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魔法少女は辛いよ

 公園での激闘を終えた俺は、群がる子供達をなんとか振り切り家に帰っていた。

 夕飯を食べ、お風呂に入り、部屋に戻る頃には疲れで倒れそうになっていた。


「今日は本当に疲れた…」

「おつかれさま、魔法少女初日にしてはなかなか良い成績だよ」

「そりゃどーも」


 労いの言葉をかけてくる山本を適当にあしらいながら、俺はベッドに潜り込む。

 出来れば夢であって欲しいような欲しくないような。

 そんな1日がやっと終わる…。


 ・・・


「…きて」

「むにゃむにゃ」

「おきて」

「誰だよーまだ眠いよー」


 激闘の1日を終え、深い眠りについていた俺は、誰かの声のせいで起きてしまう。


「おきてひろ」

「…なんだよ山本…まだ眠たいんだけど」


 俺は眠りを妨げたカバを睨みながら目を擦る。

 まさかこんな時間にアニマが出たとか言わないよな?

 もう営業時間は終わったぞ…。

 そんな事を考える俺を無視して、山本が手で俺をポンポン叩く。


「自分の姿をよく見てご覧」

「は?何を言って…」


 そして小さなお手てを見て硬直する。


「え!?なんで変身してるの!?」

「どうやらおねしょんしちゃったみたいだね」

「おねしょん!?」

「まだ体に魔力が慣れてないから、寝てる間に変身しちゃったんだね」


 そんなおねしょみたいな変身の仕方嫌だ!!


「え?どーすんのこれ!そうだ!アニマは出てるのか!?」

「残念ながらいないね、本来1日に2匹出る方がまれなんだ」


 やべー、このままじゃ明日の朝母とご対面してしまう。

 とりあえず家から出ないと…


 俺は母にLINEで友達の家に泊まりに行くと連絡をいれ、深夜の街に繰り出す。

 こんな時間になんでや!と思われるかもしれないが非常事態だ。


「どうしたもんかなぁ…」


 暗い街頭の下を歩く1人の少女。

 アニマも出てない今の俺は非力な少女の為、とても危険な状況だ。

 防御力はあっても、精神的ダメージは計り知れないだろう。

 ロリコーンみたいなアニマ型の変態ならなんとかなるが、ただの変質者に会ったらいっかんのおわりだ。

 というか変態じゃなくても補導されてしまう。

 なんとかして安心して過ごせる場所を探さないと…。

 そう考えていた俺の頭に1つの選択肢が思い浮かぶ。


「あいつには頼りたくなかったが…それしか方法がないよなぁ…」


 魔法少女で会った時ヤバかったしなぁ…。

 俺は暗い気持ちになりながら、田中の家を訪れる事にした。


 ・・・


「はぁ…見つからなかったでござる…」


 その日拙者は突如目の前に現れた魔法少女を探し、一日中街の中を探索していた。

 おかげで今は夜の23時でござる。


 あの時化け物に襲われていた拙者を華麗に助けた可憐な少女。

 名前は知らないでござるがきっと可愛らしい名前なのでござろうな…。


「デュフフ、次に会った時は必ず名前を聞くでござる!」


 何せ魔法少女たんは拙者の名前を知っていたのでござる、こちらも聞かないのは失礼にあたるでござる!

 拙者はそんな事を考えながら意気揚々と家に帰宅する、そしてアパートの窓が空いている事に気づく。


「拙者とした事が窓を閉め忘れたでござるか!?拙者のコレクションが心配でござる!!」


 拙者は1人暮し、泥棒にでも入られたら大変でござる!

 一にも二にも鍵を取り出した拙者は、アパートのドアを開けて家の中に入る。

 そして違和感に気づく。


「…誰かの寝息が聞こえるでござる」


 拙者は頭の血がひくのを感じる。

 泥棒?不審者?

 窓が空いていたのはそこから侵入したから?


「きょ、今日の拙者は違うでござる!化け物より怖いものなんてないでござる!」


 なんにせよ通報をせねばと、スマホ片手に部屋の中を覗く。


 そして硬直する。


「ななななぜ拙者の部屋に魔法少女たんが!?」


 拙者はしばし呆然としながらも、ベッドに近づき魔法少女たんの顔をまじまじ見つめる。

 やはり昼間見たあの魔法少女たんでござる。

 しかし…。


『可愛いでござる!やはり魔法少女はこうでなくては!』


 それにしてもなぜ魔法少女たんが我が家に…?

 そういえば魔法少女たんは拙者の名前を知っていたでござるなぁ。

 ももももしやガチ恋というやつでござるか!?


 拙者は期待に胸を膨らませ、魔法少女たんを観察する。

 ししししかしここで手を出したら安眠してる魔法少女たんに悪いでござる!


 そんな事を考えていると、魔法少女たんが寝返りをうち、太ももがチラッと見える。


「デュフフ、デュフフフフ」


 拙者は顔を緩め、鼻血をドバッと出しながら思考に耽ける。

 こんな無防備に拙者の事を信じて…。


 これはおやすみのキスくらいなら許されるのではないでござるか?

 いや、しかしまだ名前すら知らないでござるし…。

 でも魔法少女たんは拙者にガチ恋してる訳で…。

 夜はまだ寒いわけで…。

 ベッドは1つしかない訳で…。


「とりあえず拙者もベッドで休む事にするでござるな!」


 拙者はいそいそとシャワーを浴びると、パジャマに着替え魔法少女たんの隣に横になる。


「はぁはぁ…良い匂いがするでござる」


 よだれを垂らしながら魔法少女たんの横顔を見つめる拙者は、もうなんか色々吹っ切れて、いよいよおやすみのキスをするために顔を近づける。


「魔法少女たん…今日も1日お疲れ様にござる」


 しかし、むちゅーと顔を近づける所で、魔法少女たんの目が薄ら開く。

 拙者はそのままの距離でキリッとした表情を浮かべる。


「…おはようございますでござる」

「あ、おはようございます」


 魔法少女たんはぽやーっとした様子で拙者の顔を見ると、突如顔を青ざめさせる。


「ちょ!おま!何してんの!?」

あ、BL展開はないですよ?

出来ることなら後輩でも出して百合?展開目指したいですね、百合じゃないですけど。

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