インディ・ジョーンズとナチス
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
タクトとクガイは、長い尋問と検査を経て、ようやくスンダリとマダリーナと再会した。
再会の瞬間、スンダリは涙を流し、マダリーナは彼らの手を強く握りしめた。
「……生きてた……!」
「二人とも、本当に……よかった……」
互いの無事を確かめるように抱き合い、四人はしばし言葉を失った。
だが、その穏やかな時間も長くは続かなかった。
警察本部に呼び出されたタクトとクガイは、イタリアの治安部隊――カラビニエリの捜査官たちと面会した。
彼らは真剣な面持ちで言った。
「君たち二人には、ある会見に同席してもらう。
イタリア内務大臣、ドナテッラ・トロンボーニ閣下の要請だ。」
その名を聞いた瞬間、空気が変わった。
巨大な報道会場。
フラッシュの光が絶え間なく瞬き、各国メディアがマイクを押し付け合う。
壇上には、完璧に整えられたスーツに身を包んだ女――ドナテッラ・トロンボーニ。
四十代前半。
冷たい美貌と鋭い眼光。
その一挙手一投足に、政治家としての老練さと支配者としての自信がにじんでいた。
彼女の背後には、タクトとクガイ。
その両脇をスーツ姿のカラビニエリが固めている。
ドナテッラはゆっくりとマイクに向かって口を開いた。
「この国は、長く暗闇の中にありました。
だが今、我々は立ち上がらねばなりません。
犯罪も、腐敗も、国境を越える時代に――我々もまた、力を合わせるべきです。」
彼女の声は澄んでいて、聴衆を hypnotic に惹きつける。
拍手が湧き起こる中、ドナテッラはさらに言葉を続けた。
「この二人の若き日本人――タクト・ミナモト氏とクガイ・ホシノ氏。
彼らは恐るべき犯罪者ディミトリ・ホロゾフの犠牲者となるはずでした。
しかし、私たちの迅速な行動と、国際協力の力によって――彼らは救われたのです。」
会場に拍手が鳴り響く。
タクトはその音の中で、ドナテッラの言葉が心に刺さらないことに気づいた。
それは真実ではなく――演出だった。
彼女の横顔。
そのポケットから、白い紙切れが少しだけ覗いている。
タクトの視線がそこに吸い寄せられる。
そして――息を呑んだ。
紙には、見間違えようのないあの形が描かれていた。
黒いインクで刻まれた、禍々しくも美しい紋様。
「……力の象徴 ……?」
胸の奥が冷たく凍りつく。
その瞬間、タクトは悟った。
ディミトリで終わりではない。
権力は――まだ、この世界の中で蠢いている。
フラッシュがまた一斉に光る。
ドナテッラは微笑んでいた。
その笑みの奥に、タクトは“神”の気配を見た。
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