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女陰陽師   作者: 葉月
第2章 奪われの陰陽師
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プロローグ

名称はプロローグですが、中身はいつもと変わらない感じです。プロローグって物語の説明をするところのようなイメージがあるんですけど、会話思いっきり入ってます。

おかしな話がこれからもつらーーっと更新されていきますが、お付き合いください。

「きゅ、求婚の文ですか?!」

 大陰陽師、安倍晴明のひ孫、安倍陽葵はある文を父である安倍弘蔵から受け取る。

「正次からだ。3日以内に返事を書きなさい。」

 -正次…まさつぐとは、ずっと昔に遊んだことのある幼馴染だ。でも、ここ10年くらい会っていない。

私が裳着の儀を6歳のころ行って以来。なぜそんな人が私なんかに求婚の文を渡すんだろう?


陽葵はそのなぞを解決するべく、正次からの文を読んでみることにした。


*   *   *

 

 荒れ狂う波。天と地の境ともいわれる、大海(おおあま)

 その波は近くの村を軽々と飲み込む。

 村人たちは亡くなった。遺体も流された。なにも残っていない。

 生き残ったのは只一人。何もない中に立っていた。

 生き残った人物の名前は、大内正次だった。


 彼には頼れる人物がいない。そこで思い出したのは、ずっと昔遊んだ陽葵のことだった。

 陽葵が阿部の家系の姫であることを思い出したのだ。

 陽葵に頼らなければいけない自分を情けなく思った。だが、飢え死にはしたくなかった。

 (安倍家で働かせてもらおう)

そう思い、昔の陽葵の顔をしっかりと思い出しながら、はるか遠くの平安京まで歩みを進めていった。


*   *   *


星の塔で占をしていた秋貞は国の異変に気付いた。

(何かが遠くの地で起こった。調査するべきか・・・?)

「秋貞様ー」

いいタイミングで従者其の1がやって来た。

「旅に行きませんか?陽葵様も連れて。」

(旅・・・?・・!!!!いいことを思いついた。旅を名目にして出かければ、陰陽寮からは何も言われないだろう!!)

そう、ちゃんとした依頼じゃないと、秋貞には回ってこないのだ。偶然回ってきたとしても、必ずだれか同行者がいる。邪魔をされずに仕事をするチャンスなのだ。

「秋貞様、よからぬことを考えてませんよね?例えば陽葵様の寝る姿とか。」

「・・・・!!!」

余計なことを聞いたせいでもろに妄想してしまったではないか。妄想した自分が恥ずかしくなり、顔がほてる。

「あ、やっぱりそうなんですね!」

「お、お前はーーーー!クビだーーーー!」

すっかりなめられている秋貞だった。




                   

 

同時進行で、異世界に来ましたー出会いを見つけましたーも連載していますので、そちらもよろしくお願いします。

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