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魔法少女から戻りたい…。

「そういう事は先に言えよぉぉぉ!」

「聞かれなかったからね」


 山本の首を絞めながら前後に振る。


「え?じゃあ何?アニマでなかったら俺一生このまま?」

「そうなるね」

「そうなるねじゃないんだよぉぉぉ!」


 尚も首を絞める俺の手を、山本がポンポンと叩く。


「まぁまぁ落ち着きなよ、ボクにはアニマを探す力もある、魔法少女のマスコット的存在だからね」

「まじ!?今どこにいる!?」

「今はどこにもいないね」

「ふざけんなよぉぉぉぉ!」


 こいつ本当にどうにかしたい。

 そんな事をやっていると、階下から母の声。


「ひろく〜ん?どうしたの〜?」


 おっとまずい、あまりにもドタバタしてたせいで心配した母に声をかけられてしまった。


「兎に角今の状況で家にいるのはまずいな…」


 俺は母がいなくなるのを待ち、山本を抱えて静かに家を出る。

 そして公園に向かうと、ポツンとブランコに座る。


「やべぇ…家に帰れなくなった…」


 公園のブランコを軽くこぎながら暗い顔をする俺。

 それとは対照的に、衣装が派手なせいで周りに集まる子供達の笑顔の眩しい事。


「おねぇちゃんなんでそんなかっこーしてるのー?」

「まほうしょうじょだー!」

「かわいー!」


 やめてくれ、高校生にもなって幼児にそんな事言われる俺の気持ちにもなってくれ。

 なんだかいたたまれない気持ちになった俺は、なんとか人目につかない所はないかと考えていると、山本がぴょこんと顔を上げる。


「ひろ、アニマの気配だ」

「なに!?場所はどこだ!?」

「この公園の中だよ」

「なんだって!?」


 俺は慌てて周りを見渡す。

 ここには子供達がいっぱいいる、こんな所であんな黒い化け物が出て来たら大惨事になってしまう!


「山本!見当たらないぞ!」

「あそこだよ、あの木の影」


 俺はシュタッとブランコから飛び降りると、木の影に向かってダッシュで近づく。

 後ろでは幼児達が、おーっと拍手している。


「出たなアニマ!こんな場所で暴れさせないぞ!」


 そんな決めゼリフと共に木の影に向かって指を指す。


「ふひひ、幼女、幼女」

「…」


 そこには、馬の頭、体は人間、ブーメランパンツが特徴の変態がいた。


「山本!こいつはアニマじゃない、変態だ」


 俺が這いつくばっているアニマを冷たい目で見下ろしていると、山本が首を振る。


「いや、アニマだよ、名付けるなら怪人ロリコーンだ」


 やっぱ変態じゃないか?


 俺がなんとも言えない表情になっていると、ロリコーンが俺を見てはぁはぁ言い出す。


「ロリ、YES、範囲内」

「…俺はロリじゃない、男だ」


 鳥肌が立つのを感じながらも一応反論しとく。

 するとロリコーンの目の色が変わる。


「ロリ…じゃない?…騙したな」


 突如ロリコーンから黒い霧のような物が溢れ出すと、体全体に黒い毛のような物がはえてくる。


「変身するタイプのアニマってか!」


 その変化に戸惑っていた俺の腹部を、ロリコーンは目にも止まらぬ早さで蹴りあげる。


「かはっ…!こんにゃろ!」


 俺は地面を抑えながら立ち上がると、目の前のロリコーンを見上げ、そのまま殴りつける。


 しかし攻撃はかわされてしまった!


「YESロリコンノータッチ、NOロリdead」

「こいつ…めちゃくちゃ速いぞ!」


 目を血ばらせ、本物の馬に近づいてくロリコーンは、俺の周りをグルグルと回りながら、時折キックを繰り出す。

 流石はアニマ、魔法少女の防御力を持ってしても少し痛い。


『どうする?どうにかしてやつの動きを止めないと…!そうだ!』


 俺は目の前に火の玉を出現させ、ロリコーンに向けて射出する。


 しかし魔法はロリコーンに当たると一瞬で消え去ってしまった。


「なんで!?」

「そりゃあライターの火力じゃそんなもんさ」


 遠くで山本が何か言ってる。

 あいつ本当に後で覚えてろよ。


 そうこうしている間にもロリコーンの攻撃は止まず、俺は思いっきり蹴りあげられ再び地面を転がる。


「おい山本!何か良い方法ないのかよ!」

「あるよ」


 あるのかよ!はやく教えよろこいつ!


「君は受けた物をなんでも魔法に変える事が出来るんだ、それは物理的な物でも同じさ、ロリコーンの攻撃をイメージするんだ」


 …なるほど、相変わらずさっぱりわからん!

 だが今はそれしかない。


 俺はロリコーンの攻撃をイメージする。

 すると俺の周りに青い発光体が現れる。

 なんとなくわかる、これは昔、田中が言ってた魔法少女の魔法弾だ!


 俺はその魔法弾を火を操ったように動かし、ロリコーンを囲む。

 この物量なら…当たるだろ!


「ヒヒーン!」


 ロリコーンの周囲一体が爆発。

 しかしロリコーンにダメージはない、恐らくロリコーン自身の攻撃力では防御を突破出来なかったのだ。


「けど…」


 俺は魔法弾で上がった砂埃に紛れてロリコーンの目の前に現れる。


「動きは…止まったなぁ!」


 ロリコーンは慌てて前脚でガードするが、俺は気にせずそのまま腹部にパンチ、ロリコーンの前脚が吹っ飛び腹に風穴が空く。


「お次は…っと」


 そのまま気配を集中、ロリコーンの核を股間に見つける。


「よりによってそこかよ変態!」


 嫌な予感でもしたのか、逃げようと足をばたつかせるロリコーンの足元に水を射出。

 ロリコーンは股間を晒すように足を滑らせる。


「これで、おわりだ変態馬ーー!!!」


 ロリコーンの股間を粉砕、ロリコーンは流砂になって散っていく。


「もっと…ロリ…見てたか…った」


 そんな断末魔を残し消えていった。


「ふぅ…ふぅ…やってやったぜ」


 勝利のガッツポーズ、すると公園の中が一気に騒がしくなる。


「ほんもののまほうしょうじょだー!」

「かっこいー!」

「おねぇちゃんかっこいー!」


 幼児達が俺の周りにやんややんやと集まってくる。


 これは…悪い気分ではないな。

 そんな事を思いながらガッツポーズを決めていると、ボンッという音とともに体が元に戻ったのを感じる。


「あっ」


 恐る恐る下を見ると、幼児達がポカンと俺を見上げている。

 やべぇ…。


「「「まほうしょうじょのおにーちゃんだぁ!」」」


 やめてー!!!

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