プロローグ
投稿が遅くなってしまい申し訳ありません!
「面を上げよ」
帝の声が上から降ってくる。
陽葵はそれに従い、おそるおそる顔を上げる。
「其方たちは、余を欺き、そこの安倍陽葵は男として陰陽寮に出仕していたそうではないか。余はそなた、安倍弘蔵を宮廷陰陽師として信頼しておったのに。」
「・・・。」
弘蔵は言葉が出なかった。家を守るため、陽葵を出仕させて、お上をたばかっていたのは紛れもない真実だから。
「・・・安倍家縁者は5人で間違いないな。弘蔵。そなたとそなたの妻、娘と乳母、そして女房。」
「はい。さようでございます。お上。」
「はじめから男・・・跡取りがいないことを話しておけば養子をやったというのに。女を出仕させるとはけしからん。だが、余も跡取りがおらず、窮地に陥ったお前らの気持ちもわからないわけではない。」
帝はいろんなことをふまえ、処刑状を読み上げた。
「安倍家への処刑を下す。頭首、安倍弘蔵は僧となり、宮廷陰陽師の職を解くことを命ずる。女どもは都を離れ、静かに暮らすこと。」
思っていた内容とは全然違う処刑内容で、陽葵は思わず声をあげる。
「え・・・?それだけ、なんですか?」
「なんだ?もっとひどいことをするとでも思っていたのか?余も人間、そなたらも人間。無駄な殺生は嫌いだ。人間とはだまし、だまされ合うものであろう。」
「一家断絶・・・。みんな殺されてしまうのを覚悟でこのようなことをしたのですから。」
「そんなことはせん。殺して何の得があるのだ?」
「・・・処刑、お受けいたします。」
弘蔵はそう言い、お上が述べた処刑内容をすべて受け入れた。




