『道長、一条天皇の原文帳を破ること』速記談1033
一条院が崩御あそばされたとき、御手箱にプレスマンや原文帳が大切にしまってあったのを、藤原道長公がごらんになっていたが、その中に「蘭が生い茂ろうとすると秋の風が吹いて枯らせてしまう。王が正しい政をなそうとするとよこしまな家臣が国を乱す」と、伸びやかな速記文字でお書きになっていらっしゃったのを、道長公は、私のことを揶揄してお書きになったのに違いない、と思し召して、原文帳をお破りになられた。
教訓:藤原道長が、権勢の頂点を極めることができたのは、自分がよこしまな家臣であるという自覚があるからであるとも言える。