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5.戦い

「んっ?」


ひろとは鳥のささやき声で、目を覚ました。

ピヨピヨとかわいらしい鳴き声がしている。

泉の部屋には生物がいないので、部屋の外から鳴き声がしているのだろう。


「ふあ~あ・・よくこんな地面で雑魚寝して寝られたもんだな・・」


この泉の部屋は、常に柔らかな光が差していて、気持ちの良いそよ風が吹き、暑くもなく寒くもない温度に保たれている。非常に快適な環境であることは確かだ。

だから、地面の上でもちゃんと寝ることができたのかもしれない。


「さてと、飯でも食ってまた『出稼ぎ』に行ってまいりますか」


ひろとは、泉の水で体を洗い、タオルで拭いてから朝食をとった。

昨日収穫したリンゴ桃の残りを食べる。

「ん~・・、リンゴ桃以外のものもそろそろ食いてえなあ、今日は他のものも探してみっか」


今日の目標は、『リンゴ桃や他の果物の収穫』とした。

『鶏蛇については、発見したら逃げる。逃げるのが無理なら交戦する』ということにした。


「出発~」

扉を開けて森に入る。

鬱蒼とした森だが、朝になっているようで、明るい日差しが木々の隙間から刺している。


「やっぱり、泉の部屋とこの森は、同じように時間が経過するんかな~?」

「ま、この辺はおいおい分かってくるか~」


まずは、近場のリンゴ桃を収穫し、泉の部屋へ運び込んでから、森の奥へ食べ物を探しに行った。

なぜかは知らないが、人が一人通れるような道がありそれに沿って進んでいく。


しばらく歩くと、3m程度の低木の群生地があった。

枝の先には、棒状の実がなっている。


一つ手で掴んで引っ張ってみると、簡単にもぎ取ることができた。

先端が亀の頭のようになっていて、怪しい形をしている。

「卑猥な形の果物やな・・・」

皮は手で簡単に剥くことができ、中に緑色の果肉が詰まっていた。

食べると、甘さ控えめのしょっぱい瓜のような味がした。

この果物を『亀頭瓜』と名付けて、持てるだけ持って帰ることにした。


一度、『泉の部屋』に戻り、再度『森』に入る。


「よっしゃ!このペースで行くと、午前中には数日分の食糧を確保できるな」


調子に乗って、スキップしながら道を歩いていく。

「ふーんふんふーん!」

すると、脇の茂みから突如鶏蛇が顔を出した。


「んほぉおおおおおお!」

ひろとは、虚を突かれて奇声を上げて後ずさった。


「やべっ!!逃げろっ!!」

あわてて、逃げようとしたところで、木の根につまづく。


「あひっ!!」

そのまま、バタンと転んでしまう。

すかさず鶏蛇がチャンスを逃すまいと、迫りくる。


「おひぃいいい・・・」

寝ころんだまま、後ずさるひろと。

鶏蛇が頭に向かって、飛びかかってきた。


「ひっ!!」

咄嗟に両腕で頭を守るためガードするが、鶏蛇は何を思ったか、寸前で方向転換して股間に嚙みついた。


「おいなりさーーーーーん!!!」

また股間に噛みつかれてひろとはたまらず叫んだ。


「くっそ、こいつしつこく股間に噛みつきやがって、この野郎っ!!」

ひろとは、股間に噛みついている蛇の首を掴み、ナイフを差し入れた。


ブスッ!

そのまま、力任せにナイフを首にねじ入れてかき切った。


ブシャーッと血が流れだし、手が赤く染まる。

鶏蛇はしばらくバタバタと動いていたが、しばらくすると動きを止めた。


「はあ、はあ・・・やったのか?・・・、ち〇こいてええよ・・・」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、立ち上がるが、蛇の頭が股間に噛みついたまま取れない。


「くっそ、牙が抜けねえ!しょうがねえ、このまま戻るか・・・」

ひろとは、首が半分切れて、ぶらんと力なく股間に垂れ下がっている鶏蛇を引きずりながら『泉の部屋』に戻った。


「なんでこいつは毎度股間を狙うんだよ、性欲強すぎやろ・・・」

扉を開けて、『泉の部屋』へ入り、一目散に泉に向かって歩く。


泉の水を手ですくって飲むと、柔らかい光に包みこまれ、鶏蛇の牙が抜けて傷が回復した。

「ふぅー、危ないところだったな・・・何とか鶏蛇を倒せた・・・」


何とか倒すことができたが、鶏蛇に遭遇するたびに、怪我をしているようじゃとても体がもたない。

対策を考えないと・・・・ 

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