第14話
あと1話で第2章が終わります。
これからも読んでくださいね!!
海の氾濫の件が片付き、陽葵の心には重大なことが1つ残されていた。
それは、幼馴染であった大内正次が、お上に女が陰陽師として陰陽寮に出仕しているということを告げたという事実だ。
もう、お上に知れ渡っているのならば、一家断絶は免れない。
陽葵は簡単に自分が女だとばれてしまうような態度をとっていたことに情けなさを感じていた。
(私って、なんて役立たずの人間なの?)
陽葵はこれから起こるであろういろんなことに対して不安で仕方がなかった。
* * *
大海付近の村。天と地の境、”天”の地。
そこで、せっせと働いている男と太古の神、翠は話していた。
『大海の神と会せるのだ。』
『へい。分かりました。翠様。』
その男は陽葵達が大海に来た時、話すことができなかった男だった。彼と話すことができなかったのも無理はない。天の地の住人でもあるが彼は神案内人だったのだ。彼は神としか話すことができない、そんな人物だった。
彼は翠を大海の神のもとへ案内し、去って行った。
* * *
秋貞は自分の心を決めかねていた。
人生の一大決心。そう、陽葵に自分思いを、好きだという思いを伝えるかどうかの。
陽葵のことを自分では仲間仲間、と思いながらもついつい女として意識してしまっていたりすることが多々あった。陽葵はべつに危険でないときだってついつい頭が過剰に反応し、保護欲が出てしまう。
この気持ちは秋貞が陽葵を十分に好きであるという証拠だといえるだろう。
秋貞は立ち上がり、安倍の屋敷にいるであろう陽葵に会いに行くために、狩衣姿へと着替えた。
* * *
大海の神と翠。仲直り・・・をしたのか、大海はいつもの穏やかさな波に戻っていた。
周りの村、木々。すべてが元通りになった。死んでしまった人たちを除いて。
もう、何があっても暴れて村を飲みこんだりしない、と約束した大海の神は、海中へと姿を消していった。
翠は新しい主、秋貞のもとへ戻るために歩みを進める。




