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女陰陽師   作者: 葉月
第1章 出会いの陰陽師
19/45

第16話

「そうか。大姫についていたという物の怪というのはお前だったのか。善則・・・。」

「ソウダ。ワルイカ?ズットサチヨヲミテイタ。ヨシノリトイウナデ、オンミョウジノシゴトヲモラッタトキカラナ。キレイダトオモッタ。スベテヲオレノモノニシタカッタ。ソレヲサチヨモウケイレテクレタ。」

「何故、殺す必要があったんだ!普通に人間として通って、娶ればよかったじゃないか!!」

「オレハヨウカイダ!!ニンゲンノスガタデイレルノハナガクテミッカダ。コロシテサチヨヲヨウカイニシテシマエバ、ケッコンデキル!!!」

義則である妖怪はそう告げ、手に持っていた4枚の陰陽博士の符を陽葵と幸世めがけて投げつけた。

 「陽葵っ!結界を急げ!やられてしまうぞ・・・!!!」

 秋貞も守りの符を飛ばすが、間に合うか間に合わないかは、五分五分という状況だ。

 

 ドオオオオオオオオオン

 

 すごい地響きとともにすべての符が消滅した。煙の中から無事だった陽葵と幸世の姿が現れる。

「よかった。間に合ったか・・・。」

陽葵は内心助かるかどうかドキドキしていた。まだ気絶したままの幸世をしっかりと抱きかかえ、助かるように願っていた。案の定、秋貞が助けてくれた。

 陽葵たちの無事を確認した秋貞は符を構えた。本格的に倒さないといけない。理性がそう訴えていた。

「もう、やめろ善則。人間と妖怪じゃ無理だったんだ。生きる理が違う。この符でお前は楽になれる。それで終わりにしよう。」

優しく秋貞が善則に言う。

「イヤダ!」

 善則は黒い道を作りだし、その中へ逃げ込む。秋貞がすかさず符を投げつけ、善則は黒い道の道中で倒れた。

 秋貞が近くに言って顔を見てみると、目から涙が出ていた。

「・・・サチヨ二アイタイ・・・」

そう言って息絶えた。善則は妖怪の姿から人間の姿へと戻った。

「終わった・・・」

秋貞が静かにつぶやいた。

 陽葵と一緒に黒い道の外にいた幸世は目を覚ました。

「善則は・・・?」

「あの黒い道の中です。」

陽葵がそう答えると、幸世は善則のもとへ駆けていった。

「・・・善則。ごめんね。妖怪だと知らなかった私が悪いんだわ。善則・・・ありがとう。私を御簾の外に連れ出してくれて。楽しかった。英語も覚えれたし。帝のところへ行こうと思う。なんだか吹っ切れちゃった。私の立場ではそれが仕事だしね。本当にありがとう。」

善則の顔を見つめ、泣きながら思いを伝えた。

善則の涙は止まり、安らかな死に顔に変わった。善則は粉のように消えてなくなってしまった。

 

陽葵は幸世に声をかける。

「帰りましょう。日本に。」

「陽葵さん・・・ありがとう・・・。そしてだましてごめんなさい。」

幸世は泣きながら陽葵に謝った。

ありがとう、ごめんね。

その言葉を繰り返し幸世は陽葵に向けて告げていた。

あと1話ですよー

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