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魔法少女とお別れ

ちょっと短め

 

「ま…ひろ…」


 腹を殴られ、うずくまる俺の顔にまひろの蹴りが炸裂、地面を何度もバウンドする。


「いってぇぇ!」


 地面を滑るようにバウンドした俺は、ボロボロになりながらも、涙を浮かべながら立ち上がる。


「まひろ!いきなり何すんだ!」


 俺は唐突なまひろの暴挙にプンプンと怒るが、まひろは冷たい目で俺を見ると、姿が消えるように俺との距離を詰める。


「わ、た、た!」


 そこから繰り出させる拳が頬をかすめ、血が垂れる。


「前回戦った時よりはやい…!」


 動きはまんま俺のままだが、力やスピードが段違いに上がっている、単純に俺の上位互換といった感じだ。

 しかし、まひろの様子が明らかにおかしい、やはりつむじかぜに飲まされた何かが原因だろうか。

 ヌレーメンの時のように強化されてるみたいだし。


「まひろ、しっかりしろ!」


 俺はまひろから距離をとりながら説得を試みるが、まひろは再び距離をつめると、俺を何度も殴りつける。

 最初こそなんとか避けていたが、次第に追い詰められ、まひろの拳が顎を捉える。


「う…が…」


 そしてよろけている所に蹴りをくらい大きくノックバックする。


「やばっ」


 まひろが魔法弾を鋭利な刃物のように形作り、俺に向ける。

 そんな事出来るんだ!?


 俺は俺も知らない技にショックを受けながら、更なる追撃を覚悟する。

 まひろの刃が無防備な俺の腹に刺さる瞬間、見慣れた何かが俺とまひろの間に割って入る。

 そこでは戦闘フォームになった山本が、羽をクロスさせるようにまひろの刃を止めていた。


「しっかりするんだひろ、彼女はもうまひろじゃない、戦うんだ」


 山本はそう言うと、ギリギリと翼でまひろを押し返す。

 え…?山本ってこんなに戦えたの?

 俺はこれまたショックを受けながら、しかし山本に反論する。


「俺がまひろに攻撃するなんて出来る訳ないだろ!」


 俺がそう叫ぶと、山本はやれやれと言ったようにまひろを威嚇する。


「方法がない訳でもないよ」


 山本がそう言いながら、まひろの刃に羽で応戦する。


「前にも言ったけど、アニマ…彼女は今魔力が暴走している状態なんだ、だから彼女の魔力を安定させれば、もしかしたら上手くいくかもしれない」

「魔力を…安定?」


 俺が、そんなのどうすればと悩んでる間にも、山本が傷だらけになっていく。


「ボクが彼女の動きを止める、その間になんとかするんだ」


 山本はそう言うや否や、まひろの刃を体で受け止める。

 山本のお腹から大量の血が溢れ出すが、まひろも刃が取れず動けなくなっている。


「さぁ、はやくするんだ、ひろ」

「わ、わかった!」


 俺はすぐさままひろに駆け寄り、後ろから抱きしめる。

 そして目をつぶり、魔力の流れを体で感じる。

 すると、まひろの中で激しく脈打つ何かを感じ取る。

 俺はそれを力技で強引に押し込む。


「まひろ…もどってこい…!」


 まひろの動きがにぶくなる。


「家に帰ってご飯を食べよう、んでまた明日遊びに行こう、明日はどこに行きたい?遊園地でもいくか?」


 そんな事を言いながら、まひろの中の魔力をどんどん押しとどめる。

 すると、徐々にまひろの目に光が戻ってくる。


「お…兄ちゃん…」

「まひろ!」


 まひろは自分に何があったのか察したのか、うるうると涙をうかべる。


「ごめんなさい…私…私」

「もう大丈夫だ」


 俺はまひろを胸に抱き、安心させるように頭を撫でる。


「お兄ちゃん…ごめんなさい…山本…ごめんなさい」

「いいんだ、俺たちは兄妹なんだからな」


 俺はそう言いながらまひろに笑いかける。

 まひろもそんな俺に満面の笑みを浮かべる。

 良かった…なんとかまひろが元に戻ってくれた。

 しかしそんな俺の喜びはすぐさま消し飛ぶことになった。


「失敗作に用はないんですよ」


 そんな声と共に、まひろの背中に風の刃が突き刺さる。


「え…?」


 俺は唐突な出来事に、ポカンと口を開く。

 今の一撃で、まひろの核が傷ついたのか、まひろがサラサラと塵になっていく。


「まひろ!そんな、まひろ!」

「お兄…ちゃん…」


 俺はなんとか崩れるまひろを救おうとするが、

 何が出来るわけでもなく、まひろは散りとなって霧散。

 最後にまひろに買ってあげたヘアピンだけが地面にカシャリと落ちた。


「ああ、ああぁぁぁぁぁ!」


 体の中から何か黒いものが溢れ出す。

 俺は風の刃の主をキッと睨むと、憎悪に満ちた叫びをあげる。


「つむじかぜぇぇぇぇ!」


ここから2章終わりまで短いのが続くので毎日投稿

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