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9.ボス

「とりあえず、今ある情報から整理する。まず『石のディスプレイ』の情報からすると、今までにここに25人の人間が来ている。今日拾った財布からそのうちの一人が日本人だったことが分かった。」


ひろとは、『泉の森』の中、泉の脇にある『石のディスプレイ』の前に立って、声を出す。


「さらに、自分がここに来た際には、事故で死んでしまった後に来たということを加味すると、死んだ人間がここに送り込まれてなんらかのことをやらされている・・・ってことなんか?」

腕組みをして、うーんと唸る。


「そして、『石のディスプレイ』には、よくわからんがRPGゲームのステータスのようなものが書かれている。」


独り言を言いながら、『石のディスプレイ』の表面を撫でる。

ブンッ

淡い光とともに、ディスプレイに文字が映る。


「ん?新しい情報があるな・・・」

『石のディスプレイ』に新たな、文章が映る。


『レベル3達成おめでとうございます』


「レベル3に上がったってことか・・・亀を倒したからレベルが上がったってことか?多分そうやな」

もう一度、指を画面にそわせると、画面がステータスの表示画面に切り替わる。

ステータスを見ると、若干数値が上昇しているのがわかった。


「なんやこれ、まんまRPGゲームやな・・・・」

「俺は死後の世界で、RPGゲームごっこやらされとるんか?・・・くっだらねえな。とんだ天国もあったもんやで」


ひとり愚痴を吐きながら、石のディスプレイの周りをぐるぐる回る。

「まあ、これ以上考えてもどうにもならんので、とにかく『扉』の先を探検せにゃしょうがない、誰の仕業か知らんけど、このRPGゲームごっこに乗っかってやるしかないってことか・・・」


とりあえず、『森』の探索を続けるしかないと結論付け、さらなる探索を再開することにする。

今日は、まだ昼ごろだ三叉路のもう一方を探索する時間は十分にある。




「ん~?なんもないなあ?」

ひろとは、今度は三叉路のうち、右側の通路の方へ進んだ。

通路の先は左側の通路と同様に広場になっていたが、前回と異なり亀がいるようなこともなく、特になにかあるわけではなかった。


ちなみに、ここまで、来るのに鶏蛇を一羽倒している。

驚いたことに、前回あれほど苦労して倒したのにもかかわらず、明らかに容易に倒すことができた。


()()()()()()()()()()()()()()

攻撃をよける時の反射速度、移動速度、ナイフで切りつける際の膂力、全てが自分ではっきりとわかる程度で以前より向上していると感じた。

レベルアップすることによって、本当に自分の能力が上がっているようだ。

「レベルアップって、いったいどんな仕組みやねん・・・怖いわマジで」

鬱蒼とした森の中、蒸すような湿気がまとわりつき、汗がじわっと出てくるのを、タオルで拭きながらひとりごちる。


「3つ目の道も行ってみるか・・・」

三叉路を分岐のところまで戻り、真ん中の通路を進んでいく。


「こっちも特に代わり映えがないのお・・・」

しばらく進むと、また同じようにレンガの塀に囲まれた広場に出た。


「ん~・・・ここも何にもないのお・・・」


広場の中央まで来ると、足元に直径10cm高さ5cm程度の円柱状の石が据え付けてあるのに気付いた。


「石?なんやこれ」

ひろとは、足でちょんちょんと小突いて、そのまま踏んでみた。


カチッ

スイッチのような音がした直後、ゴゴゴゴゴと地響きがこだました。

「ん??ん??なになに?どういうこと?」


ひろとが、突然の状況の変化にうろたえていると、突然広場地面が割れ、中から()()()がせり出してきた。


「おいおいおいおいおい・・・」

後ずさりしながら、青ざめた顔で呆然と見つめていると、岩の塊が変形して人の形をとった。


「岩の巨人・・・?」

いわゆるゲームでモンスターとして出てくるゴーレムというものだろう。

全長3m程度の巨体で、腕回りは人の腰回り程度ある。


「これは・・・逃げるか・・」

ひろとは、即座に逃げることを決定し、後ろを振り返る。

「あれ・・・・入口が・・・ない?」


広場の入り口の部分がレンガの塀でふさがっていた。

おそらく、ゴーレムがせりあがってくる際に一緒に塀がせりあがって入り口を塞いだのだろう。


「あれれれ~」

ひろとは、滝のような汗をかきながらゴーレムの方を振り返る。


ゴーレムは、ひろとに気づいたそぶりを見せると、両腕を振り上げて地面にたたきつけた。

ドォオオオオオオオオオン!!!

脳天に響き渡る強烈な轟音がして、両腕が地面にめり込む。


「はわわわわわ・・・・・」

絶望的な顔で、脚を高速でプルプルと痙攣させながら怯えるひろと。


「死ぬやろこれは・・・・」



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