ゆうしゃ と まおう
ゆうしゃとまおうの壮絶な戦いの火ぶたが切って落とされた!
「まおうよ! ぼくがゆうしゃだ! おまえをたおしてやる!」
「ははははは おろかなゆうしゃよ! わたしがせかいをてにいれるのを じゃまするのか! かえりうちにしてやる!」
「なんだと! ぼくこそ せいぎだ! おまえなんかにまけるか!」
「ははははは わたしがせかいのしはいしゃだ! くらえ すーぱーまほう!」
「このせいぎのけんで せいばいしてくれる! えい! えい!」
「ははははは うわ いたっ! いたいって ほんきでなぐらないでよ」
「あ ごめん これくらいならだいじょうぶ?」
「あ うん これくらいならだいじょうぶかも じゃあつづきするね? ははははは」
「ええい まおうめ かんねんしろ!」
…………
『……昨夜未明、首相官邸に刃物を持った男が侵入しようとし、警備員数名に重軽傷を負わせる事件が起こりました。館内に侵入しようとした男は「俺が正義だ! 悪は滅びよ!」などと意味不明な供述をしており、現在拘留中の警察署内で事情聴取を受けています。現場からの通信が繋がったようです。現場の……』
「まったく、面倒なことをする奴がいるもんだ」
門の前に集まった多数の取材陣と野次馬の群れを見てため息をつく。間抜けな人間がどんな事件を起こそうと興味ないが、今は時期が悪い。大事な国政を決める直前にこんな事件を起こされては、議事の進行が滞りかねない。
せっかくありとあらゆる手を尽くして……それこそ賄賂や不正な手段をとって……今回の議事を自分の都合よく進められるように準備したのだ。それをあんな瑣末な事件で邪魔されたくない。まったく面倒な話だ。
秘書を呼び付け、事件の対応や今回の議事の進行についての調整を命令する。すでに事件を起こした男のことなど頭にない。これから自分が行うこと、そしてその先に起こることを想像すると、顔がにやける。
「今回のことが終わったら、そのときは……」
男は、ははははは、と笑った。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ぶっちゃけ「……などと意味不明な供述をしており」の一言が言いたかっただけの短編です。お目汚し失礼致しましたm(_ _)m




