魔法少女と後日談
ふわふわとした感覚の中、誰かの鼻歌が聞こえてくる。
目を開けると、俺を膝枕しているユリと目が合う。
「おはようございます、ひろさん」
「おはよう、ユリ」
そう言って気がつく、自分が男の姿に戻っている事に。
「ユリ…ごめん、俺君を騙してて…」
そう謝る俺の唇に、ユリが静かに人差し指を当てる。
「ひろさんはひろさんです、私の大好きなひろさんです」
そう言って静かに微笑む。
あぁ、ユリは優しいなぁ…。
そう思いながら俺はユリの太ももからおさらばする。
少しもったいない気がするが、今はあれからどうなったかを確認しないと。
「確か俺はつむじかぜと戦って…そんで怒りで我を忘れて」
よくよく周りを見渡すと、被災地かという程周りは凄惨な事になっていた。
「今は斎藤ちゃんが情報操作と街の修繕をしてくれてますわ」
「そっか…皆には迷惑かけたな…」
「そう思うならはやく元気になってくれるかな」
声がした方に視線を向けると、ふよふよと空中に浮かぶ山本の姿。
「山本にも迷惑かけたな、ごめん」
「かまわないよ、ボクは魔法少女のマスコット的存在だからね」
山本はそう言うと、俺の手の中に何かを落とす。
「これは…」
よくよく見なくても、まひろにプレゼントしたヘアピンだった。
「…まひろの墓も作ってやらないとな」
俺は再び胸が締め付けられるような感覚に襲われる。
そんな俺をユリさんが優しく抱きしめる。
「大丈夫、ありがとうユリ」
いつまでも立ち止まっている訳にはいかない。
もう二度とこんな事がおこらないように、魔法少女としてもっと強くならないといけない。
「まひろ、お兄ちゃん頑張るからな」
そうして俺とつむじかぜとの戦いは幕を閉じるのであった。
・・・
「ふはははは!我はアニムスフィアが1人、処女厨のゴートン!貴様がチラリズムのつむじかぜを倒したひろか!」
「ったく!アムニスフィアにはまともなやつはいないのか?」
それから数ヶ月、俺はユリと共に今日もアニマと戦っている。
最初は嫌だった魔法少女だが、最近ではそれも悪くないなと思ったりなんたり。
これからもなんやかんやで魔法少女を続けていくんだろうなぁと思う。
俺はゴードンの鉄拳を受け止めながらニヤリと笑みを浮かべる。
「ユリ!いくぞ!」
「はいですわ!」
俺達の戦いはまだまだ続く。
これにて第2章は終了となります。
区切りが良いからとりあえずの完結。
もし第3章を作るなら、もうちょっとキャラ間の絡みを大事に作っていきたいですね!