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魔法少女と未知の世界

 田中の提案で百合園学園に編入するかもしれない俺は、百合園の制服を着たまま、田中と共に下見に来たわけだが...


「拙者は不審者じゃないでござるー!」


 来てそうそう田中が門の警備に捕まった。

 ちなみにいつもの、ザ・オタクといった服装だ。


「拙者はひろたんの保護者で...あぁ!どこ触ってるでござるか!」


 警備の人に組み付かれながらそんなセリフを吐く田中は、間違いなく不審者そのものだった。

 ちなみに俺は普通に通して貰えた。

 そして田中の事は知らぬ存ぜぬで通す。


「あぁ!ちょっとひろたん!一緒に説得して欲しいでござる」


 そんな田中の呼び声を無視する。

 頼むからはなしかけないでくれ。


「まぁといっても、俺も中身男なうえに部外者だから不審者なんだけどな」


 俺は田中に合唱しながら校内に歩いていく。

 校内は綺麗に整備されており、すれ違う女子が「ごきげんよう」と挨拶してくる。

 流石お嬢様学校、普通の女子高は汚いらしいが、ここは良い匂いがしそうな気がする。


 そんな事を考えながら右をキョロキョロ、左をキョロキョロ。


「当たり前だけど右を向いても女子、左を向いても女子だなぁ」


 こんな場所に俺はいても良いのか?

 いけない事をしてるような背徳感をかんじながらも、校内を練り歩く。


 しかし、もしここであの女生徒を見つけたら、わざわざ編入しなくても良いかもしれない。

 そう思い校内を歩いていると、不自然な風がフワリと巻き起こり、その辺を歩いてた女生徒のスカートがめくれる。


「ぶはっ!?」


 俺はその光景に思わず吹き出す。

 とても可愛らしい物をお履きで...。


 やっぱ自分のを見るのと他人のを見るのじゃ違うな、ありがたみが違う。

 そんな事を考えていると、またも不自然な風が巻き起こり、いたる所で女生徒のスカートがめくれあがる。


 やや!これは大変だ!


 そう思いながら、その光景を瞼に焼き付けていた俺は、次いで頭の中に山本の声が響き渡る。


『ひろ、アニマの気配だ』

「こんなところで!?」


 もしかしてさっきから巻き起こっている不自然な風はアニマのせいか!?

 だとしたらなんて悪質なアニマだ!


 俺はアニマが巻き起こしているであろうスカートめくりの風を追いかけ、人通りが少ない場所までたどり着く。


『山本、アニマはどこだ!』

『ひろの目の前に反応があるよ』


 その言葉に驚いて前を見るが、アニマの姿は見えない。

 山本の気のせいか...?

 そんな事を思っていると、目の前の何も無い空間から、野太い男の声が聞こえてくる。


「あなたが件の魔法少女ですね」


 そんな言葉と共に俺は腹部に強烈な痛みを感じ、後方に吹き飛ぶ。


「ぐ!?なんだ!?」


 俺が困惑していると、目の前の空間から1人の男が現れる。


「ワタシの名前はつむじかぜ、どうぞよろしくお願いしますね、お嬢さん」


 唐突に現れ、つむじかぜと名乗った男は、紳士のような礼をすると、いやらしい笑みを浮かべる。


「思ったより弱そうですね」


 いらっ。

 出会い頭に失礼なやつだな。

 しかしこいつ...。


「随分と流暢に喋るじゃないか」


 今まで言葉を発するやつは度々いたが、ここまでハッキリ喋るヤツは初めてだ。


 俺はアニマが普通に会話する事に驚きながらも、膝をがくつかせながら立ち上がる。


 たった1発でこれか、こいつ...今までのアニマと違う...!

 震える足を叱咤しながら1人戦慄していると、山本の焦った声が聞こえてくる。


『ひろ、相手が悪い、撤退するよ』

『撤退?このままアニマを放っておけるわけないだろ!』


 俺はそう言いながら、つむじかぜに飛び蹴りを試みる。

 しかしつむじかぜは笑みを浮かべたまま蹴りを受け止めると、軽々と俺を投げ飛ばす。

 くるりと回転して地面に着地した俺は、つむじかぜから距離を取りながら、体勢を整える。


「おやおや、今日は争いに来たのではないのですよ、アムニスフィアの一員としてご挨拶に来ただけです」


 つむじかぜはそう言いながら綺麗に礼をする。


「...アムニスフィア?」

「ええ、我らアニマの秘密結社です」

「アニマの秘密結社!?そんな物があるのか!?」


 俺の中では、アニマとは自然界に突如発生した化け物という認識で、個別の意思が無いものと思っていたのだ。


 つむじかぜは俺の反応に満足したように頷くと、仰々しく両手を広げる。


「我々はとある野望を達成する為に集まっているのですよ」


 そう言うと、どこか恍惚とした表情を浮かべる。


「野望ね...どうせろくな事じゃないんだろ」


 こういう悪の組織的なやつは、大抵世界征服だとか、人類皆殺しとか考えてるはずだ。

 そう思いながら俺は歯ぎしりする。


 そんな俺をつむじかぜは愉快そうに見ると、両手を広げたまま声高らかに叫ぶ。


「ちなみにワタシの野望は全世界のじょしのスカートをめくる事です」


 本当にろくでもなかった!?

 俺は目の前の変態に改めて戦慄する。


「まぁワタシ達アムニスフィアの野望は、あなたの想像通りの物なので、割愛させていただきますよ」


ああ、ちゃんとそういう悪の組織みたいな事もするのね。

俺がアムニスフィアの事を少し見直していると、つむじかぜは「さてと」と、笑みを浮かべる、ら


「では、今日の日課も済ました事ですし、ワタシは本部に帰らせてもらいますよ、ごきげんよう、お嬢さん」

「逃がすかよ!」


 そう言いながら魔法弾を生成、発射するが、つむじかぜの前で魔法弾は霧散する。


「あなたでは相手になりませんよ」


 つむじかぜはそう言うと、再び姿を消してしまった。

 俺は何がなにやらといった感じに、その場にへたりこむ。


 すると山本の声が頭に響いてくる。


『アニマの気配が消えたよ、危なかったね』


 あのまま戦っていたら間違いなくやられていた、そんな予感を感じながら、俺は山本に尋ねる。


『なぁ山本、アニマってなんなんだ?』


 今回会話出来るアニマに出会った事で浮かんだ疑問だ。

 そんな俺の疑問に、山本は当然といったように返答してくる。


『アニマは元々人間だからね、会話出来ても不思議じゃないよ』

『そうか...元々人間だから...え?』


 俺は新たな情報に驚愕する。


『それどういう事だよ!?』

『アニマは人間が体内の魔力を暴走させて出来た存在なんだ、そういう意味では魔力が安定してできた魔法少女と似たようなものだね』


 ちょっと待て、急に色々情報が来てわけわからない。

 アニマが元人間?魔法少女は魔力が安定してできた存在?


『え?じゃあアニマ倒してるのって殺人なんじゃ...』

『アニマになった時点でもうそれは人間じゃないんだよ、それにその人間の今までの記録は全て抹消されるしね』

『でも...』

『とにかく、ひろが今やれるのは、悪さをしてるアニマを倒すことだよ、野放しにしても善良な市民が傷つくだけだよ』

『...』


 俺は尚も山本に言い返そうとしたが、何を言えば良いのかわからなかった。

今回2日かけて執筆したわけですが、つむじかぜの喋り方を忘れて困惑したでござる。

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