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魔法少女ひろ爆誕

「なにやってんのお前!?」


 俺は田中から離れると、瞬時に自分の体を確かめる。

 いや、変なとこはない、多分まだ何もされてないはず…はず。

 顔が近かったし、キスとかされてないよな?

 やだよ?俺ファーストキスが田中とか死ねるんだけど。

 最悪の自体を想像していると、田中がちょっと残念そうに口を開く。


「だって魔法少女たんは拙者にガチ恋なんでござろう?初対面の拙者の事知ってたでござるし、誘惑するように拙者の部屋で寝てたでござる」


 何を言ってるんだこいつは?

 いや、まぁ田中がいない上に、女児の睡魔に耐えれず寝てしまった俺も悪いか。

 せめて帰ってくるまでは起きとくべきだった。


 だがガチ恋は断じてない。


「んな訳あるか!俺だよ俺、ひろだよ」

「魔法少女ひろたんでござるな!承知したでござる!」

「違う!お前の!幼なじみの!ひろだ!」


 俺はそう言って自分の学生証を見せつける。

 こんな時の為に持ってきておいて良かった。


「え、えぇぇ!?ひろ氏ー!?」


 やっと通じたのか、田中は驚いて顎が外れている。


「ひろ氏は魔法少女だったでござるか!?拙者を騙してたでござるか!?」

「いや、騙すって何をだよ…俺も今日初めて変身したんだ」


 そうして俺はこれまでの経緯を田中に説明する。


「そんな事があったのでござるなぁ」

「ま、そういう事、だからガチ恋とかないから、俺達友達だろ」

「そうでござるな、まだ今は友達でござるな」

「そうそ…ん?」


 なんか今不吉な事言わなかったか?こいつ。


「デュフフ、それにしてもアニマが出ないと戻れないなんて、なんて僥こ…大変にござるなぁ」

「この際お前の言う事にいちいち突っ込まないがそうなんだよ」


 俺はやれやれと手を挙げる。


「それなら好きなだけウチにいて良いでござるよ、ひろ氏の母上には拙者から伝えとくでござる」


 田中は任せとけと胸を叩くと、何やらタンスをごそごそしだす。


「それはそうとひろ氏、そんな格好じゃ寝にくいでござろう?この服を着ると良いでござる」


 そう言って1着のパジャマを取り出す。


「おお、悪いな…なぁ、なんで女児用のパジャマなんて持ってるんだ?」

「備えあれば憂いなしでござるよ」


 そんな備えあるか?

 しかも多少サイズが俺より小さいぞ?

 俺の中の田中ヤベー奴ゲージが振り切れそうなんだが。

 まぁ今回は助かったから良いか。


 俺はそのまま着替えようとして、デュフフとこっちを観察する田中を冷たい目で見下ろす。


「ちょっと脱衣所借りるわ」

「…そうでござるか」


 しゅんとする田中を無視して俺は脱衣所に移動する。

 あいつは俺が男だって事わかってるよな?


 脱衣所で鏡を見ながら改めて思う。


「やっぱ可愛いよな…」


 こう…ポーズとってみたりして…。


「キラッ✩.*˚」


 俺は1人顔を真っ赤にさせる。


「やめだやめ!さっさと着替えるぞ!」


 そして着替えようとして、ピタリと止まる。


「あれ?俺このまま着替えちゃって大丈夫?」


 今体は女の子な訳で、このまま着替えると色々見えちゃう訳で。

 いやいや!俺はロリコンじゃないし!?女児の体なんて範囲外だし!?

 俺は誰に言うでもない言い訳をしながら極力見ないように服を脱ぐ。


 しかし限度はあるもので…。

 ほとんどない胸を見てしまい、思わず顔を赤くする。


「へ、へぇ、小さいってもやっぱあるんだな」


 そしてちょっともみもみ。

 こ、これが生乳の感触か…!

 ってやってる場合か!


「俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない」


 俺は初体験にドキドキしながらパジャマに着替え終わると、田中がデュフフとこちらに視線を向ける。


「TSのお約束展開はあったでござるか?」

「な、なんだよTSって…」


 田中が言ってる事は分からんが、なんか田中の思ってる事がわかるようで腹立つ。


「しかし似合ってるでござる!可愛いでござる!可愛いでござる!」


 田中は俺に接近すると、デュフフと舐めるように見てくる。


「やめろ、気持ち悪い、近づくな」

「デュフフ、ツンデレでござるな」


 まぁこの少女の体で可愛いと言われるのはなんとなく気持ち良いが、ツンデレという事は断じてない。


「ったく、明日が日曜で良かったよ」


 なんとかして元に戻らないと、家どころか学校にすら行けなくなる。


「明日にはアニマが出てくれると良いけど…この体じゃ日常生活すら不便だぜ」


 そもそも田中の家から出れないし…。

 あれ?これ結構まずくない?

 拙者はこのままで良いでござるよ?と言う田中を見て、俺が顔を青ざめさせていると、田中がそうだと手を叩く。


「そうでござるな、日曜でござるし、明日はひろたんの服を買いに行くでござる」

「なんで服?てかひろたんやめろ」

「デュフフ、恥ずかしがらないでござる、服に関してはいつ変身しても良いように買っておいて損はないでござるよ」

「そ、そうか」

「そうでござる!またいつ同じような事があるかわからないでござるし、ひろたんも魔法少女コスで出歩きたくないでござろう?」


 た、確かにな。

 なんか言いくるめられてる気がせんでもないがその通りだ。


「だが買い物に行く服がないぞ?」


 まさか魔法少女衣装で行けとか言わないよな?


「心配ご無用!そのための服なら1着あるでござる」


 そう言って田中は再びタンスをごそごそすると、これまた可愛い服が出てくる。


「サイズはちょっと小さいでござろうが、ひろたんなら着れるでござるよ」

「だからなんでお前女児の服とか持ってるの?あとひろたんやめろ」

「明日はデートでござるなぁ!」

「おい、やめろ、お前俺が男だって事忘れてないか?」

「忘れる訳ないでござるよ、今はまだ友達にござる!」


 田中はそう言うとウィンクを1つ。

 こいつに頼ったのは何か間違いだったかもしれん。

 そう思いながらベッドに入った俺は(田中は床)、明日のショッピングに憂鬱になりながらも、睡魔に勝てず深い眠りにつこうとして、1つの問題が発生する。


「あ、トイレ行きたい」

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