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【想像力の共有】
【想像の共有】
ある時、ある国で。
喝采と共に、一つの魔剣が生み出された。
使い方を工夫して、未来に希望を見出して。
宣言されたその便利さを、皆は驚愕と共に思い知る。
――なんとこの魔剣、成功した人と同じように成功する事ができるのだ。
恐ろしいことであった。
誰かの成功を皆がなぞれる。
店を大きくした商売に倣い、商売が成功した。
鍛えた方法が広く知られ、皆が強くなれた。
一年かかった筈の成功が一か月で成果を上げ、
その成果が広く皆に浸透する。
手を叩いて喜んだ。
――ああ、これで皆が幸せになるぞ。
その横で、ほんの数人だけが国を去った。
彼らは皆、まだ失敗していない新人だった。
そして、広く知られるこんな警句がある。
――失敗は、成功の母である。
この魔剣が母からの独り立ちを促したのか。
それとも、片親を殺したのか。
今はまだ、誰も知らない。
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この魔剣を手に入れたものは、失敗ではなく成功を共有するようになる。
これがどういう意味なのかは、
きっと失敗するまで分からない。
しかし失敗は淘汰されている。
少なくともこの魔剣の持ち主は、
それが失敗だと気付く余地を持っていない。
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