第1話
出仕5日目にして、陽葵に危機が迫っていた。
「あんた今年14歳になったんだよな?」
そう言うのは、坂上義則-陰陽寮のトップにあたる人物だ
「そうですが、」
「男のくせに身長は小さいし、声は高い。おまけに長く外で仕事をしているとすぐに疲れる」
「それがどうかしましたか?」わざと平然としたようすで答えてみる。
「女なんじゃないのか?ってんだよ!!!」
あ、怒った。こんだけで怒るとか器小さっ。つか今なんて言った?このひと。僕のこと女じゃないかって言ったっけ? 背中を冷汗が流れる。
「・・・や、やだな。そんなわけないじゃないですか」
「やっぱり怪しい。今から天皇の御前に行って打ち首にしてもらう」
はい?まずい。。。言い訳を考えないと!
「僕はちゃんとした男です!最近まで女の教育を家で受けていました。だから、仕事は疲れるのです!!こ、声もまだ変わってないだけですし、身長もこれから伸びる予定です。」
我ながらうまい言い訳だ。
「そうか。最近まで女の教育を・・・」
なんか、やばそうな雰囲気なんですけど・・・
「だったら男の相手の仕方も教えてもらってるよな?」
「え。。。!?」
ぐい、と手を引っ張って連れて行かれた先はある屋敷。
「何するんですか!!離してください!」
「男同士だろう?何も怖いことはないさ。それとも・・・?」
陽葵は畳に押し付けられる。
(なんて強い力!!押しのけきれない!服を脱がされたらばれちゃう!!)
善則の手が服にかかった瞬間----------!!!!!(いやーーー、、)
「男いじめてなにやってんだよ?」
男の声だ。助かった・・・?
「お、これはこれは賀茂秋貞様。このようなところを見られてしまうとはお恥ずかしい」と言って立去って行った、善則。
(知ってる人なのかな。)
「あの、ありがとうございました。」
「助けたんじゃないからな。お前、男のくせに弱いな。陰陽の力はあるみたいだけど。」
「…男じゃないです」
(しまった!つい、本当のことを言ってしまった!!!)
「じゃ、女なのか。」
「・・・はい。」
「俺は賀茂秋貞。お前は?」自己紹介をしてきた。何を考えてるんだろう?とりあえず名前だけは言っておこう。
「安倍陽葵です。」
「安倍のところの子か。なるほどね。いいよ。ここでのことなかったことにしてあげる。だから、早く帰れ。」
だまっててくれるってこと?いい人過ぎる!!秋貞さん!!!!
「ありがとうございます!それでは失礼します。」
「あ、善則には一人で近づくな。どうしても会わないといけないときには、先に星の塔へ来い。」
どういうことだろう。星の塔には何があるんだっけ?父さんに聞いてみよう。
などと考えながら屋敷を後にした。