第11話
陽葵は闘志をむき出しにする中、正次はへらへらと突っ立っていた。
「はっ、女陰陽師の意地ですかあ?陽葵さーン。まさか、秋貞ってやつを好きだったりするう?」
くくく、と笑いながら声をあげる。
陽葵の堪忍袋の緒は限界だ。そして切れる。ぶつり、と。
陽葵はもくもくと印を組む。そして一声。
「死海明星災地天明急々如律令!!」
完成した術を正次めがけて放つ。
正次は式神を封印している玉で攻撃を防いだ。
「いまごろさあ、お上にはお怒りじゃないのかなあ。女のくせに出仕してるやつがいるって伝えちゃったからさあ。大海の村にいた時に陽葵が出仕してるって変な噂を聞いてさあ。お上にばれると一家断絶らしいじゃん。あー面白い。一か八かでお上に報告しておいてよかったよお。あー早く見たいな。一家断絶される安倍家の姿を。楽しみー」
(こいつ・・・!!!!)
陽葵はカンカンに怒った勢いで九字を切り始める。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!!」
術は見事に正次に命中した。正次もしょせん人間。この攻撃はかわすことができなかったようだ。
正次は膝をつき、崩れる。
そこへすかさず兵たちが入ってきて正次を拘束し、奉行所に連行していった。
陽葵はすべての力が抜け、座り込む。
(お上に私が出仕していることを伝えた??ここで私、いや、私たち一家は終わりなの??秋貞様にだってたくさんの迷惑が・・・!)
「秋貞様・・・」
いまだぐったりしている秋貞を無理やり引っ張り、陽葵はとりあえず星の塔へ向かうことにした。
* * *
正次と陽葵が戦った場所に翠玉がぽつんと残されていた。
翠玉からはきれいな浄化された光が放出し、玉は式神の姿へと変わった。




