【知性の刃】
【知性の刃】
その国には、非常に賢い学者が居た。
そして学者の研究は、神の領分に踏み込んでいるように見えた。
――分からないから調べるのだ。
しかし誰が何を言おうと、学者は考えを変えなかった。
そんな学者はある日、王都を歩いていて一人の神父とすれ違った。
――また、何か言われるのだろうか。
学者はそう考えて構えたが、しかし神父は何も言わずに通り過ぎる。
少しだけほっとした学者は、胸をなで下ろしながら道を急いだ。
次の日からも、学者はその道で神父とすれ違うようになった。
しかし何時も気怠そうなその神父は、学者に声をかけることはない。
それを何度か繰り返すうち、学者の悪い癖が発揮されてしまう。
何故その神父が話しかけてこないのか、気になってしまったのだ。
――私は有名な自覚があるのだが、あなたはどうして何も言わないのだ?
学者の言葉に、神父は不思議そうに言葉を返した。
――神の代わりに働いてくれるって人に、文句を言う必要があるのか?
その言葉を聞いて、学者は不思議に思った。
神の代わりに働くなど、そんなつもりは全くなかったからだ。
学者はかなり驚いていたのだが、しかしそんな様子に神父の方が驚いてた。
――知識だけじゃ、誰も使わないじゃないか。使い方も考えておいてくれ。
そう言って、神父はいつもの道を歩いていった。
神父と別れた学者は、この知識の使い方を考えた。
考えて、考えて、考え抜いて……
持てる知識を使って、一本の魔剣を作った。
そうして――学者は結局、その刃を手放した。
学者は、最後に気が付いたのだ。
――別に使いたくて作った訳じゃないな、と。
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万華鏡のように、見る角度によって様々な色や模様が浮かぶ刃を持つ魔剣。
学者の持てる知識が、すべて刃に込められているという。
しかし、その使い方を知る者はいない。
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