表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女陰陽師   作者: 葉月
最終章 別れの陰陽師
41/45

第1話

 処刑の内容を受け、安倍一家はその日のうちに都をでることにした。


 とりあえず御所を辞し、安倍邸へと戻る。

 帰りは行きの時と違い、罪人であるから籠は使えず自分たちの足で歩いて帰った。


 屋敷につくと、1人の男が母屋に座って待っていた。


「あっ、秋貞様!?」


「ひ・・・な・・・た?」


「儂らは邪魔になるようだから、部屋に戻って準備をしておく。ゆっくり話しなさい、陽葵。」


 弘蔵はそう言い、母と乳母、女房をつれ、母屋を後にした。


 母屋に2人きりとなった陽葵と秋貞の中には沈黙が流れていた。

 その沈黙を破ったのは、秋貞だった。


「陽葵。文にさようなら、と書いてあったが、もう俺と会わずに処刑されるつもりだったのか?」


「・・・はい。会うと覚悟が鈍りそうでしたから・・・。」


(当たり前じゃない。未練が残らないようにしないと・・・あってしまうと未練があって死にきれないから・・・。まあ、死ぬわけではないのだけれど。)


 秋貞は陽葵の返事を聞き、肩を落とす。


「そうか・・・。俺は覚悟を鈍らせる、邪魔な存在でしか、その程度の男としてしか見られていなかったんだな。」


「え・・・?」


「分かった。もう俺はお前とは会わない。だから星の塔にも一生来るんじゃない。」


 唯一、仲間だと言ってくれた秋貞からはっきりと拒絶の言葉をもらった陽葵は、顔を真っ赤にし、こういった。


「・・・せっかく。都を出るだけの刑で収まったのに、そんなひどいことをいうんですね。出てってください!!秋貞様なんて、大ッ嫌いです!!!」


 陽葵は心の底から叫んだ。後からすごいことを言ってしまったと気づくが、もう言ってしまったことには取り返しがつかない。

 秋貞は陽葵に大嫌いと言われたそのままの勢いで安倍邸を飛び出し、星の塔へ帰りついた。そして星の塔で主の帰りを待ちわびていた翠と話す。


「ケンカ・・・するつもりなんて、なかったのにな。」


『何も話さずにいた、陽葵も悪いですが、それでいじけた主殿の方がよほど子供っぽくて悪いと思うのですが。』


「そうだよ・・・な。勢いでもう来るな、とまで言ってしまった。」


 秋貞は自分のしたことについて深く、深く反省していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ