エルザ・シュナイダー博士を決して信用するな。あの女はいつも汚い手を使う。
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
パリの記者会見場を後にして、
イタリア内務大臣――ドナテッラ・トロンボーニは、黒い公用車に乗り込んだ。
フラッシュの残光が窓に焼きつく。
群衆の歓声。拍手。
そのすべてが、彼女の微笑の中で冷たく反射していた。
数時間後。
ローマ郊外の政府庁舎。
ドナテッラの秘書が小声で報告する。
「例の二人が……来ています。」
彼女はペンを置いた。
「二人?」
「タクト・ミカミとクガイ・ナカムラ。
あの“ディミトリ事件”で救出された日本人です。」
ドナテッラは短く息を吐いた。
その瞳の奥には、興味というより――退屈の陰があった。
「通しなさい。」
扉が開く。
タクトとクガイが入ってくる。
彼らの表情には、恐怖よりも確信があった。
「……ニュースで言っていたことは本当なんですか?」
タクトの声は低い。
ドナテッラは笑みを崩さずに答える。
「もちろんです。
私が公の場で発言することに、虚偽などありません。」
クガイが一歩前に出た。
その視線は、彼女のジャケットのポケットへ。
「……そのポケットにある紙。
そこに描かれている“象徴”――
あなたは、その意味を知っているのか?」
室内の空気が一瞬で変わった。
ドナテッラの微笑が、氷のように静止する。
次の瞬間、彼女は低く呟いた。
「――入って。」
扉の外から、二人の男が入ってきた。
黒いスーツ、無表情。
その体格は、壁のようだった。
タクトとクガイの背筋が凍る。
「な……何を――」
言葉が終わる前に、
鈍い音が響いた。
一瞬の閃光。
視界が白く弾け、
全てが闇に沈む。
ドナテッラは机に肘をつき、二人の倒れた姿を見下ろす。
「若い理想主義者ほど、扱いやすいものはないわね。」
そのポケットの紙――
そこには、確かに**力の象徴**が描かれていた。
このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードはすぐにアップロードします。




