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はんりゅう

作者: 武ナガト

どこの家庭でも起こりそうな話。

 俺の母親は(はん)(りゆう)ドラマが大好きだ。俺が高校から我が家へ帰宅するとリビングのテレビにて韓流ドラマを(かん)(しよう)していたりする。俺が帰ったときに日本語ではないイントネーションを耳にすると、また母は韓流ドラマを見ているのかと(あき)れたり呆れなかったり……。


 海外ドラマ全般に言えることだが、海外ドラマは制作された現地の言葉へ日本語吹き替えしているタイプと言語はそのままで字幕で言葉の意味を伝えるタイプがある。母の場合は字幕つきの韓流ドラマを愛好している。


 母いわく、字幕版は目で言葉を追えるのが魅力なのだそうだ。それに対し吹き替え版は俳優の口の動きと声優の声が一致しないので違和感を抱いてしまい受け入れにくいのだとか……。


 吹き替え版だろうが字幕版だろうがどっちでもいい。俺は外国の番組を楽しむ気すら起こらない。

 外国ドラマなどどこが楽しいのだ。言葉がわからない番組を観て楽しむやつの気がしれない。邦画(ほうが)を観ろよ。邦画! 日本人だろ!


 母は韓国語を理解していないので吹き替えや字幕なしでは物語の内容がわからないはずだ。韓国語の勉強とかしたくならないのかね?


 ある日、俺と母それと妹の三人でテレビを見ていた。

 そしたらいままで見ていた番組がつまらなくなったらしくリモコンでチャンネルを母が切り替えだした。すると韓流ドラマに行き当たりチャンネルが固定。俺はゲッと嫌な気持ちになる。案の定母は韓流ドラマを見はじめた。


 いま放送中の韓流ドラマは字幕つきらしい。つまりテレビ画面の下部に字幕があり、役者は韓国語をしゃべっている。母のお好みのタイプだ。


 またはじまったと俺が心のなかでため息をつくと妹も同じ感覚なのか退屈しのぎに俺へ話題を提供してきた。先日学校であった妹のおもしろ体験談だ。なかなか愉快だった。

 俺と妹の会話は思いのほか盛り上がり、リビングに笑い声が広がる。


すると韓流ドラマを視聴している母は「静かにして!」と一喝(いつかつ)。そのあとテレビのリモコンでテレビの音量を上げながら母はこうつづける。


「声が聞こえないでしょ!」

 あっけに取られる俺と妹……。

 聞こえる必要あるのか?


 テレビからは韓国語が(りゆう)(ちよう)に響いていた。

掌編として短くまとめられて満足です。


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