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魔剣蒐集録Ⅱ  作者: 健康な人
1章:信仰と想像の寓話
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【知性の刃】

【知性の刃】


 その国には、非常に賢い学者が居た。

 そして学者の研究は、神の領分に踏み込んでいるように見えた。


 ――分からないから調べるのだ。


 しかし誰が何を言おうと、学者は考えを変えなかった。



 そんな学者はある日、王都を歩いていて一人の神父とすれ違った。


 ――また、何か言われるのだろうか。


 学者はそう考えて構えたが、しかし神父は何も言わずに通り過ぎる。

 少しだけほっとした学者は、胸をなで下ろしながら道を急いだ。



 次の日からも、学者はその道で神父とすれ違うようになった。

 しかし何時も気怠そうなその神父は、学者に声をかけることはない。

 それを何度か繰り返すうち、学者の悪い癖が発揮されてしまう。

 何故その神父が話しかけてこないのか、気になってしまったのだ。

 ――私は有名な自覚があるのだが、あなたはどうして何も言わないのだ?


 学者の言葉に、神父は不思議そうに言葉を返した。

 ――神の代わりに働いてくれるって人に、文句を言う必要があるのか?



 その言葉を聞いて、学者は不思議に思った。

 神の代わりに働くなど、そんなつもりは全くなかったからだ。

 学者はかなり驚いていたのだが、しかしそんな様子に神父の方が驚いてた。


 ――知識だけじゃ、誰も使わないじゃないか。使い方も考えておいてくれ。

 そう言って、神父はいつもの道を歩いていった。



 神父と別れた学者は、この知識の使い方を考えた。

 考えて、考えて、考え抜いて……

 持てる知識を使って、一本の魔剣を作った。


 そうして――学者は結局、その刃を手放した。

 学者は、最後に気が付いたのだ。

 ――別に使いたくて作った訳じゃないな、と。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 万華鏡のように、見る角度によって様々な色や模様が浮かぶ刃を持つ魔剣。

 学者の持てる知識が、すべて刃に込められているという。

 しかし、その使い方を知る者はいない。


 ~~~~~~~~~~~~~~~


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