『私』6 別れと絶望
私は、先生がいなくても、一人でがんばることに決めた。
クラスで一人でも、私は耐えた。
いつかまた、先生に会った時に、恥ずかしくないように、強い子になろと決めた。
そうして私は、小学校を無事に卒業した。
卒業式の翌日、私のおじいちゃんとおばあちゃんの二人が、心筋梗塞で死んだ。
私は、二人とも、どこか自分とは距離を置いているように感じていた。
だけど、違っていた。
距離を置いていたのは私だった。
私は心のどこかで、お父さんとお母さん以外の保護者が存在する事を、拒絶していた。
それを自覚しないために、私は、二人は距離を置いていると、思いこむようにしていた。
けれど、その作戦は、お葬式の日に、失敗だと分かった。
棺に収まる二人の姿を見た瞬間、私はとても後悔したからだ。
なんで、私は二人の優しさに気付いてやれなかったんだろう。
作ってくれたごはんはおいしかった。
文房具が無くなった時は、きちんと買ってくれた。
風邪を引いたときは、献身的に看病してくれた。
私は、一度も二人にありがとうと、伝える事は出来なかった。
私は、今の街からまた少し離れた町に住む、叔父夫婦に引き取られた。
叔母の方は、デザイナーの仕事をしていて、そこそこ売れているらしい。
叔母さんは、満面の笑みで、私を迎えてくれた。
私は、もう後悔しないよう、出来る限り、愛想良く接した。
問題は叔父さんの方だ。
たまにふらっと出かけて、パチンコを打って、家の中ではお酒と煙草ばかりだった。
引っ越した初日は、二人とも、とても優しかった。
けれど、翌日。叔父さんに蹴られた。
笑顔が気に食わないと、何度も何度も蹴られた。
上の服を脱がされ、煙草を何度も押しつけられた。
たくさんたくさん、怒鳴られた
ばらしたら殺す。そう言われた。
私は耐える事にした。
蹴られても、嫌な事を言われても、煙草を押し付けられても、物を投げられても、大声を出されても、押し入れに閉じ込められても、髪を無理やり引っ張られても、服を脱がされても、水の中に顔をつっこまれても、目元を殴られ、視界が霞んでも、目が堪らなく痺れて、そのしびれがしばらく取れなかったときも
私は負けないと誓った。
中学校の入学式が、あと一週間に迫っていた。




