第6話
「さあ、占を立てるぞ。まずは・・・」
と秋貞が準備を始める。
「あの、私は何をすれば?」
うーん、と秋貞が考え込む。(考えるんかい!)と心の中で盛大に突っ込みを入れた。
「じゃあ、左大臣家の見取り図をかけ。何かあればその見取り図に印が浮かび上がるはずだ。」
「分かりました!」
「1分で準備しろ。」
「え。」
固まった陽葵に秋貞が、「固まっている暇なんてない!早くするんだ!」と言った。
「ひ~。書けた」
ぐったりとした陽葵が書き終えた見取り図をもって、秋貞が占の準備をする部屋に向かった。
その後の秋貞の第一声は、「遅い。」だった。
「10分もかかってるじゃないか。」とにやけて秋貞が言う。
「ま、普通のやつより早いか。お疲れ。」
とねぎらってくれる。(やっぱり、優しい人だな。)などと考えていると、
「始めるぞ、」と秋貞が言った。
秋貞は、目をつぶって印を組む。そして呪を唱え始める。秋貞がかっ!と目を開く。すると、秋貞の前に置かれていた見取り図に黒い点が浮かび上がってくる。
「大姫様の部屋と、その裏の倉庫に印が出たか・・・」
「どういう類の印なんですか?」
「これは、確実に妖怪の印だ。その2つの部屋のどこかに妖怪が潜んでいるということだ。」
と、見取り図を指しながら言う。
「左大臣様に明日、この結果をお伝えしよう。」
「はい。」
「そして、大姫様の部屋と倉庫に入る許可をもらう。それからしばらく様子を見て祓う。悪さをしない妖怪もいるからな。」
「そうですね。無差別に祓うのも可愛そうですし。でも、左大臣様は迷惑がられていますけど、」
「・・・」
秋貞はもっともなことを言う陽葵を見つめ黙った。
(秋貞様は天然なところもあるんだな。あんなに手際よく何でもする人なのに。)
と陽葵は余計なことを考えていた。