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第9回
高瀬が酔っぱらいながら帰ってきた。手土産にいちごのパックを2つ、抱えていた。
どこかで落としたのか、少々潰れてはいるが美味しそうなそれを、翌朝、斎木とロボがつまんでいた。
「いちごはどうしてこんなに赤いのかな?」
ロボが小学生らしい問いを口にした。
「それはね!」
嬉しくなって斎木が立ち上がる。
生い立ちが複雑なことが影響しているのか、普段のロボの口調や身のこなし、生活態度はあまりに大人びていた。斎木はそれが、少し物悲しいと感じていた。
「みんなが美味しい美味しいっていうから、照れてるんだよ」
「……」
「……大人ですね」
「ありがとう」