映画のヒーローはいつも美人を手に入れる
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
東京大学に戻ったタクトとクガイは、次なる計画を練っていた。
「この“力のシンボル”、本当に効くのなら……学長にも通用するかもな」とクガイが笑いながら言った。
「二ヶ月の有給休暇、もらってみようか」とタクトが真顔で返す。
二人はすぐに行動に出た。
大学本部のオフィスに向かい、学長と面会する機会を得ると、例のシンボルが描かれた紙を取り出して言った。
「私たちに、二ヶ月間の有給休暇をお与えください。」
学長は一瞬だけ目を細めたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「もちろんです。君たちはよく働いてくれている。たまには羽を伸ばすのも大事だ。」
こうして、夢のような休暇生活が始まった。
最初の数日は、懐かしのインディ・ジョーンズ映画を観ることに費やされた。
少年時代から繰り返し観てきたあの冒険譚は、今や現実の力を手にした二人にとって、特別な意味を持っていた。
「気づいたか?」とタクトが言った。
「インディ、毎回彼女できてる……俺ら、一回もない」とクガイが苦笑した。
「力のシンボルで……恋人を作ってみるか。」
イギリス・ロンドン
まず向かったのは、霧の都ロンドン。
高層ビルと歴史が入り交じる街で、二人は一人の女性と出会う。
名はスンダリ。
ヒンドゥー教徒で、シュードラのカーストに生まれた彼女は、幼少期を裕福なブラフマニ商人とその妻の家で過ごした。
子に恵まれなかったその夫婦は、スンダリを我が子のように育て、ケンブリッジ大学への進学を支援した。
卒業後、彼女は優秀な弁護士として成功を収め、今では恩人たちの支えもあって安定した生活を送っている。
その堂々とした雰囲気と温かな笑みに、クガイの心はすぐに奪われた。
彼はカフェで、例の紙をそっとスンダリに見せながら言った。
「僕と……デートしてくれませんか?」
スンダリは一瞬驚いたが、すぐに優しく頷いた。
「ええ、喜んで。」
クガイの初恋は、こうして静かに始まった。
イタリア・ウンブリア
次に訪れたのは、イタリア中部の自然豊かな地方、ウンブリア州。
起伏のある丘と古風な石造りの村々の中、彼らはマダリーナという女性と出会う。
地中海の血を引く、小柄ながらも豊かな曲線を持つ彼女は、南イタリアで最も優れた大学で人類学を修めた才女だった。
タクトは、初対面で胸を打たれた。
ある夕暮れ、ぶどう畑を見下ろす丘の上で、タクトは震える手で例の紙を取り出し、彼女に見せた。
「僕と……一緒に過ごしてくれませんか?」
マダリーナは戸惑いながらも、やがて微笑み、「はい」と答えた。
それから数日後、タクトはマダリーナの両親に招かれた。
父親は厳格そうな表情で彼を見つめたが、やがて静かに言った。
「あなたなら……娘を託せる。」
こうして、タクトとクガイの旅は、冒険だけでなく恋という未知の領域へと踏み出したのだった。
――そして“力のシンボル”の本当の意味が、少しずつ明らかになりつつあった。
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