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第四十六話【ノンストップの者達】

「おい、二年、そこの用具運んでおけよ」

「は、はい!!!」


 今日は学校中大忙しだ。

 といってもあまりそれには一年生は関係ない。


 上の学年の人は明日に行われる試験の準備をしてくれている。

 テントやら生活できそうなものまで持っていっている。

 これには理由がある。


 この試験、なんと一日では終わらないのだ。

 なぜなら学校側が実際に攻略した学校管理区域の五階層にいる指定のエリアエネミーを討伐するまでは終わらないのだ。

 そもそも一階層ごとがかなりの広さなので五階層に行くまでも大変だ。


 つまり寝床や食料がないと詰むというわけだ。

 だが先輩や教師達がいるのは三階層まで。

 それ以降は配布される物資だけでどうにかしていかないといけない。

 人によってはかなり過酷な内容である。


「ついにやってくるな!」

「そうね。正直不安なことも多いけど、全力で行くよ!!!」


***


 翌日。

 一年生は馬車に乗り都市フリーレアを出た。

 馬車は一時間ほども立たずに目的の場所に到着した。


「ではこれよりダンジョン零階層に向かいます。順番についてきてください」


 前の方からやや大きい入口にみんなで向かい下に降りていく。

 壁は石積でなんだかそれっぽさがある。


「入った者からパーティーごとにまとまってください」


 ミネルア先生がそういうとみんな行動を始めた。

 数分して他のみんなも集まった。


「みんな準備万端なみたいだな」

「水分や食料も配布分以外にも少し持ってきておいたよ」

「おぉ! それはありがたいな!」


 それにしてもダンジョンの中は凄い。

 少しばかり肌寒いし空気感も地上とはかなり違う。

 それにさっきから魔物の声がうっすらと聞こえてくる。


「まずはできるだけ早く二階層を目指すことだよな」

「そうだね。できるだけ戦闘も控えたい。どれだけかかるかわからないし体力は残しておく必要があるからね」


 僕らが話あっているとミネルア先生が色々と話しだしたがダンジョンをどう進むか夢中だった僕はよく聞いていなかった。


「それでは皆さんが無事に帰ってくることを祈っています」


 先生の言葉と同時に生徒が動き出した。

 

 さてどこから行こうか。

 四方八方に進む道がある。

 みんな感で進んでいるようだが僕らにはルア先輩から貰ったこの地図があるのだ。


 地図をバッグから取り出した。


「それでまず進む道はどこですか?」

「えーっと」


 現在地から二階層に繋がる階段のルートを指でたどる。


「右ですね」

「よし、じゃあ行こう!!」


 僕らはそのまま右に迷わず進んでいった。

 数パーティーいたが気にするほどでもないだろう。


***


 出発してからきっとかなりの時間が経ったはずだ。

 しかし全く二階層の階段には辿り着かない。

 地図が間違っていないのはたしかだ。

 メモされている特徴が一致しているし。

 まぁ、考えられる理由は一つで、ただこのダンジョンが入口からは想像できないほど大きいからだろう。


 このままひたすら歩いていればそのうち着くはずだ。

 多分。


「うわ、また魔物があそこに溜まってる……こっち側から行こ」


 なかなかつかない理由にはもう一つあるかもしれない。

 それはこれだ。


 単体で魔物がいるなら倒してそのまま進むが基本的に魔物は固まって動いている。

 そのせいで安易に攻めて戦えない。

 バレないルートを通り進むしかないのだ。


 まぁ、時間はたくさんあるし慎重に進んでいこう。


***


 あれから恐らく一日が経過した。

 あのあとかなりの時間歩き、ようやく二階層に到着した。

 そして今は二階層にある休憩場で身体を休めている。


「だいぶ前にここに着きましたけど、他のパーティーはどうやらまだ来ていないようですね」

「そうみたいですね。この調子で行けば何事もなく五階層に最初に到着できそうです」

「結局、リリーシャのこと狙ってたグラッテは全然来ないしな。何だったんだあいつは」


 グラッテやそのほかの生徒がいないからといって油断するのも良くはない。

 いつ奇襲をされるかわからないし。


「お、おい」


 みんなと話しているとローブが引っ張られた。

 一体何だと思い振り返るとそこにはチユがいた。


「チユ!! 何してるんだこんなところで?」

「こ、ここのて、手伝いしてる……」

「そうだったのか。ケイト先輩やエリカ先輩もなのか?」

「ふ、二人は三階層でみ、見張りしてる……」


 上の学年の生徒がいる最後の階層を見張っているとは。

 さてはあの二人とんでもない人達だな。


「さ、さっき何人かや、休まずに走っていた。お、追いつけるようにが、頑張れよ」

「はへー、休まずに先に進むって凄い人達ですね」

「…………」

「え、? 今なんて言いました?」

「さ、先に進んだ人達がいるっていたが……」

「んん??」


 チユの言葉を聞いてそれまで座って話を聞いていた全員が一斉に立ち上がった。


「それってまずくない!? 先に五階層に到達されちゃわない!?」

「そうだよ……」


 僕らはスムーズに進んでいるとは言え近くまで来ている人達がいるかもとは思っていた。

 でもまさかこんなに早く到着してしかも休憩することなく進んで行くなんて。

 一体誰なんだ。


「とりあえず先を急ごう!」

「わかった!」

「うん」

「おう!」

「了解です!」


 僕達は置いていた荷物を持ち走り出した。


「チユ、教えてくれてありがとう!」

「お、おう。が、頑張れ……」


***


 二階層休憩所を出発してから少し経ったが未だに僕らを先行していったパーティーが見つからない。

 一瞬チユの嘘かと思ったがそんなことをするようなやつじゃない。

 となると先行したパーティーはかなりの速さで進んでいったということになる。

 しかも休憩なしで。

 どんな体力してるんだよ。


「ねぇ! あれ見て!!」


 リリーシャが指さす先には地面に横たわる生徒がいた。

 僕らはその生徒の元へ向かった。


「これ死んでるのか?」

「いや息はある。きっと気絶だ」


 こいつはきっとあのチユが言っていた先に言った人達の一人。

 休憩もせずにノンストップで走れば気絶してもおかしくない。


 先行したやつはてっきりグラッテかと思っていたがこの倒れている人を見る限りそうではなさそうだ。

 まさか他にも僕らを越えようとする者がいたなんて。


「これどうする?」

「放置で良いと思いますよ。そのうち先輩方が回収に来ると思いますので」

「それなら良いんだけど」

「じゃあ、俺達はもっと先に行って追い抜かなきゃな」

「あぁ」


 僕らは先行した者たちを探しつつ三階層を目指すために再び走り出した。

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