第12話
『水神よ、すまない。我が正次とやらに操られていたがために、お前に余計な力を使わせてしまった・・・』
きれいな白髪をなびかせ、海の方へと向かい謝る式神。
『いえ、いいのですよ。翠。気にしないでください。私よりもあの陰陽師の男性と、女の子じゃないかしら。あの2人には相当ひどいことをしてしまったわ。』
水色がかった銀髪をきらびやかになぞり、式神、翠と話す水神、南葉。
『そうですね。秋貞というものには傷を、安倍の女陰陽師には我をとらえていた、と決めつけて攻撃をしてしまった。同じく、大海の神にもひどいことを我は申した。それで彼はあんなに激情し、大海は荒れてしまった・・・。村を飲みこんでしまうほどに。亡くなった方には悪いと思っているが、やはり我がしたこととはいえ、操られていたから何もかもがあいまいなのだ。』
『・・・仕方がないことだわ。亡くなった人の光はもう2度ともとには戻らないのだから。まずは星の塔へ行ってあの女の子を救わないと。男性が倒れたことと、今上の帝に自分のことがばれたと知って気が着じゃなくなっているわ。1つでも軽くしてあげないと。あの女の子の心はもうじきつぶっれてしまうわ。』
* * *
奉行所に連れて行かれた正次は、取り調べを受けていた。
「お前が大海の氾濫、都の海の氾濫を意図的に仕組んだというんだな?一つ聞く。なぜこのようなことをしたんだ・・・?」
「・・・ふん。邪魔だからに決まってるだろ?この都も、あの村も。本当、あの式神は役に立ったぜ。あそこの海に置いてきてしまったがな。あの式神が封印されていた玉はな、あの村に供えてあったんだ。」
と式神を得ることができた道を話し始める。
「その玉をとれば、何かの守りが崩れるんじゃないかと思って神仏をぶっ壊してとったんだ。そして開封の呪文を唱えてみれば、まあ悪い悪ーい式神ちゃんが出てきてくれちゃって。」
はははははは、と最悪な笑みを漏らす。正次はここ10年の間に根っからのゴミ人間へと化していた。
「あー、陽葵達の野郎が処刑されるところ、みたかったなあ。あいつら昔から俺を見下しやがって。ザまあみろってんだ。」
〈見下す・・・陽葵としてはそんなつもり全くなかったようだが。一緒に遊んで一緒にご飯を食べて一緒に寝る・・・それのどこが見下しというものなのだろうか。第3者の語り部としてここはしっかり説明しておきたかった。〉
「10年も前から殺意を持っていたんだが、なかなかする機会がなくてなー。あの村で式神と出会ったのは最高にいい機会だったよ。実行するにあたって、あいつの協力がなければなしえなことだっただろうからな。陽葵達自身はしなかったとしても俺はそれで満足だ。10年分以上の恨みはきちんとはたせたからな。最高の気分・・・だ・・・ぜ。」
なぜだかわからないが笑う正次の瞳には涙が浮かんでいるように見えた。




