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女陰陽師   作者: 葉月
第2章 奪われの陰陽師
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第10話

 秋貞は陽葵の前に出、光の矢を陽葵の代わりにすべて体に受けた。

 秋貞はその場に崩れ落ち、倒れこんだ。秋貞の体からは異様な光が放たれている。


「秋貞さまっ!!!!」


 陽葵はへたり込み、秋貞の体を必死にゆすぶる。だが、返事はおろか、反応一つ返ってこない。

 陽葵の目からは大粒の涙が零れ落ち、地面と秋貞を濡らす。

 式神はそれを目にしてすら、陽葵への攻撃をやめようとせず、2回目の攻撃態勢に入っていた。

 光の矢を再び式神が繰り出そうとした瞬間、一つの声がかかり、式神の動きが止まった。


「よーしよし。もう十分痛めつけたし、やめてあげな。もうお前は用済みだよ。黙って寝ててよ。さっきまでみたいにさ。」


 声をかけた男が静かに歩み寄ってくる。陽葵は恐ろしさに震える声で尋ねた。


「あなたは・・・誰?」


 男は式神を玉の中に再び封印しながら答える。


「大内正次。」


(正次・・・!!?)


 彼の容姿は陽葵の記憶の正次とかけ離れたものだった。

 髪は半分刈り上げられていて、束帯は流れの民のような着流し。剣が数本腰には差されている。

 目は変に血走っており、盗賊のような風貌を醸し出していた。


「いやあ、この式神はよく働いてくれたねえ。命じたことは忠実に聞いてくれるんだもの。」

 

 陽葵はこの男、幼馴染であった正次におそろしさしか感じていなかった。

 苦しいのか、倒れている秋貞がうめき声をあげる。

 

「秋貞様をどうしてくれるの・・・?」

「秋貞・・・?そこに倒れている奴は秋貞っていうのかあ。安倍陽葵かと思っちゃったよ。あまりにも弱いからさ。てかあんたが陽葵?男の格好してるのほんとうだったんだあ。お上に嘘をついたことにならなくてよかったあ」

はっはっは、と笑う正次。正次のことばに少々おかしさを覚えたが、そんなこと気になんかしてられない。


「正次、誰かわからずに無差別に攻撃させていたってこと?私を狙っていたの?頼るふりをして、殺そうと思ってたってこと?なら、最初から私だけを狙えばよかったのに・・・!!なんで秋貞様を巻き込むのよ!!」

「ただ、式神のやつが勝手に狙っただけだよ。目標はあくまで陽葵だったからね。あー残念だなあ。陽葵は技を食らわなかったのかあ。そっかそっか。つまんなーい」


(何?!正次ってこんな人間だった??最悪ッ!人を攻撃することを何とも思っていないなんて!!)


「許さないわよ、正次。幼馴染の名に懸けて、絶対に!!」


陽葵は戦うべく、立ち上がった。

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