~攻略!高天原学園編~ あとがき
以上で、ラリクエ、全編完結いたしました。
ここまで読んでいただいた皆様。最初から、途中から、追ってくださった皆様。長きにわたる2年もの間、お付き合いいただき誠に感謝申し上げます。
ぜひ、読み切った今のご感想をお寄せください。貴方の楽しんでいただいた軌跡を一言でも残していただければ作者冥利に尽きます。
◇
書き終えてみて、長編は計画が大切だと改めて思い知りました。回収していなかった伏線が幾つかあったりして、終盤の勢いに乗せられず流れてしまったお話もあります。相変わらず、あれもこれもと詰め込んでしまうのは悪い癖。中学編くらいのまとまりがちょうど良いと思いました。
ラリクエを追ってくださった方はラリクエの世界観を気に入ってくださっていたと思います。恐らくはこの物語のいずれの設定も二番煎じで、オリジナリティはないです。どこかに似たような話が作られているはずです。が、世の中の売れている商品がそうであるように、既存のモノを組み合わせて新しいモノを生み出すことで、オリジナリティが得られるものだと思っています。どうでしょう、皆様はほかの物語にはない独特の世界観を感じていただけたでしょうか。
現代/近未来小説のファンタジー設定は、ともすれば前向きで肯定的なものが多い(例えばダンジョンが各地に現れ、人間が異能に目覚めて一攫千金を狙える世界になった等)ですが、ラリクエではそれらにネガティブな要素を取り入れました。温暖化後の地球。第三者から与えられる固有能力。軍隊式の学園生活。知性のない魔物との戦い。古代人の汚れた魔法問題。そういったネガティブ要素が物語に深みを出すのだと信じて編み上げていきました。
そうして深くし過ぎた結果、書ききれなかったエピソードが多数、発生してしまいました。学園生活の期間は本来3年間だったとか、各主人公とのラブコメシーン不足だとか、キャメロットやトゥランの学生たちとの交流だとか、過去の先輩たちのエピソードだとか、世界政府と聖堂の対立部分だとか、軍属になった橘香や飯塚恵のあれこれとか、身を喰らう蛇や超人類救済教団の悪事部分とか、執行者と守護者の対立だとか。掘れば掘るほど出て来る不完全燃焼。書き溜めストックが尽きて自転車操業で書いてしまった弊害であると反省しています。
どこかで読んだ小説テクニックで『すべてを語る必要はない』という言葉がありました。上で挙げたような不完全燃焼の内容を投入していたとしても、それでクオリティが上がるかと考えるとそうでもないと思います。それこそオスピンオフ作品だとかオマージュ作品で語ればきっとファンが楽しめる、そのくらいのエッセンスだと考えています。
小説のテクニック的な面で振り返ると読み辛い部分が多々あり、読者の皆様にはご負担をおかけいたしました。第一に設定が多く説明文が多い(中学編、高校編ともに最初の10話くらいまでの導入のあたり)。読んでいて眠くなってしまったり苦痛に感じた方もいるのではないでしょうか。また、1話が長すぎました。最初は4000字目安だったのに、いつの間にか7000~8000字が目安になっていて、気軽に読める量ではなくなっていました。それから地の文、会話文、強調部などの文法的な統一が乱れている個所が散見されました。
書き上げてしまったので、誤字脱字も含めこれから個別個所を手直しするのは控えますが、今後はもっと読みやすさも意識してクオリティを上げていきたいです。
とまぁ、反省ばかりを書いてしまいましたが。盛り上がる部分では盛り上がりの演出がそれなりに描けたと自画自賛している面もあります。自画自賛の基準は、自分で没入して(これ大事)読み返して興奮・感動できるか、です。その点で言えば、描けた部分は多数あります。列挙してみますと、
桜坂中学編:
・014話 弓道対決でさくらと香が泣いて抱き合うシーン
・015話 香が後輩にバトンを渡せたと泣き崩れるシーン
・045話 御子柴と花栗を拒絶して涙するシーン
・049話 南極行き直前の土手でさくらを振るシーン
・053話 京極が魔王の霧に飛び込むシーン
・054話 京極復活でさくらや香が泣きつくシーン
・056話 受験合格を見て京極が泣き崩れるシーン
高天原学園編:
・036話 凛花先輩との決着シーン
・037話 ジャンヌが泣き崩れるシーン
・053話 3人で観覧車から飛び降りるシーン
・063話 リアムの墓石に語るシーンと、グレースさんの懺悔シーン
・100話 香が神威で射貫くシーン
・110話 京極がさくらを拒絶して扉越しに泣き崩れる聞くシーン
・111話 京極が船上でさくらへの想いを回顧して泣くシーン
・114話 美晴がアレクサンドラへ友達だと語り掛けるシーン
・125話 澪が自身の闇を曝け出すシーン
・147話 ソフィアが京極の目覚めに泣き縋るシーン
・149話 京極がさくらを澱から目覚めさせるシーン
・158話 アレクサンドラが古代人へ宣言するシーン
・161話 美晴の独白シーン
・163話 さくらが京極を庇うシーンと、戦艦からの砲撃シーン
・164話 澪・デイジーからの祝福シーン
・166話 最後の別れシーン
思ったより多かったですね。コミカルな話は抜いてます。作者からのお勧めのシーンだと思って読み返していただけると、もう一度楽しんでいただけるのではないかと思います。
皆様がお好きなシーンや思い入れのあるキャラクターがいれば、教えていただけると嬉しいです。
◇
つらつらとお目汚しを失礼いたしました。これにて一度、筆を置かせていただきます。
まだ執筆熱は消えていません。またいずれ、別の物語でお会いすることもあるでしょう。そのときまで皆様がご健勝たることを祈念して、末筆の挨拶とさせていただきます。長らく応援をいただきまして、ありがとうございました。
2024年6月26日
たねありけ




