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 まずは反対側。「上」にあたる楔からだ。


 疑似化が効いているので足は速い。

 魔物に邪魔されることもなく走り抜ける。

 大きく右側から迂回した。


 警戒しながらゆっくりと光の柱へ近づくと違和感を覚えた。

 その根本が黒い何かで覆われている。

 見ればコールタールみたいな漆黒の液体。

 しゅうしゅうと湯気みたいに黒いもやがそこから立ち上っていた。

 どこかで見たことがある、嫌な感じの黒い湯気・・・いや、霧。



「・・・これ『魔王の霧』じゃねえか!?」



 霧からなのか、液体からなのか。

 オークやゴブリンがその中からずぶずぶと生まれ出て来る。

 黒いモノが徐々に盛り上がって、形が定まって、そういう魔物になっていく。


 ご覧ください、こちらが魔物の誕生秘話です!

 ダンジョン探索モノの物語で魔物が発生(ポップ)するのってこんな感じなんだなー。


 ってそうじゃねぇよ!!


 これ、南極で見たあの「厄介な悪意」だよ。

 魔力を帯びた今なら肌で感じられる。

 魔物は厄介な悪意が実体化したものだって?

 だから人間を襲うのか?

 『魔王の霧』なんて命名されてんのは魔物を生み出すから?


 そもそも龍脈ってもっと清廉な何かじゃねえの?

 『魔王の霧』がどうして出てきてんだ?


 一瞬の間に、思考が停止するほどの疑問が溢れ出る。



「Gouaaaaaaaa」



 ドラゴンの咆哮が地面を揺らした。

 びりびりという振動で身体が痒くなる。

 また現実逃避していた俺の意識を現実に引き戻してくれた。


 そうだよ、俺がもたもたしてると皆が危ないんじゃん!

 早く試すぞ!


 俺は目の前の生まれつつある魔物たちを押し退けて先に進んだ。


 光の柱・・・龍脈の魔力は十字に割れた地面の中央から噴き出ていた。

 十字の頂点に楔が打ってある。

 『奈落の楔』の4つある楔の1つだ。


 これだ。間違いねぇよ。

 ラリクエ(ゲーム)で見た楔と同じ形してるもん。

 上っ側が丸くなってて変な模様が刻んであるやつ。


 俺はその黒い楔に近づき手を添える。

 ぐっと魔力を吸われるような感覚があった。

 ここで魔力の流し込み(コマンド)だ。



「上、上!」



 ずん、ずんと2回、丹撃を放つような感覚で魔力を流し込む。

 すると真っ黒な楔が薄く光り始めた。

 中に吸収された魔力が放出されているんだろう。



「これで良さそうだな・・・!?」


「Bugyeeeee」



 すぐ横に生まれたてのオークが太い腕を振り上げていた。

 反射的に飛び退いて躱し、そいつを蹴り飛ばしてそのまま走り去る。

 相手にする時間はねぇっての!


 よし、次は正面だ。

 場所はゲルオクのすぐ後ろ。

 そのまま突っ込めば当然に奴に邪魔される。

 それにドラゴンの視界に入るから危ない。

 どうする。


 ・・・さっきの感じから楔に魔力を流すのは5秒くらいだろう。

 そんくらいならゲルオクを弾き飛ばせばどうにかなるんじゃね?

 ゲルオクはドラゴンに指示を出している。

 こちらの主戦力のレオンとソフィア嬢に首ったけ。

 遠くからなら俺には気づかねぇだろ。

 よし、奴に全力で飛び蹴り、だな。


 俺は機動力の高さを生かしてゲルオクの側面まで回り込む。

 ドラゴンと、レオン、ソフィア嬢が奮闘していた。

 彼らも気を引くように派手な攻撃を繰り返している。

 俺を気にして陽動まで頑張ってくれてんのか。

 さすが過ぎるぜ。



「ぐはははは!! 消えてしまえええぇぇぇ!!」



 すっかり狂気に呑まれた雰囲気のゲルオク。

 目が逝ってるし口もガバガバに開いて髪も乱れている。

 もはや貴族の威厳の欠片もない。


 今はレオンに攻撃しようと反対を向いている。

 俺には気付いてねぇ。

 今なら行ける!

 一気に接近して飛び蹴りだ!


 俺は全力で地面を蹴って飛び上がった。



「Gwoooouaa」


「げっ!?」



 だがゲルオクは気付かずともドラゴン様の目からは逃れられなかった。

 竜の息吹(ドラゴンブレス)の溜めがその口の奥に見える。

 対応早すぎだろ!?



「武!」



 レオンが叫んでいた。

 疑似化は急に止まれない。

 飛び蹴りは方向転換できない。

 そんな基本的なことは凛花先輩との訓練でも散々に体験したはずなのに。


 飛び蹴りで既に宙に浮いていた。

 ここからあの竜の息吹(ドラゴンブレス)を避けるなんて無理。

 だったら聖女様に授けられたお守りを使うしかねぇ!



「――其の隔絶の齎す安寧よ、ここに! 魔法盾(マジックシールド)!」


「Gowaaaaaaaaa!」



 手じゃなくて足から魔法を発動する日が来るなんて!

 たまに遊びでやっていた、足からの魔法の発動がまさか役に立つとは。

 飛びながら足の先から白銀の盾を生成するのと、赤い炎に包まれるのは同時だった。



「うおおぉぉぉぉぉ! 南無三んんー!!」



 気合なのか祈りなのか。

 咄嗟の出来事で仏教徒に成り下がるの日本魂のせい。

 庶民でもお祈りくらいすんだよぉぉぉ!!


 前方に生成された盾の上下左右から炎の渦が通り過ぎていく。

 じりじりと全身の肌が焼ける。あぢい!

 つーか火傷してんじゃねえの!?

 地獄へ繋がる狂気のトンネルへどうして飛び込んだし!

 正気の沙汰じゃない特攻を敢行してしまっていた自分を呪う。

 頼む、このまま最後まで行ってくれ!!


 そうして祈りが通じたのか炎のトンネルの暗い出口が見えた。

 明暗差で視界は悪い。

 海賊が船内に突入するときのようなやつ。

 次は片目を閉じよう。

 ちょっと冷静な自分が経験を記憶していく。



「ぐはは!! 焼け死ねええぇぇぇぇ・・・!?」



 抜けた先に絶叫しながら俺を指さして笑っているゲルオクがいた。

 目が合った。

 「な、なぜ無事なのだ!?」と、視線から贈られるセリフを受け取って。

 それが似合うよう奴の表情が歪む。

 そんなゲルオクを俺は勢いのまま飛び蹴りで弾き飛ばした。



「きざげぶはぁ!?」



 器用な悲鳴をあげながらゲルオクが飛んでいく。

 丹撃ほどではないが数メートルは弾け飛んだ。ざまぁ!

 憎い悪役に1撃って気持ちいい!

 って、あいつは良い、今はこっち!


 着地した俺は急いで赤い楔を探す。

 あった、あれだ!


 黒い液体から湧き出るゴブリンの頭を踏み抜きながらそこへたどり着く。

 うえ、いろいろ踏んじまったよ! 気持ち悪い!



「下、下!」



 魔力を流し込むと、ずん、ずん、と魔力を吸い取る感覚。

 楔は赤白く光り始めた。よし、成功だ!



「Pugyeeeee」


「げっ!?」



 コマンド入力は数秒もない。

 そんな短い時間で真横に来たゴブリンが棍棒を振り上げていた。

 発生、早すぎだろ!? 今度は避けるの間に合わねぇ!?



「武様! 風斬撃(ウィンドカッター)!」



 ソフィア嬢の魔法がゴブリンの腕ごと斬り飛ばす。

 そのままばばっと飛び離れて俺は彼女のところまで後退した。



「助かった、ソフィア! このまま頼むぜ!」


「承知! お気をつけくださいまし!」



 大立ち回りをしているソフィア嬢に礼と激励を伝える。

 彼女の邪魔にならぬよう、すぐに俺は飛び出した。


 次、左側!

 高速移動中は魔物から襲われることもない。

 ほんと疑似化様々だ。


 魔物の密度が低い裏側から回り込み、左側の楔を確認する。

 うん、今なら敵もいない。

 これならひとっ飛びで行ける。

 今度は立ち止まらないように・・・!


 ダッシュして楔へ飛び込む。

 勢いで逆立ちするようにそいつを掴んで側転で半回転。

 身体能力・・・というか膂力が向上しているからこそできる荒業。

 疑似化してないとコケるの間違いなし。



「左!」



 半回転の間に魔力を流し込んだら確認もせずそのまま駆け抜ける。

 この調子!

 今度は反対側の右へ裏から回る。

 同じように魔物がいなかったので飛び込んで楔を掴んだところで・・・ゲルオクと目が合った。

 蹴飛ばしたせいで頭に血がのぼって目が血走ってんぞ。



「消し炭にしてやる! 黄色人種(イエローモンキー)!!」



 魔力を流し込んで、ずん、という手応えを受けたところで。

 完全に奴のターゲットは俺になっていた。



「死ね! 走破雷撃(ライトニング)!」



 その味方ごと貫く強力な雷撃は反則技なんだってばよ!

 案の定、湧き出るゴブリンやオークを貫きながら稲妻が突進してきた。



「――魔法盾(マジックシールド)!」



 ばちいぃぃぃん!


 あぶねえ!

 間一髪で目の前に迫る雷撃を盾で弾く。

 魔力の残滓が視界を悪くする。

 その陰に紛れ、急いでその場を離脱した。


 よし、また左!

 ゲルオクから逃げるようにぐるりと回る。

 行ける、と思ったところで向こう側からゲルオクが駆けてきた。

 くそ、俺の動きが読まれてたか!



「逃げ回りおってぇぇ!!」



 ありゃ、完全に頭に血が昇ってるよ。

 狂気も相まって鬼のような形相になってる。

 蹴飛ばして逃げればそうなるか。

 おちょくりすぎた。


 あと2回だから見逃してくんねぇかなぁ。

 ちら、とドラゴンを見るとレオンが一撃をお見舞いしてぐらりと体勢を崩していた。

 すげえ!!

 アレとやり合えるのかよ!?



「レオン、隙をありがとう!」



 あれなら目の前のゲルオクをどうにかすりゃ良い。

 ・・・そうか、対人戦なら!



「――畏怖(フィアー)!」



 聖女様の十八番(おしおき)

 散々に食らった俺だからその効果はお墨付きだ。

 今のアイツに効けば、だけども。



「ぬ、ぐぅう!? があぁぁぁ!! よせええぇぇぇ!!」



 よし、効いた!

 ボスにデバフが効かない、なんてことはない!

 目の前に何かが見えているのか。

 奴は振り払うように両手を振り回しながら暴れ出した。

 

 その隙に迷わず楔に手を付けて魔力を流す。



「左!」



 ずん、という手応えとともに楔が薄く光る。

 ゲルオクはその場で喚いて暴れている。

 って、電撃を四方八方に乱打してんじゃねぇか、あぶね!


 急いでその場を離脱してまた右側の楔へ。

 これで最後! その辺をうろついていたオークとゴブリンを体当たりで吹き飛ばす。



「右!」



 迷わずずん、と楔に魔力を流して薄く光らせる。

 すると奈落の楔を結ぶように円環状に光が浮かび上がった。

 溢れ出る黒い液体がその内側で堰き止められるようになる。


 よし、楔のコマンドが発動準備に入った!



「あとはBAだ!」



 ゲルオクはしばらく行動不能だ、今のうちに・・・!


 だが最後の鍵となるレオンとソフィア嬢に武器を刺す余裕はない。

 さすがにドラゴン相手は分が悪いからだ。

 巨体から繰り出される尻尾の振り回し。

 巨大な口での噛みつき。

 前脚を振り回しての爪の攻撃。

 そして竜の息吹(ドラゴンブレス)


 どれも1撃でも食らうと行動不能だ。

 必然的に避ける動きが多くなる。

 それに彼らの強烈な攻撃もドラゴンの体力を削りきれない。

 手足や胴、尻尾に傷がついてはいるが、ドラゴンの動きは鈍らない。

 竜退治は簡単にはいかないということだろう。


 さらに周囲に湧く雑魚のゴブリンやオークも地味に足を引っ張っている。

 こんな状況であいつらよく善戦してんな。

 こりゃ援護しないと話にならん。

 俺はいちど聖女様のところまで戻った。



「無事か、香、聖女様!」


「武! 良かった!」


「何とかできそうなのね?」


「ああ、あとひと息。レオンとソフィアの1撃が必要なんだ」



 ちらりと後ろを見ると結弦が校舎側の入り口で多数の魔物を斬り刻んでいる。

 げ、リザードマンとかグリフォンとか、中層の魔物も混じってる!?

 あいつひとりで頑張りすぎだろ!?


 龍脈の穴からの魔王の霧、本気でヤバいな。

 さっさと塞がねえと学園全体で被害が出んぞ!



「Gowaaaaaaaaa!」


「きゃぁ!?」


「!!」



 手出し無用の聖女様のこの安全地帯。

 俺が戻ったのを見たドラゴンがまた竜の息吹(ドラゴンブレス)を吐いてきた。

 吃驚した香の悲鳴で俺まで吃驚する。

 さすがの聖女様、動じず防御は完璧だった。



「う・・・武さん。もうそろそろ限界よ」


「え!?」


「もう、持たないわ。魔力不足」


「なんだって!?」



 それは困る!

 聖女様も香も、ドラゴンに1撃もらったら即死だよ!


 どうする!?

 あの赤い楔のところに具現化武器を突き刺さねぇと塞げねぇんだぞ!?



「武・・・」


「だ、大丈夫! あと少しなんだ!」



 不安そうにする香の肩を持って元気づける。

 彼女までこの場で絶望に晒したくない。


 このまま待っててもジリ貧だ。

 長引くほど敵の攻撃も激しくなって不利。

 なら今すぐやるしかねぇ!



「レオン、ソフィア! あの光の柱の根本の、赤い楔に武器を突き刺せ!!」


「なに!? そんな余裕はない! ぐっ!!」



 答えながらレオンがドラゴンの鉤爪を王者の剣(カリバーン)で弾いていた。

 ああやって防御に武器を使ってるんだから、武器が無けりゃやられる。

 当然の話だった。



「わたくしも! 今は無理ですわ! はぁ!!」



 

 ぎいん、と火花を散らしてドラゴンの尾を間一髪で逸らすソフィア嬢。

 ・・・うん。

 今の状況で武器を手放すのは死ねっていうようなもんだ。

 どうすんだよ!?



「武、こっちもそろそろ限界だ!」


「え!?」


「もってあと1分くらいだぞ!」



 後ろから結弦が叫ぶ。

 振り返れば入り口にこれでもかと魔物が押し寄せていた。

 ミノタウロスみたいな大型の魔物までちらほらと見える。

 舞うように凄まじい勢いで剣を振り続ける結弦。

 物量戦で押されてしまうとどうしようもない状況だった。



「武!!」


「武さん!!」



 香と聖女様が俺を急かす。

 状況が悪ぃのはわかってんだよ!

 あの楔に2発、差し込めれば良いだけなのに・・・!!


 くそっ!

 どうする、考えろ俺!

 このままだとゲルオクまで復帰しちまうぞ!


 ドラゴンを俺が陽動する?

 駄目だ、レオンとソフィア嬢みたいに攻撃が通らねえと無視される。

 結弦と交代してあいつを前に出すか?

 それがいちばん良さそうだが、ドラゴン相手に銀嶺で通じるのか?

 魔力不足だから風魔法で加速はできねぇし。


 えええ、これ、詰んでね?

 誰かがドラゴンに特攻して隙を作って、その隙にレオンとソフィア嬢で刺すしかねぇじゃん!!

 誰かって俺しかいねぇし!



「Gowaaaaaaaaa!」



 竜の息吹(ドラゴンブレス)

 誰に、と思ったらソフィア嬢に向かって炎が広がる。

 全力でその範囲から離脱した先に待ち構えていたのはオークの群れ。



「邪魔ですわ!!」



 ソフィア嬢の乱れ突きで串刺しになって倒れるオークたち。

 だがそこで足を止めたことが不味かった。

 ドラゴンの尾がふたたびソフィア嬢に襲いかかる。



「危ねぇ! ソフィア!!」


「な!? きゃあぁぁぁ!!」



 ソフィア嬢は尾の直撃を喰らい、文字通り弾け飛んだ。

 どかんと建物の壁に叩きつけられる。

 建物にひびが入り、彼女は崩れ落ちるように地に伏せた。



「くそぉ!!」



 俺は急いでソフィア嬢に向かって駆ける。

 障害物となる魔物をすべて蹴散らし、倒れたソフィア嬢を抱える。



「・・・っう・・・」


「しっかりしろ!」



 良かった、即死じゃねぇよ。

 口から血を流してるけど息はある。

 骨の数本も折れてそうだけどこれなら回復できる!

 息も絶え絶えな彼女を抱えて俺は聖女様のところまで戻った。



「ソフィア!」


「大丈夫だ、回復する! 満ちたる生の躍動をここに――身体再生(ヒーリング)!」


「うう・・・ああっっ!!」



 無我夢中で身体再生(ヒーリング)をかける。

 痛みのぶり返しで苦悶の声をあげるソフィア嬢。

 頑張れ・・・!!


 ぱあっと彼女の身体が光るくらい魔力を流し込む。

 びくびくと動いていたソフィア嬢の身体がどうにか落ち着いてくる。

 よし、何とかなった!



「ソフィア!」


「・・・・・・」



 げっ!?

 完全に意識がねぇ!

 え、これ、どうすんの!?

 突き刺せる武器が王者の剣(カリバーン)しかねぇじゃん!!



「くはっ!! はぁ、はぁ、武、もう駄目だ!!」


「結弦!?」



 そのタイミングで結弦がこちらに飛び込んできた。

 捌ききれなかった魔物が中庭の入り口から雪崩こんで来る。



「ぐおおおおぉぉぉ!!!」



 ドラゴンと相対する人数がひとりになっていたレオン。

 苛烈な攻撃が彼に襲いかかっていた。

 それを気合で弾き続けている。

 駄目だ、あれじゃすぐに駄目になる!!



「武、さん!! もう、駄目!!」


「武!!」



 聖女様が悲鳴をあげる。

 香がまた俺の腕にしがみついてきた。


 結弦が防いでいた魔物たちが結界に集まっていた。

 結界の一部の色が変わって崩壊しそうな雰囲気。

 こんなんじゃすぐに魔力尽きるだろ!



「聖女様! くそっ! 其の境は彼我になし――魔力同期(マジック・リンク)!」



 聖女様の手を握って俺の魔力を流し込んだ。



「っ、ありがとう!」



 何とか魔力を補充し、結界が持ち直す。

 でも聖女様は限界が近いままで辛そうだ。

 こんな緊急の延命措置、もって数分。すぐに限界が来る。


 また絶体絶命かよ!?

 あと少しなのに!!


 俺は頭をフル回転させ、必死に解法を探した。

 手は、あそこに突き刺すものは何かないのか・・・!!






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