『私』10 コンビニ
何もかもが嫌になり、学校にすら価値を見いだせなくなっていた。
我慢して通っていた高校も、耐えられたのは最初だけだった。
人が怖くて仕方がなくて、高校一年生の後半は、段々と休みがちになっていった。
それから私は、こんな自分のもやもやを解消してくれる何かを探しに行った。
どこにあるのかわからずに、海へ行った。
あったのは、ゴミとわかめと、波の音と、潮の香りだけだった。
山にも行った。
虫とゴミと草と木と木漏れ日があるだけだった。
何も心を動かされなかった。
ゴミだけはどこにいってもあった。
ここはお前の場所じゃないんだよ、とその場所に宣言されているようだ。
次第に何もしたくなくなり、家で寝るだけの日が続いた。
叔母さんが家を空ける日も増え、私が家でいようが、文句を言う人間はいなかった。
頻繁にかかってくる、学校からであろう電話には出なかった。
インターホンが鳴っても、ドアを開ける気はなかった。
もう誰にも関わりたくなかった。
誰にも関わりたくなくても、お腹は当然減ってくる。
食べなかったら死ねるんじゃないかとも思ったけれど、苦しそうなのでやめた。
コンビニに行き、適当なおにぎりをつかみ、レジへと向かう。
財布から万冊を取りだした。
店員さんが面倒くさそうにお釣りを渡してきた。
申し訳ない。叔母さんからの今月の食費を使うのは初めてなのだ。
会計が終わり、雑誌コーナーへ目を通す。
漫画があったから読んでみた。
何十巻と続刊がある、警察官の漫画を読んだ。
面白かった。
買おうかとも思ったけれど、食費を食事以外に使うわけにはいかない。
諦めて店を出ようとした。
隣にいた女性と目があった。
とても見覚えのある顔だ。
高校の、美術部員をしつこく募集していた先生だった。
きょとんとした顔で、私の名前を呼んだ。
渋々私は頷いた。
先生は、しめた、と言いたげな顔で私を見た。




