、我儘を享受(きょうじゅ)したくて、胸がぎゅぅっと苦しくなる。

(俺は…どうしたらいいんやろ)



「おにいちゃんはすぐ怒る!もうちょっと寛容に生きなさいよねー」

「はぁ?」

ぷくっと膨らんだ頬を見て意味が分からないものの、何となく笑ってしまった。

「なに笑ってるの!昨日だって菜乃花(なのか)ちゃんのこと叩いたでしょ!」

「別に良いやろ。だってあいつ、未奈のこと殴ったし。優しくしてやった方や」

未奈は眉を寄せてため息を吐き出した。

「じゃあ今日ねねちゃんに向かって怒鳴ったことはどう説明するの」

「あの野郎は未奈の悪口を吹聴してやがった」

「は!?そんなことで!?悪口ごときでいちいち切れてたら憤死するよ!?」

「しねぇわ!てかそもそも未奈が全然怒らないから俺が代わりにだな…!」

「おにいちゃんは怒らなくて良いことまで無駄に怒りすぎだけどね!」

「お前は怒らなきゃあかんとこで怒らんやんか!」

「無駄に怒るよりましでしょ!」

「無駄ってなんや!」

俺は後悔してないし、悪いとも思ってない。

やから謝らない。絶対に。

毅然とした態度で振る舞うと未奈はそれを悟ったのか眉を下げて笑った。

「まぁ私としてはちょっと嬉しかったりするけどね。おにいちゃんが私の味方でいてくれて」

「…!ん、俺は一生未奈の味方やで」


未奈がこの世界から居なくなったとしても、俺がいつか死んだとしても、ずっと味方やからな___

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