4/10
【先導者の槍】
【先導者の槍】
旗を巻き付けたような大きな槍の見た目をしているこの魔剣は、
戦場で最も先を駆ける勇者が振るっていたそうだ。
人々の祈りと喝采を受けた旗の輝きは傷を癒し、
絶望を勇気で打ち払ったと伝わっている。
そんな勇者のことを、人々はそれはそれは褒め称えたそうだ。
様々な呼び名で呼ばれた勇者は、やがて「先導者」と呼ばれるようになった。
先導者が来た戦場は無敗と記録される。
喝采が起こり、記録に刻まれ、勝利と共に名声が積み上げられていく
人々は私も俺もと、我先に先導者と共に戦場を駆ける。
噂と実績が人を呼び、勝ちが重なる快進撃。
いつしか魔剣は、先を行く者が振るうことはなくなって。
その頃には魔剣の代償を、誰も気にしなくなっていた。
輝く御旗は、今日も無敗の進軍を開始する。
もっと多くが集まる方へと。
もっと輝きが目立つ場所へと。
重ねた勝利を身に纏う。
――見た事もない誰かに、喝采と共に讃えられながら。
~~~~~~~~~~~~~~~
勇気を束ねて輝く旗だとも、勝利を重ねる槍だとも伝わる魔剣。
だがその勇気や勝利が、どこから来たのかは伝わらない。
やがて、問うものさえも居なくなるのだから。
~~~~~~~~~~~~~~~




