私1 六月の事
私の幼少期から、彼との出会いまでの物語です。
基本一番短いです。
『私』1 六月の事
これは私が漢字も書けなかった頃の話。
いつも通り家に帰ってきた。
くつを見てみるとお父さんもお母さんもいなかった。
おかしいと思いながら、テレビを見て二人を待つことにした。
たまたま流れていたバラエティを、ボーっと眺めていた。
芸人の大して面白くもないトークを聞いていると、私のおなかの虫が騒ぎ始めた。
時計を見ると、もうお風呂に入らなければいけない時間だった。
おかしを食べてきたから、ばんごはんが入らないかと心配していた。
けれどその心配はなさそうだった。
テレビを消すのも面倒なためそのままにし、お風呂掃除に行く。
洗剤を適当に浴槽に吹きかけ、ブラシでこする。
掃除を終え、お湯が張れた頃には、二人とも帰ってくる。
そう自分に言い聞かせた。
それから数分後、ピンポーンとチャイムが鳴った。
お母さんとお父さんだと思い、頬がゆるむ。
浴室からトテトテとはだしで玄関に向かい、ドアを開ける。
今にして思えば、自分の家のチャイムをわざわざ鳴らす親はいないと気付くべきだった。
気付いたにしても、結果は変わらないけれど。
急いで玄関に走り扉を開ける。
扉の先にいたのは、見知らぬ、二人の大きな男だった。
私に手帳を見せ刑事と名乗った。
何か用ですかと尋ねた。
お父さんとお母さんが事故にあったと言われた。
それからのことはよく覚えていない。
ただ覚えているのは、
病院のベッドで私が泣いていたこと。
病院へ行く途中の夜空の星が、とても怖かった事。
そして、顔が無いお父さんと、お母さんの姿だった。
読んでみて感じた方もいるかと思いますが、私パートは基本的に暗いです。
次はお見舞いパートになります。




