~妃袈(ひめか)、初めての買い食い~
9月になると、私は塾へ通える事になります。
そして、ついに私の野望がかなうのです。
9月になりました。
私は、乳母の園田さんに起こされ、朝のみじたくを始めました。まだ半開きの眼をこすりながら洗面室へ向かい、顔を洗いました。その後、食堂でお兄様と一緒に朝食を食べました。今朝は久しぶりにサンドイッチが出ました。食べたあとはもちろん歯を磨きました。
出発の時刻になり、私はお兄様と一緒に執事の高尾の待つ車に乗りました。今日もおよそ30分程度で学園の正門前に着きました。その後初等科の校舎へと向かいました。
「ごきげんよう。妃袈ちゃん」
と後ろから声をかけられました。
その声の主は『源袈連』ちゃんでした。袈連ちゃんとは以前、姫峰会のサロンでポーカーをした事があります。
私は「ごきげんよう、袈連ちゃん。今朝はお日和ですね」と返しました。
『お日和』というのは、『いい天気』という意味です。
そして、私は袈連ちゃんと校舎まで向かいました。正門から校舎まではおよそ5分程度の時間ですが、けっこう有効な時間だと思います。日頃の運動不足を少しでも緩和するためでもあるのだと思います(^-^;
始業式が始まり、校長先生のお話や、校歌斉唱、全校集会等があり、教室に戻ると学級活動で宿題を集めました。学級委員の私は宿題を回収したりして忙しかったです。
放課後になり、私は姫峰会のサロンに行きました。そこでサマーパーティーでお会いした先輩方に挨拶をしました。学園生活を安全に生きるためにはできるだけ丁寧に振る舞う事が肝心なのです。
挨拶をすませると、私は高尾の待つ車へと向かいました。そして家に帰り、昼食を食べました。昼食は、私の大好きなオムライスでした。城常院家の料理は、お抱えのコックさんが作ってくれます。ですのでいつも美味しいものが食べられるのです。
そしてこの日は、夕方から塾に行く日です。初めて行く塾にとても緊張しています。
ここで、本当の事を打ち明けます。(お母様にはけっして言わないで下さいm(__)m)
私が塾にこだわった本当の理由は、
「大衆的なお菓子が食べたい」という切実なものです。
『ポテトチップス』『かっぱえびせん』『キットカット』『マーブルチョコレート』『ガリガリ君』『スコーン』『板チョコ』『風船ガム』…等、食べてみたいお菓子が沢山あります。
今までは、お菓子を買いに行く時間なんてありませんでした。学校や習い事の送り迎えはいつも車で、休みの日も習い事ばかりなので、友達と遊びに行く時間もありません。常に大人に監視されているのです。
しかし塾では、一時間目の国語と二時間目の算数の間に、15分間の休み時間があります。その時間に近くのコンビニ等でお菓子を買う という計算なのです。
ポテトチップス等の大きくてかさばるものはダメです。小さくてポケットに入る大きさでないとすぐに見つかってしまいます。
そこで私は『キットカット』や『風船ガム』、一番小さい袋の『かっぱえびせん』等に的をしぼりました。
そして、塾へ行きました。塾の送迎もやはり高尾の運転です。
塾に着くと、塾の先生が私を教室に案内してくれました。そして私は席に着きました。
こうして、私の塾通いが始まったのですが、さすがに最初はお菓子を買いに行くなんてできませんでした。帝鸞学園の子が出歩いたりすると、注目されてしまうからです。結局、初めて一人でお菓子を買いに行ったのは、9月最後の週の4回目の時でした。
そのときは、近くの駄菓子専門店で バラ売りの『キットカット』と『風船ガム』を買いました。休み時間の間に『キットカット』を一つ食べました。とても新鮮な食感で、甘さが口の中いっぱいに広がる感触が印象的でした。お菓子の事が頭から離れず、その日の二時間目の算数は、あまり頭に入って来ませんでした。
こうして、目標を少し達成できたことがとても嬉しかったです。
残りの『キットカット』3個 と 『風船ガム』一箱を味わいながら食べたのは、あまりに感動的で涙が出てしまいました。
『風船ガム』はふくらますことができなかったのが残念でした。どうやってふくらますのだろう?と疑問に思いましたが、美味しかったのでいいです。
こうして、私はついに『お菓子』という物に出会ってしまったのです。
あんなに美味しいものがあんなに安く売っているなんて素敵すぎます。『キットカット』はとても小型なのですごく優秀なお菓子だと思います。
これからも、色んなお菓子を食べたいです♪
作者より、
お菓子という新しい展開に突入しました。
今後のストーリーにご注目下さい。
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