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第三十二話【リリーシャは恥じる】

 はぁ……、今日は色々あって学校で授業を受けたあとよりも疲れた気がする。

 まぁ、ご飯も食べ終えたことだし着替えてこのまま寝るとしよう。


 ちなみにだがしっかり父さんのことは母さんにチクってやった。

 するとおかず減量の刑を受けていた。

 でも父さんはこうやって罰を受けるのに反省せずまた同じことを繰り返すから意味がない気もする。


 ローブを脱ぎ畳み、諸々の着替えを済ませベッドの上にダイブ。

 横になりながら天井を見上げ目を徐々に閉じていく。


 バンッ


 扉が勢いよく開いた。


「部屋ないみたいだから同じ部屋で寝て良い?」

「はい? 確か二つ隣の部屋が空き部屋だったと思うけど」

「なんかそこはフェンさんとリシアさんの荷物置き場になったみたいだよ」


 僕が学校に行っている間にこの家、かなり変わっている。

 居間の雰囲気を少し変わっていたし母さんはちょっとおしゃれな服を着ているし、床や壁が綺麗になっていた。

 階段の軋み音は今も鳴っている。


「まぁ、安心してよ。シュレーナが怒ることはしないし、それにクレイの為に私の魅力七割ダウンしてるから」

「あ、おやすみ」

「ちょっと!! なんで寝ようとするの! 話を聞いて!」

「終わったんじゃないのか。疲れたから寝させてくれよ」

「はぁ、もうわかったわかったよ」


 リリーシャは部屋の扉を閉め着ていたローブを脱ぎ畳んで小棚の上に置いた。


「じゃあ、おやすみ」

「おやすみ」


 どこで寝る気なんだろうと思いながらも反対を向き目を瞑った。

 すると後ろでガサガサ聞こえるので振り向いた。

 

 そこには当たり前の様にベッドに横になるリリーシャ。

 そしてどんどんこちらに近づいてくる。

 最終的に僕をベッドから押し出し気持ちよさそうに目を瞑っている。


「何してるんだよ、リリーシャ」

「何って、寝るんだよ。眠たいし」

「いや、それは分かってるんだけどそこ、僕のベッドだから」

「仕方ないでしょ。ベッドがひとつしかないんだから」


 そう言われると何も言えない。

 だがそこは僕のベッドで憩いの場。

 流石に譲れない。


「確か敷布団があったと思うからそれを使って」

「…………」


 ってもう寝てるし。

 仕方ない、今日だけ譲ってあげるとしよう。


 部屋を出て母さん達を探しに一階に降りた。

 一階には一人酒を飲んでいる父さんがいた。

 

「お? どうしたクレイ。一緒に晩酌でもするか?」

「まだ飲めないよ」


 テーブルに置かれている酒のつまみをひとつ取り食べた。


「それで聞きたいことがあるんだけど敷布団ってあったよね?」

「あぁ、あったな。それがどうしたんだ?」

「使いたいんだけどどこにしまってある?」

「前まで空き部屋だったとこにしまってあると思うぞ」

「わかった、ありがとう」


 もう一度二階に戻る。

 リリーシャが寝ている部屋の二部屋となり。

 元空き部屋の扉を開けた。


 中は確かに物置となっていた。

 だが整理されてわかりやすくなっている。

 これは母さんがやったのだろう。

 さてさて敷布団はどこにあるかな。


 色々あるから探すのに時間がかかるかも、なんて思っていたが部屋の隅に置かれている箱の上に綺麗に畳まれて置かれていた。

 さらにその上に枕も置かれている。


 僕はそれを抱きかかえ自室へと戻った。


 ベッドの隣に敷布団を敷いて枕を置いた。

 そして中に一緒に畳まれていた布団の中に入り僕は眠りについた。


***


 翌朝。

 母さんの「シュレーナさんが来たよ!」という声で目を覚ました。


 体を起こし目をこする。

 既にベッドにはリリーシャの姿はない。


 ひとまず身支度を済ませ急いで下に降りた。


「クレイ、おはよう」

「おはようございます。シュレーナさん、起きるの早いですね」

「もう昼前」

「そんなに寝てたんですか?!」


 敷布団の寝心地が凄すぎたのか。

 リリーシャがいる間はやっぱり敷布団で寝るのも悪くない。


「それでどうしたんですか?」

「遊びに来た」

「もっとしっかり挨拶をしないと。クレイくんも寝起きで困っているじゃないか」


 後ろからギーヌさんが現れた。


「ギーヌさん、おはようございます」

「おはよう、クレイくん。突然ごめんね。シュレーナがどうしても行くっていうから」

「まぁ、元々約束していたので気にしなくていいですよ」

「そうだったんだね。ところでフェンは今は留守だったりするのかい?」


 ギーヌさんがそう訪ねてくると椅子に座って飲み物を飲んでいた母さんが反応した。


「フェンならあの木人形のところにいますよ」

「木人形……、あぁ! 鍛錬をしているということですか。それじゃあ、クレイくん。シュレーナを任せても大丈夫かい?」

「全然大丈夫ですよ」

「ありがとう。では私はフェンのところに行って一緒に鍛錬でもしようと思うよ」


 こうして親同士も仲良くなって子である僕達も仲良くなっているなと感じる度に嬉しく思う。

 最初とは大違いだ。


 ギーヌさんと入れ違いでリリーシャが家に入ってきた。

 手には新聞を持っている。

 もしかしてエントリア王国に関する情報が出たのだろうか。


「これに色々載ってる!! 見よ!!」


 僕らは椅子に座った。

 すると今度は家の裏口が開く音がした。

 裏口は服などを干す時以外使うことはないのだが。


「これ、どうすればいい?」


 そこにはシュレーナさんが立っていた。


「それは無防備に干すのもあれだからこっちにあるカゴに入れておいてくれる?」

「わかった」


 なぜかシュレーナさんが僕の家の家事を手伝っている。

 どういうことなんだ。


 何か布を持ってこっちにやってきた。


「シュレーナさん、どうしてここにいるんですか?」

「だめ?」

「だめではないですけど。それでその手に持ってるのって……」


 シュレーナさんの手には誰かの薄い桃色のパンツ。

 わざわざ広げた状態で持っている。


「シュ、シュレーナさん、そんな見せないでくださいよ! 恥ずかしいとか思わないんですか!」

「私のじゃないから」


 シュレーナさんのでもない、さすがに母さんがこんな感じのを履いているのも想像できない。

 となると残るは二人。

 父さんかリリーシャ。


「……く…くぅー」


 テーブルに新聞を置き小刻みに揺れている。

 少しばかり顔が赤い。


 椅子から立ち上がるとシュレーナさんに詰め寄った。


「な、なんで広げて持つの!!! せめて丸めるか畳んでよ!! 見られちゃったじゃん!!!!!!」

「可愛いの履いてる」


 シュレーナさんはリリーシャの横から体を斜めにし僕の方に見せてきた。

 その意図はわからないがとくに理由はないのだろう。


「うるさいッッッッ!!!!!」


 リリーシャはシュレーナさんから勢いよくパンツを取り上げると丸めて床に置いてあったカゴの中に物凄い勢いでぶん投げた。

 そして何事もなかったかのようにリリーシャは椅子に座った。


「…………んんっ。なに?」


 様子を見ていた僕はこちらを向いたリリーシャと目があった。


「意外」

「……馬鹿ッ!」


 リリーシャは新聞を僕の顔にぶん投げた。

 痛い。

 いやかなり痛い。


 リリーシャは剣士で腕の力もあるんだからもう少し力加減を考えた方がいい。

 ちびっこに当たったら致命傷だ。


 僕にぶつかり落ちた新聞を手に取りテーブルに広げた。

 興味を持ったシュレーナさんは僕の隣にやってきて立ちながら一緒に新聞を見る。


 そこには今回の一件の様々なことが書かれていた。

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