委員決め&宿敵、平野君武(ひらの きみたけ)
今日は委員決めの日です。お友だちを沢山作りたいです。そしてまさか、平野君武というリトル君鸞会の子と初めて会話する日になるとは……
朝がやってきた。
昨夜はよく眠れたのでとても気持ちのよい朝です。
私は昨日と同じように学校に行く準備をしていました。顔を洗い、私の寝室用意されていた服に着替えてから、朝食を食べるために食堂へと向かいました。食堂には、お父様とお兄様の姿がありました。
実は、私 城常院妃袈にはお兄様がいます。お兄様の名前は「城常院弘貴」で、血液型は私と同じAB型。歳は私より8歳年上で、中等科3年生です。当然ながら、お兄様も帝鸞学園に初等科から入学し、君鸞会に所属しています。そしてなんと、お兄様の親友の名前は「吉野醍醐」様ということを今朝聞きました。吉野桜子ちゃんのお兄様と私のお兄様も親友どうしということを知り、とてもびっくりしました。ちなみに、吉野醍醐様は桜子ちゃんと同じA型だそうです。
そんなお話しを楽しみながら朝食をとり、最後にお父様とお兄様はコーヒーを、私は紅茶を飲みました。お母様はお部屋でお肌の手入れをしているのでまだ食堂にはいません。私は、朝食のサンドイッチを食べ、ミルクを飲み終わると、いつもより丁寧に歯を磨きました。
そして、お兄様と一緒に(執事の)高尾が運転する車で学園に向かいました。今朝は比較的信号待ちが少なかったので、いつもより早く学園に着きました。
教室に入ると、松田武久君がいました。松田君は、とても真剣な顔で車の図鑑を見ていました。やっぱり、男の子は車とかが好きなんだなと思いました。
そして しばらくすると朱梨ちゃんと桜子ちゃんがきました。
早速、桜子ちゃんにお兄様の事を聞いてみると、今朝の内容と同じでした。桜子ちゃんもとても驚いていました。
そして今日の本題、委員会及び係決めの時間になりました。私は何にしようか迷っていましたが、小林先生が突然「城常院さん、学級委員になってくださる?」と聞いてきました。最初は少しびっくりしましたが、プリント集めや教材の配布などがあり、クラスの色々な子たちと仲良くなれるポストとして学級委員が最適だと考えたので、それを引き受ける事にしました。
そして、その後は小林先生の見事な人選により、何事もなく進行しました。
ちなみに、月島朱梨ちゃんは体育委員、吉野桜子ちゃんは風紀委員でした。小林先生…恐るべし!
その後、私は教科書やドリルを配付する仕事を手伝ったり、提出プリントの回収を手伝ったりしました。少しでも色々な子と仲良くなれるように接しましたが、ほとんどの子は、なぜか私を敬遠してしまいます。
結局、自由に話せるような子は朱梨ちゃんと桜子ちゃんだけでした。理由は、私が小姫峰会のメンバーだからだと そのとき気がつきました。やはり、君鸞会や姫峰会のメンバーとは当たらず障らずのようです。私も、あの「平野君武」という独裁者を避けたかったのですが、その組織に入ってしまいましたのでしょっちゅう会うことになりそうです。トホホ……
私が、なぜ「平野君武」様を避けたいのかというと、昔、お母様の実家にあった とある少女マンガの悪役令嬢と私のキャラがとても似ていて、独裁者のような男の子を好きになってしまうのですが、途中からその独裁者男子が他の女子を好きになってしまい(怒)、私がそれを阻止しようと様々な陰謀を仕掛けるのですが…。結局、悪役令嬢は独裁者に弾圧され、家ごと没落するというストーリーです。その後、独裁者は好きな女子を自分のものにし、その女の子も幸せな人生を送るのです。めでたしめだたし。
………それがとてもトラウマです。独裁者は、絶対にあの平野君武 君だということは6歳でもわかります。小学1年生にして他者を従わせるオーラを放ち、回りには金魚の糞のように同級生や先輩までもが集まります。一度でも彼の気分を害するような言動を取れば、何かしらの報復があることは言うまでもないのです。
更に平野家は、日本国内だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、中東、中国、オーストラリア、アフリカにまで系列企業を持ち、世界的にも絶対的な権力を誇示している超巨大財閥です。その平野家の直系の御曹司こそが平野君武様なのです。
私は家ごと没落するなんて絶対に嫌なので、なんとか平野君だけには気を付けようと決心したのが昨日です。しかし、その願いもむなしく、とうとう平野君と話す日が来てしまいました。
放課後、昨日と同じように初等科にあるリトル君鸞会&姫峰会のサロンに行きました。入学してからまだ日が浅いせいか、やはりリトルのサロンであっても、一流の高級ホテルのロイヤルスイートルームのリビングのようにしか見えません。城常院家ですらたまにしか行かないような一流ホテルのロイヤルスイートルームに、私はほぼ毎日行けるのだ!という少しの優越感もありました。もちろん専属のコンシェルジェがいて、私は退屈しませんでしたが、それでも退屈するような子もいました。
ふと特等席の方面を向くと、
そこには、既に例の平野君武様が特等席の中央にに堂々と座っていました。やはり彼には他者に席を譲るという発想は無いのですね…(^-^;
彼は、ミルク(←やはりまだお子様(笑))を飲みながらずっと窓の外を眺めていて、ときどき大きく息をはいたりしていました。
回りには姫峰会の先輩方がとりまき、彼のご機嫌を伺っているようです(^-^; しかし、先輩方からの質問等にも的確に答えている反面、やはり何か物足りなそうな表情をしています。
どうやったら6歳で人生に退屈するような子供を育てられるのかはわかりませんが、とにかく気まずい空気でした。帝王教育を受けると、ここまで変な子(それが彼の魅力だが…)になってしまうとは何ともおそろしい。
そんなに退屈なら、校庭でドッジボールや鬼ごっこでもすれば良いのに…と思いますが、帝鸞の子でそんな野蛮な遊びをするような子はいません。平野君は、子供らしい遊びをしたことがあるのかな……と色々考えてしまいました。ドッジボールでワイワイはしゃぐ平野君、一輪車にのる平野君、かくれんぼをする平野君……。多分、平野君はオーラが強烈すぎて、かくれんぼではすぐに見つかってしまうとは思うが…(^-^; 想像しただけで笑えます。
その後しばらくしてから勇気を出して「ご…ごきげんよう」と私は少しひきつった作り笑いで挨拶をしました。すると平野君は「ああ、東組の城常院さん。退屈だから何か話そう」と言ってきました。彼にとって私は暇潰しの話し相手として見られているのか!と内心では思いましたが、そんなのはお父様で慣れているので特に気にしないようにしました。そして、その平野君のデータをまとめてみました。
平野君武
血液型はAB型←私と同じでなんかショック
今井貴仁君と加藤慶伍君と仲がいい。既に女子のとりまきもできているが、彼はあまり普通な人間には興味を示さないようです…(^-^;
とても先輩から好かれる理由は受け答えが賢くて、色白で可愛らしいからだそうです。声も男の子の割には高く、髪型はポニョの宗介に似ています。言葉使いはとても丁寧なのですが、慇懃無礼なことがあります(特に同級生には)。
平野家も城常院家と同じ元華族で(爵位は平野家のほうが上位だったようですが)、彼の一族は世界中の政財界に強い発言力をもつようです。先祖は、平氏系統の歴史あるお武家様で、明治維新の際に華族になったようです。勇猛な武士の血筋の彼は、とても正義感が強いそうです。しかし、それが元でトラブルが起きないかが心配です。彼には最大に警戒しなければならないと再度感じました。
そんなこんなで、今日もまだお昼頃なのにヘトヘトです。しかし今日は、昼食を食べるためにレストランによってから、そのままピアノのレッスンと書道に行く日です。高尾の運転する車で、ピアノ教室へ行き、レッスンを受けました。私たちは、放課後にランドセルを玄関に置いて友達と遊びに行く…なんて事は無いのです。移動は常に運転手付きの車、帰りは学校から直接習い事に向かい、ランドセルを運転手に預ける。そして終わる頃には車が待っているといった状況です。
ピアノのレッスンが終わり、次は書道教室に向かいました。習い事の掛け持ちは大変です。ピアノはまだよいのですが、書道はセンスがいるのでなかなか上手く書けません。お洋服に墨が付かないように紙のエプロンまで用意してあります。そうして、なんとか足のしびれをのりきり、終了の時刻になりました。
高尾の運転で、城常院家の屋敷に帰りました。門番の検問を通り、少し行くと、やっと玄関に着きました。そして、園田さんにお風呂に入れてもらい、夕食を食べ、牛乳を飲んだりして1日を終えました。
今後の学園生活がどうなるのかがとてもワクワクドキドキしています♪
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