第10話
秋貞は陽葵の前に出、光の矢を陽葵の代わりにすべて体に受けた。
秋貞はその場に崩れ落ち、倒れこんだ。秋貞の体からは異様な光が放たれている。
「秋貞さまっ!!!!」
陽葵はへたり込み、秋貞の体を必死にゆすぶる。だが、返事はおろか、反応一つ返ってこない。
陽葵の目からは大粒の涙が零れ落ち、地面と秋貞を濡らす。
式神はそれを目にしてすら、陽葵への攻撃をやめようとせず、2回目の攻撃態勢に入っていた。
光の矢を再び式神が繰り出そうとした瞬間、一つの声がかかり、式神の動きが止まった。
「よーしよし。もう十分痛めつけたし、やめてあげな。もうお前は用済みだよ。黙って寝ててよ。さっきまでみたいにさ。」
声をかけた男が静かに歩み寄ってくる。陽葵は恐ろしさに震える声で尋ねた。
「あなたは・・・誰?」
男は式神を玉の中に再び封印しながら答える。
「大内正次。」
(正次・・・!!?)
彼の容姿は陽葵の記憶の正次とかけ離れたものだった。
髪は半分刈り上げられていて、束帯は流れの民のような着流し。剣が数本腰には差されている。
目は変に血走っており、盗賊のような風貌を醸し出していた。
「いやあ、この式神はよく働いてくれたねえ。命じたことは忠実に聞いてくれるんだもの。」
陽葵はこの男、幼馴染であった正次におそろしさしか感じていなかった。
苦しいのか、倒れている秋貞がうめき声をあげる。
「秋貞様をどうしてくれるの・・・?」
「秋貞・・・?そこに倒れている奴は秋貞っていうのかあ。安倍陽葵かと思っちゃったよ。あまりにも弱いからさ。てかあんたが陽葵?男の格好してるのほんとうだったんだあ。お上に嘘をついたことにならなくてよかったあ」
はっはっは、と笑う正次。正次のことばに少々おかしさを覚えたが、そんなこと気になんかしてられない。
「正次、誰かわからずに無差別に攻撃させていたってこと?私を狙っていたの?頼るふりをして、殺そうと思ってたってこと?なら、最初から私だけを狙えばよかったのに・・・!!なんで秋貞様を巻き込むのよ!!」
「ただ、式神のやつが勝手に狙っただけだよ。目標はあくまで陽葵だったからね。あー残念だなあ。陽葵は技を食らわなかったのかあ。そっかそっか。つまんなーい」
(何?!正次ってこんな人間だった??最悪ッ!人を攻撃することを何とも思っていないなんて!!)
「許さないわよ、正次。幼馴染の名に懸けて、絶対に!!」
陽葵は戦うべく、立ち上がった。




